第3話 一旦、ログアウト
「ん…」
知っている天井が見えてくる。自室のベッドの上で横たわっている。ちゃんとログアウトできたようだ。
んー、あれって本当に現実だったのかなあ。確か以前、ログアウトしたと思ったら現実世界そっくりの仮想世界に飛ばされて詐欺に合ったってニュースがあったよね。うん、イベントだったのは確かだし、きっとそれと同じやつだ。ははは。
だだだだだっ
がちゃっ
「姉ちゃん、ログアウトしてる? 今までゲームの中にいたのなら、TVのニュース見てみろよ、面白いことが起きてるぜ!」
「…拓也、ノックしなさいっていつも言ってるでしょ。…それで、ニュース?」
「ああ! 『ミリアナ・レインフォール』が現実世界に現れたってよ!」
「えー、それって、仮想世界のイベント会場だったんじゃないの?」
ちなみに、私が『ファラウェイ・ワールド・オンライン』をやっていることはみんな知っているが、『ミリアナ・レインフォール』のユーザであることは家族にも言っていない。
リアフレとゲーム内で会うときは、サブ容姿とステータス偽装の機能で『コナミ・サキ』というダミーを本物のアバターと思わせている。いや、ガチ勢と思われたら嫌じゃない。タダでさえ、大人しい本好きってイメージとのギャップが激しいし。なお、『コナミ・サキ』は小物アクセサリーの生産職という体裁だ。
「んなことねえって! 今、現実のイベント会場に俺のクラスメートがいるんだよ。そいつが携帯端末で連絡してきて、すっげー興奮してた!」
マジですか。
うわー…。
「俺、これからイベント会場行ってみる! ログアウトしたみたいだけど、もしかしてまた『現界』するかもしれないからさ! 留守番よろしく!」
「ちょ、ちょっと、待ちなさい!」
たったったっ…
「もう…。えっと…とりあえず、もう一度ログインしてみようかな。なんか、怖いけど…」
フルダイブ装置を着けたままだったので、私はそのまま再びベッドに横になり、目を閉じる。
「受諾せよ、遥かなる大地への旅路を」




