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ほろほろ鳥も夢をみる  作者: Miki Kukiri
25/68

SEPTEMBRO 2017, Ⅱ 



       朝を待ちつつ歳月(としつき)の過ぐ 









 山囲む

 異邦に夢を

 産み落とし 





 * * * 





 永遠に

 迷ふ荷駄たる

 ひとの秋 





 秋雨の

 通りつつあり

 喪家(さうか)まへ





 回遊性のをんな帰りて

 秋時雨 





 秋の野に

 褪せた標識

 立ちてあり 





 死者の眼に

 螺鈿のごとく

 なみだ浮き 





 * * * 





 新しき

 船の脱皮や

 秋時雨 





 恋()へて

 天象儀(てんしやうぎ)うごく

 (とき)を待つ 





 竜胆(りんだう)

 とほき朋友(ともがき)

 頼りきぬ 





 影法師(かげぼふし)

 琥珀色なる

 肺魚かな 





 秋雲(あきぐも)

 とどくことなき

 蟲の声 





 * * * 





 彼岸花(ひがんばな)

 群れ咲く里の

 夢見かな 





 檸檬しぼる(ひと)は持たぬか

 (のち)の悔ひ 





 棄てられぬ

 尾を気にしては

 たもとほる 





 異郷の路の

 (くら)(ほこら)

 (ぜに)をおく





 損じたる

 裸體(らたい)()ゆる

 花のいろ 





 * * * 





 秋空や

 猫の眼の奥

 澄みゆけり 





 人死にの

 残響(ざんきやう)ありて

 霧時雨(きりしぐれ) 





 夢見鳥(ゆめみどり)

 大湖(おほうみ)()

 彼方此方(をちこち)へ 





 太陽が燃え尽きぬかと

 蟲の病む 





 天使翼(てんしよく)

 棄てられてあり

 秋の海 





 * * * 





 食蟲花(しよくちゆうくわ)

 買ひし日の夢

 秋の雨 





 (つぐな)ふために

 生まれてきたる

 (つぼみ)かな 





 をんな生きぬ

 狗尾草(ゑのころぐさ)

 揺るるごと 





 蝕読(しよくどく)()へぬ

 妻は野菊摘む 





 神泉(しんせん)

 あふれ群れ落つ

 流れ星 





 * * * 





 たむけ(ばな)

 たれが飾りし

 淫祠(いんし)かな 





 何者の通りしゆゑか

 波立つ(そら) 





 香水舗(かうすいほ) 

 秋夜(しうや)に開きて

 月出づる 

 




 知らぬひと

 ゑがほで来たる

 秋法事(あきほふじ) 





 広すぎる夜に

 秋海(あきうみ)泡立ちぬ 





 * * * 





 このやうな

 (しやう)堪忍(かに)せよ

 秋の星 









        ( つづく ) 










 

・天象儀 = プラネタリウム

・たもとほる=同じ場所を

       うろつく

・夢見鳥 = 蝶

・病む  = 心配する、の意で

・蝕読  = 点字で読むこと



Mi rifuzas kopiadon kaj utiligon

sen mia permeso.




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