表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
31/68

SOMERE, 2018




      泡のごと浮く星星を(むちう)つて   









 流れつく

 いのちの果ての

 涙かな 





 * * * 





 (とき)が吠えても

 神のごと眠る 





 裂けてゆく足跡

 もどらぬ影法師

 わたしとあなた 





 大きな夜から

 (しら)せがくる

 生きてもよい 





 目玉の向きがわからない

 昼 





 幽かな爪に触れて

 思ひだす恋 





 * * * 





 迷ふため

 穴を出でたる

 (みづち)かな 





 裏鬼門

 しばしまもりて

 椿落つ 





 春雨や

 夢棄ててきて

 虹の立つ 





 白蛇の

 求め果てたる

 春暮(しゆんぼ)かな 





 幸せを

 さがして惑ふ

 巣立鳥(すだちどり) 





 * * * 





 かかやかぬ

 石棄てられて

 春暮るる 





 晩春や

 鏡のなかに

 (とき)欠けて 





 十字架を

 小函に寝かせ

 春終はる 





 旅路にて

 迷ふばかりの

 日永かな 





 別れしひとの

 宵にとけゆく 





 * * * 





 晩春や

 追憶終へて

 波ばかり 





 何事も

 起こらぬなりに

 春惜しむ 





 丸丸とした春の気の

 去りゆけり 





 (こゑ)のせし真闇(まやみ)

 薔薇の花ひらき 





 古き銭を舐めつつ

 男 猫と棲む 





 * * * 





 小函(こばこ)から

 去りしものあり

 夏立ちぬ 





 どくだみの花ひらく音

 子はいづこ 





 アネモネや

 老母は旅路終へんとす 





 パリジャンを

 きどらせてやる

 五月かな 





 たづね来るひとあるはずの

 立夏かな 





 * * * 





 神の墓より

 未来を盗む 





 (きざはし)をのぼつてゆく

 ひとりごと

 風のさわぐ日 





 翼もつ忘却が

 見張つてゐる 





 呑気に嘆いて生きる

 広い葉のゆれるごと 





 また雨

 生まれかはつて

 恋におびえる 





 * * * 





 樹樹の笑ふここが

 ふるさとのはず 





 呆けても

 唇うごいて

 雨の唄 





 半透明の嘆き抱いて

 雨の午後 





 ステンドグラスのなかの風

 恋を殺した日 





 涸井戸に呼びかけ続け

 男老いゆく 





 * * * 





 湖波(うみなみ)のくり返すごと

 過去で()が泣く 





 星へむけ

 梯子を上がつてきた人生で 





 雨をはむ

 葉と水面(みなも)

 昔の歌声 





 川水が(はや)くなる

 もう忘れていい 





 新しい夏にささやく命 





 * * * 





 われもまた

 ひきよせられて

 藤の夜 





 幻燈の

 夏の景色に

 消ゆる恋 





 ほほづきの袋に

 とざされて老いゆく 





 奇蹟を詰めた鞄を探す

 亡者たち 





 小さな嘘をつく母

 神神の休息日 





 * * * 





 薔薇咲く夜には

 鼓動してもみる 








        ( つづく ) 










 Mi rifuzas kopiadon kaj utiligon

 sen mia permeso.




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ