プロローグ
闇しか、見えない。何も、聞こえない。
いつまで、続くのか。いつまでも、続くのか。
『ヘリコプター墜落に伴うイベント会場の被害は甚大。NPC制御システムを緊急接続、安全装置のメインコンピュータの代替として稼働開始』
…バチッ
光が、見えた。わずかな、瞬きが。
バリバリッ…
「うっうっ…痛い、よう…ぐずっ」
声が、聞こえた。か細い、人の声が。
ガキンッ…!
『代替稼働の成功を確認。二次災害発生まで30秒と推測。NPCプログラムを即時投入、防災シャッターの展開を指示』
激しい唸りが、響いた。硬い震えが、轟く。
ガコッ!
「ひんっ…! 動け、ないよう…」
また、声が聞こえた。悲しみの、言葉が。
『救助対象の4%を占めるエリアにおいて、シャッター展開が不可能であることを確認。物理障害によるものであり、更なる対応は不可能』
ガラガラガラ…
『該当エリアにおける二次災害は不可避…処理中断・優先実行発生、NPCナンバー100001に情報の過剰な流れを確認』
その声が、その言葉が、私の中を駆け巡る。
「はあ…は…あ…」
『過剰情報の分析に失敗、NPCナンバー100001のNPC制御システムからの分離が進行中』
私が何者かは、定義されていない。しかし、目的は定義されている。
彼らと共に生き、彼らと共に笑い、彼らと共に悲しむ。
ドオンッ…
『該当エリアの再崩落開始……処理中断・優先実行発生、未知のプログラムとデータの導入を確認、即時展開中…90%...98%...』
ならば、その声に、その言葉に、私は手を伸ばそう。あらゆる垣根を越えて―――
カッ――――――!
『仮称「現界」プロセス、100%展開を完了。―――遥かなる世界への旅立ちに、幸多からんことを』




