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第29話 詰問の裏側

 話すきっかけ、かあ。確かに、あんな『秘密』を共有したら、いろいろと話すことが増えるね。同じことは、実は拓也にも言えるんだけど。ゲーム内では相変わらずあまり一緒じゃないけど、リアルであれこれ話題を繰り広げることが多くなったと思う。いいこと…なのかな。


 と、つらつらと思いふけりながら空のお弁当箱を包み、私も教室に戻ろうと立ち上がる。そのタイミングで、近づいてくる人々が。


「霧雨さん、ちょっといいかしら?」


 他のクラスの女子生徒が3人。そのうちのひとりに、そう話しかけられる。


「前島さんのことで、話があるんだけど」


 …ああ、これは、アレか。

 これまでにも他の生徒から何度かあった、アレである。


 そういえばこの娘達、前島さん…『ユーマ・アイスフィールド』がギルマスやってるギルド『新緑の騎士団』のメンバーだって言ってたかな。一度、教室を訪ねてきたところを見たことがある。前島さんと少し話をして、私がいることに気づいたら、例によってそそくさと去っていったっけ。なんだかなあ。


「いい、けど…」

「ここじゃなんだから、一緒に来てくれる?」

「う、うん」


 とりあえず、素直についていく。これまでの経験から言って、変に逆らわない方がいいのは確かだからだ。はあ…。



 教室棟の一階の、階段のところの人目に付きにくいところ。そこまで連れられてきて、3人は私の方に向き直る。


「霧雨さん、さっき、前島さんと一緒にお昼食べてたわよね?」

「楽しそうに話していたけど、どんなことを話していたの?」

「一通り、聞きたいんだけど」


 ああ、イントロが始まってしまった…。


「えっと、ゲームで手に入れたっていうユニークウェポンのこととか、最近の登下校での出来事とか…」


 という感じで、うん、嘘じゃないよねってノリで適当にごまかしつつも、当たり障りのない内容を伝えた。


「だから、ほとんど他愛もない話で…。ホントだよ?」


 そう言って、少し微笑んでみる。正直言えば、どうにも面倒なところがあるんだけど、敵意があると思われても嫌だし。


 3人の娘達は、しばらく呆然とした様子を見せていたが、そのうち、はっとなって、


「そう、なの…。霧雨さん、」


 ガシッ


「本当に、本当にありがとう! 優希様(・・・)のことをいろいろ教えてくれて!」

「ゲームではギルメンでも、リアルのことはなかなか教えてくれないし!」

「でもでも、ギルマスのことはいろいろと知っておかないといけないし! でしょ?」

「え、まあ、そうかも、しれないね…」


 そう言って、私の手を一斉にとって感謝を表す三人娘。『新緑の騎士団』って、事実上の前島優希(まえじまゆうき)ファンクラブらしいからねえ。隣のクラスだとリアルで話しかけることも難しいだろうし、なんというか、必死である。こうして相手にすると疲れるけど。


「霧雨さん、また機会があったら教えてね! それじゃあ!」


 そう言って、3人は隣のクラスに向かって戻っていく。うん、やっぱり疲れた…。



 ちょっとお疲れの顔をしながら、私も教室にむかっていると、前から前島さんがやってきた。


「ミナ、まだここにいたんだ」

「あ、前島さん」

「なかなか教室に戻ってこないから、探しに来たんだよ。何かあったの?」

「ごめんなさい。実は…」


 多少オブラートに包んだけど、三人娘のことを正直に伝えた。はっきり言って、悪い話ではない。少なくとも、前島さんには。


「え!? ミナ、彼女らに何かされた!? 大丈夫だった!?」

「え、も、もちろん、何もされてないよ? やだな、楽しくお喋りしただけだよ」

「楽しく…そう、そうか。ミナが、そう言うなら…」


 え、前島さん、なんかちょっと怖いよ? なんで?


「とにかく、もう午後の授業始まるよ。急ごう」

「うん」


 すたすたすた













「…ボクをダシにして(・・・・・・・・)ミナとお喋りなんて、ずいぶんバカにしてくれるじゃないか…。今日のギルド会議で吊るし上げようか…」


 ん?

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