↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
62/104

第3話 道中の会話

 結局ついてくることになった前島さん+三人娘に、重箱を包みに分けて持たせる。いやだって、アイテムボックスも転移も使えなくなったからさ。ちゃんと運んでよ、拓也の分なんだから。


「え、もらえないの!?」

「拓也の分だから」

「でも、こんなにあるんだから…」

「拓也の、分だから」

「えっと、そこのコンビニで割り箸をたくさん買ってきたから…」

「拓也の分だって言ってるでしょ!?」

「「「ひいっ!?」」」


 あ、しまった。あまりにしつこかったから、怒鳴りつけちゃったよ。でも、謝らないからね。


「もう…。ついてくるだけでも、変なのに…」

「ごめんね、ボクが押し切られちゃって」

「いやあの、前島さんがついてくるのも変なんだけど」

「み、ミナ、なんか今日はキビしいね?」

「そう? 当然のことを言ってるだけだけど?」


 だよね? ねえ?


「(ひそひそ)ま、まずかったかな? こんなに怒るなんて…」

「(ひそひそ)アンタが言ってたんでしょ? 最近、美奈子様(・・・・)とずいぶん仲がいいヘラルド…弟くんとの関係を確認したいって」

「(ひそひそ)だって、現実世界じゃ、家の中に入り込むわけにはいかないじゃない」

「(ひそひそ)だから私は、普通に自宅を訪ねてみればいいじゃないって…」


 …聞こえてるよ。聞こえないふり、するけどさ。


「そ、そう言えばミナ、ミリアナの防衛戦はどんな様子なの?」

「今日は私が昼間出かけるから、全部ペンディングだよ。当たり前じゃない」

「あ、当たり前なんだ」

「そうだよ。ミリアナのバフ装備も全部『コナミ・サキ』ブランドなんだから」

「そうなのか…。何から何までミナが供給しているんだ」


 そりゃあ、本人ですから。


「攻撃アイテムもすごいんだって? ユリシーズさんに聞いたよ」

「…なぜ、ユリシーズさんに?」

「この間ボクにも『緊急クエスト』があってね、その時に」

「ああ…」


 ミリアナと比べたら僅かであるが、ユニークウェポン『聖盾アイスフィールド』を単独で『現界』できる前島さんにも、たまに出動要請がある。自身の誘拐騒動への対処の実績もあるから、慣れたものである。


「アイスフィールドでがけ崩れを防いだ時、攻撃スキルも付与されてるといいんだけどなあって言ったら、ユリシーズさんが『コナミ・サキ』ブランドとして手に入るかもしれないって。どうなの?」

「まあ、盾装備に一時的に『氷槍(アイスニードル)』を付与する魔石ならすぐに用意できるけど…」


 ていうか、今まさにアイテムボックスから取り出して『現界』できるけど。


「ホントに!?」

「1回しか使えないけど」

「それでもすごいよ! ミナ…『コナミ・サキ』って、本当に鍛冶と調合のトッププレイヤーだったんだね!」


 そういう目立ち方はしたくないんだよなあ。あれやこれやと生産依頼が来るようになって、『コナミ・サキ』としての関わりが増えた途端に『ミリアナ・レインフォール』が不在がちになったら、実は同一人物だってことがバレやすくなるから。


「私が事実上のミリアナ専属なのは知っているでしょう? 他のユーザにはもちろん、拓也…ヘラルドにだってそんなに売ったり渡したりしてないから」

「そうなんだ…ヘラルドにさえ、売ってないんだ」


 …ちょっとだけ、嘘だけど。

 拓也…ヘラルドは、たとえ私が装備を売り込んでも、なんでもかんでも無心するような性格じゃない。どうしても必要なものだけを、ちゃんと対価を考えて相談してくれる。

 この間は、いつも仲良くしているふたりのギルメンのための装備だった。逃げ足が少しだけ早くなる靴。後衛魔導士ならではの、地味だけど有用な装備だ。私は喜んで作ったよ!


「じゃ、じゃあ、今日、運動会から帰ったら…」

「ミリアナの防衛戦がペンディングだって言ったよね?」

「はい」


 ふんだ。


「やーい、ギルマス、怒られてるー」

「バチが当たったのよねー」

「因果応報、弱肉強食」


 キッ


「「「ひいっ!?」」」

「キミ達、懲りないねえ」

「ああでも…美奈子様の機嫌の悪い視線が、ちょっと快感…」

「おかしいなあ、ギルマス相手ならいくらでもいじめられるのに…」

「うふふふふ…(ぞくぞく)」


 聞こえない。見えない。考えない。

 ああ、拓也の学校って、こんなに遠かったっけ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。