↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/104

第42話 一族

 キキッ


「よし、降りろ!」

「…っ! 乱暴、しないで」

「しねえよ、せっかくの人質だしな」

「人質…?」


 拓也くんを誘拐したり私に復讐しようとしていた男達と似ているが、何か違う。あれはなんというか、(よこしま)な雰囲気があったというか。誘拐の時点で邪以外の何者でもないけど。ただ、今回は…。


「ほら、さっさと乗れ」

「…小型クルーズ船?」

「そうだ。俺達の雇い主がいる」


 なるほど、ただの雇われ犯か。淡々としているわけだな。


 雨は止んでいるが、もうだいぶ暗い。埠頭に停泊中の船にこの面子で乗り込んでも、離れたところからでは誰が誰だかわからないだろう。下手をすると、隠蔽されたまま国境を越えてしまう?


『という感じ?』

『だから、なんでそんなに落ち着いてんだよ!?』

『たぶん、こうして拓也くんと話しているからだと思うよ? 「フォークロア・コーポレーション」には連絡したんでしょう?』

『ああ! なんか、現地の警察と本部の機動隊が既に動いてるってよ。けど、その船が出港しちまったら…!』

『機動隊って…そんなに早く動くものなの?』

『よくわかんねえけど、姉さんの「依頼」成果の恩恵をすぐに発揮するとかなんとか?』

『ああ、あの防御スキル付与の魔石かなあ。量産できるまでには時間がかかるはずなんだけど』

『姉さん、何してきたんだ…。とにかく、船が出港するようならすぐ知らせてくれ!』

『ん、わかった』


 そんな『会話』を拓也くんとしている間に、誘拐犯達と共に、船の中の部屋に到着する。



「俺だ。予定通り、連れてきた」

「入れ。早かったな」


 バタン


 部屋には、20代後半に見えるスーツ姿の男が座っていた。リアルのユリシーズさんよりは年上かな?


「ふむ、確かに。しかし、なるほどな…」

「俺達は、待ち構えていればいいか?」

「そうだな。あのふたり(・・・・・)が来たら、丁重なおもてなしを」

「わかった」


 バタン


「そこのソファに座ってくつろいでくれ。誘拐されて、くつろぐのも無理な話だろうが」

「…目的は、なに? 人質って言っていたけど」

「そう尋ねるということは、本当に知らないようだな、両親のことを」

「両親?」


 両親…って、どっちの両親のことだろう?


「美奈子…と言ったな。お前は、両親のことをどれだけ知っている?」

「拓也くん…弟と一緒に、私達を小さい頃に引き取ったってことは」

「それは知っていたか…。そのきっかけとなった事件は?」

「わからない。両親も、知らないはず。調べてはいるみたいだけど」


 というのは、拓也くんから聞いた話だ。あと、事件そのものについては、ユリシーズさんからも。


「我々にもわからん。だが、背景はわかっている」

「『我々』…?」

「そうだ、我々霧雨一族(・・・・)。数千年の間、世界を裏から支配してきた血脈」

「…」

「胡散臭いと思うのは当然だが、事実だ」

「はあ」


 いやだって、ねえ。


「もちろん、世界中で『霧雨(きりさめ)』を名乗っているわけではない。そうだな、英語圏では…『レインフォール』と名乗っている」


 …なんですって?



「あなた、あと10分もせずに機動隊が到着するみたいよ」

「なんということだ…。『フォークロア・コーポレーション』が、ここまで力を有していたとは」

「まずいわね。未だ『ミリアナ・レインフォール』の正体さえ、つかんでいないというのに」

「あの会社は底が知れん。いや、会社というより、『NPC制御システム』か」

「『現界』についてもガードが固くて、詳細がわからないし」

「美奈子はもちろん拓也にも我々の力(・・・・)通用しない(・・・・・)以上、無理はできないしな」

「とにかく、もう行きましょう? 警察が介入したら隠蔽が困難になるわ。私達はもちろん、一族の『宗家』にも」

「そうだな。それで、美奈子に知られることになっても…」

「あなた、美奈子ならわかってくれるわ。それに、あの娘の素性のことも」

「ああ。行こう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。