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俳句集:思ひ出革命 Ⅲ
□思い出革命 承前
夏燕
なみだ空にもまるを画く
海猫や
群れるふりした一羽あり
ほととぎす
小川どうしの合ふところ
* * *
夏燕
ふるき望みをおもひけり
下闇や
不動明王まるくあり
蟹ひとり
川をのぼりて幾年か
* * *
青葉風
祖先の地にてわらひけり
風鈴や
読まず手紙を捨てにけり
大雨も小雨もうけて
柿青葉
* * *
片恋をしりて咲きそむ
美人草
深山なる青葉の里の
ショパンかな
そつと立つ虹みつめたる
童かな
* * *
初恋をしりて
雛罌粟まどふたり
ふれることあたはぬたがひ
卯波たつ
廃船を光のすぎて
夏立ちぬ
* * *
片陰をこのむ鳥あり
われもまた
人相見なにもかたらず
蚯蚓出づ
しるひとのなきふるさとや
揚羽蝶
* * *
母となるかくごの友に
夏の風
了




