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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
59/68

五行の歌:東をはこぶ鞄 




□東をはこぶ鞄 





 ととのはぬ

 心もちたる

 母が泣く

 桃の咲くまで

 まだ日は遠し 





 あだしをの

 背に(くち)あてて

 眠りたし

 うぶすなの地の

 星売れし夜 





 酔ひてあれ

 異国歌(とつくにうた)

 たよりせぬ

 旅立ちしひと

 花のときまで 





 *  *  * 





 おとろへし

 大樹のしたを

 春の風

 あびて ちちはは

 訪ふゑみごころ 





 よびかける

 唇さむく

 春浅し

 母の宿れる

 佛壇の世も 





 かへされぬ時よ

 花瓣のひとひらよ

 誤りて来し

 夜道に

 落ちぬ 





 *  *  * 





 獣性を

 こらへる息吹

 此の(とき)

 ひろく包める

 空虚のなかで 





 珈琲と

 紅茶をまよひ

 そのをみな

 花ちる町で

 ひとを待つかほ 





 星の池に浮かんだ

 地球といふ泡に住み

 胸のうちには

 戀といふ泡が

 ひとつ 





 *  *  * 





 そつと出て

 沈みゆく月

 ふるさとの

 まどろみのなか

 戀をわすれぬ 






    東をはこぶ鞄 了 





        

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