↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/104

第1話 弟の活躍

 土曜日夕方の自宅。

 台所でいろいろと絶賛張り切り中の私である。重箱があってよかったよー。


「じゃあ、明日のお昼御飯は、拓也(たくや)の分も後から持っていくね。手ぶらで学校に行けるよ!」

「ああ、うん、それはありがたいけど…。美奈子(みなこ)姉さん、本当に来るのか?」

「行くよ? お父さんとお母さんは仕事が入っちゃってるし、私は明日は特に用事がないし」


 強いて言うなら、『ファラウェイ・ワールド・オンライン』での領地防衛戦を申し込まれているが、まあ、PvP時間を夜にしてもらえばいいよね。相手のパーティ構成を見る限り、たぶん今度も瞬殺できるだろうし。うん。


「いやでも、中学の運動会に参加する家族って、ほとんどいないからさ、その…」

「えっと…私が見に行くの、イヤ?」

「うっ…。そ、そういうわけじゃ、ないんだけど…」


 イヤ…なのかな、拓也。今年はせっかく都合がつく日程なんだし、ぜひ参加したいんだけど。


「拓也、運動得意だったよね? 結構活躍できるんじゃないの?」

「べ、別に、恥ずかしいところを見られるのがイヤっていうわけじゃなくて…」

「それならいいじゃない。もうこうして、私の分も下ごしらえしちゃったんだし」

「はあ…。わかったよ。来てもらいたくないわけじゃないからさ」


 …なんて。拓也が言いたいことは、わかってるんだけどさ。つまりは、ええと…『私を学校の友達とかに見られたくない』ってことなわけだ。身内が恥ずかしいとかいう、思春期特有の理由でもなく。いや、思春期関係ありまくりか?


 でも、私がわかるって顔で話を進めるのもおかしいのよ。その…『新緑の騎士団』のあれやこれやの実態とか、偽装アバター『コナミ・サキ』の外見がリアルの私そっくりだとどんな問題があるのかとか、そういうのを私自身がよくわかってるような素振りをするのと同じで、なんというか…なんというか、なのよ。


 くっ、せめてこの、普段何も役に立たないばかりか、邪魔で邪魔でしょうがない、目立つしか能のないコレとコレをどうにかできれば…! 口には出さないよ? 口に出したら負けだから!


「そ、そういえば、拓也の参加種目は?」

「えっと…個人だと100m走、クラス対抗では体育館でバレー、かな」

「運動会っていうより、体育祭だね。そっか、中学だもんね」

「まあな。祭りと言えるほどのものじゃないけど」

「そうだけど、でも、拓也が活躍できそうなものばかりじゃない。だからさ…」


 だから、


「…私が、見たいんだよ。拓也の活躍を、さ」

「姉さん…」


 …うふふふ。ちょっと、いい雰囲気。


 うふふふふふふふ。


「…私達も、いるんだがな」

「夕食と併せて作るっていうから、こうして台所で待ってるのにねえ…」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。