SEPTEMBRO 2017, Ⅱ
朝を待ちつつ歳月の過ぐ
山囲む
異邦に夢を
産み落とし
* * *
永遠に
迷ふ荷駄たる
ひとの秋
秋雨の
通りつつあり
喪家まへ
回遊性のをんな帰りて
秋時雨
秋の野に
褪せた標識
立ちてあり
死者の眼に
螺鈿のごとく
なみだ浮き
* * *
新しき
船の脱皮や
秋時雨
恋了へて
天象儀うごく
刻を待つ
竜胆や
とほき朋友
頼りきぬ
影法師
琥珀色なる
肺魚かな
秋雲に
とどくことなき
蟲の声
* * *
彼岸花
群れ咲く里の
夢見かな
檸檬しぼる女は持たぬか
後の悔ひ
棄てられぬ
尾を気にしては
たもとほる
異郷の路の
闇き祠に
銭をおく
損じたる
裸體に映ゆる
花のいろ
* * *
秋空や
猫の眼の奥
澄みゆけり
人死にの
残響ありて
霧時雨
夢見鳥
大湖の上を
彼方此方へ
太陽が燃え尽きぬかと
蟲の病む
天使翼
棄てられてあり
秋の海
* * *
食蟲花
買ひし日の夢
秋の雨
償ふために
生まれてきたる
蕾かな
をんな生きぬ
狗尾草の
揺るるごと
蝕読を了へぬ
妻は野菊摘む
神泉の
あふれ群れ落つ
流れ星
* * *
たむけ花
たれが飾りし
淫祠かな
何者の通りしゆゑか
波立つ宙
香水舗
秋夜に開きて
月出づる
知らぬひと
ゑがほで来たる
秋法事
広すぎる夜に
秋海泡立ちぬ
* * *
このやうな
生で堪忍せよ
秋の星
( つづく )
・天象儀 = プラネタリウム
・たもとほる=同じ場所を
うろつく
・夢見鳥 = 蝶
・病む = 心配する、の意で
・蝕読 = 点字で読むこと
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