SOMERE, 2018
泡のごと浮く星星を鞭つて
流れつく
いのちの果ての
涙かな
* * *
刻が吠えても
神のごと眠る
裂けてゆく足跡
もどらぬ影法師
わたしとあなた
大きな夜から
報せがくる
生きてもよい
目玉の向きがわからない
昼
幽かな爪に触れて
思ひだす恋
* * *
迷ふため
穴を出でたる
蛟かな
裏鬼門
しばし護りて
椿落つ
春雨や
夢棄ててきて
虹の立つ
白蛇の
求め果てたる
春暮かな
幸せを
さがして惑ふ
巣立鳥
* * *
かかやかぬ
石棄てられて
春暮るる
晩春や
鏡のなかに
刻欠けて
十字架を
小函に寝かせ
春終はる
旅路にて
迷ふばかりの
日永かな
別れしひとの
宵にとけゆく
* * *
晩春や
追憶終へて
波ばかり
何事も
起こらぬなりに
春惜しむ
丸丸とした春の気の
去りゆけり
聲のせし真闇に
薔薇の花ひらき
古き銭を舐めつつ
男 猫と棲む
* * *
小函から
去りしものあり
夏立ちぬ
どくだみの花ひらく音
子はいづこ
アネモネや
老母は旅路終へんとす
パリジャンを
きどらせてやる
五月かな
たづね来るひとあるはずの
立夏かな
* * *
神の墓より
未来を盗む
階をのぼつてゆく
ひとりごと
風のさわぐ日
翼もつ忘却が
見張つてゐる
呑気に嘆いて生きる
広い葉のゆれるごと
また雨
生まれかはつて
恋におびえる
* * *
樹樹の笑ふここが
ふるさとのはず
呆けても
唇うごいて
雨の唄
半透明の嘆き抱いて
雨の午後
ステンドグラスのなかの風
恋を殺した日
涸井戸に呼びかけ続け
男老いゆく
* * *
湖波のくり返すごと
過去で児が泣く
星へむけ
梯子を上がつてきた人生で
雨をはむ
葉と水面
昔の歌声
川水が疾くなる
もう忘れていい
新しい夏にささやく命
* * *
われもまた
ひきよせられて
藤の夜
幻燈の
夏の景色に
消ゆる恋
ほほづきの袋に
とざされて老いゆく
奇蹟を詰めた鞄を探す
亡者たち
小さな嘘をつく母
神神の休息日
* * *
薔薇咲く夜には
鼓動してもみる
( つづく )
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