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川柳集:さみだれ乙女
しあはせを
忘れたままの
椅子ひとつ
葡萄汁
降るやうな雨
恋遂げて
恋の灯を
ともし去るだけ
娑婆世界
* * *
絶ゆること
惜しきは血より
汁の味
初潮きたる
美しき午後
狗がゐる
陽ののぼる
方角もまた
娑婆世界
* * *
紫煙いらぬ
ふりだけはする
仮の恋
濡れた道
かわきゆく夜の
恋惑ひ
蛇およぐ
凪いだ夕べの
別れかな
* * *
ななつ星
みえる窓辺で
婚ぎそむ
おのれに酔へ
水のなかなる
腐卵のごと
昼の星が
巡りさるごと
恋終へよ
* * *
恋占の
お告げを星に
盗まれぬ
いのち擦り
烏滸絵かけとや
天つ水
泣く声は
いづこからくる
星ひとつ
* * *
多福あれ
時季におくれて
咲く花よ




