47/68
俳句集:思い出革命 Ⅶ
□思い出革命 承前
雅かな模様織るごと
蟲鳴けり
待ちびとはこず
名月の訪ひきたる
古書さがす愚かさたのし
秋の街
* * *
母のなき子に
秋色の海広し
女郎花ゆるる夕べや
雨近し
午睡のごと波のよせくる秋
しづか
* * *
雨師のやま
秋の日ざしに憩ひけり
地下鉄がとほくうなれり
夜半の秋
団栗の増して来し午後
歯をけづる
* * *
雲うかぶ湖をただよふ月
さびし
秋分の羮食ぐる音
やさし
林檎の香
ねたましきほど辯のたつ
* * *
隙間風
きみの訪ひくる予感せり
養父の声きく二十分
冬の雨
文書くをこのむ母の背
冬時計
* * *
未読の書あかずふやして
冬ぬくし
いさかひし隣家にもまた
雪しづか
雪の町
望みも悔いも抱きゆく
* * *
われを待つひとのあるはず
雪明かり
思い出革命 了




