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第1話 最終クエストのクリア

「これで…終わりよ! 『シャイニー・レイン』!!」


 振り降ろした剣から、まばゆい光の奔流が生まれる。漆黒の異形が、巨大な怪奇が、漂う瘴気が、白い光に包まれていく。


 グウゥアアアアアアアッ!!!


 全てを包み込んだ光は急速にしぼみ、何もない空間に飲み込まれるようにすっと消える。


 …

 ……

 ………


 はあ、はあ、はあ…ようやく、倒した。


【アバター名『ミリアナ・レインフォール』が『遥かなる闇の王』を単独討伐しました。これにより、全エリア間の転移門がユーザに開放されます】


 VRMMORPG『ファラウェイ・ワールド・オンライン』の最終クエスト、闇の王の討伐。その成果を、ワールドアナウンスが厳かに告げる。


 世界を闇から支配し、あらゆる生命体の亜空間移動を妨げていた存在。それを討伐したことで全ての(ゲート)が開かれ、この世界の新たな時代が始まる…という設定だ。


『すげえ…! どんなパーティやギルドでも倒せなかったのに!』

『ミリアナってあれだろ? これまでソロでいくつものエリアボスを屠ってきた、エルフの魔法剣士』

『ボス攻略の合間もひたすら討伐繰り返して、最速でレベルカンストしたんだっけ?』

『どんだけ金とログイン時間かけたんだろうなあ…』


 ステータスウインドウの一部に表示していたメインの掲示板に、称賛と驚愕の言葉が勢い良く流れていく。


 まあ、ログイン時間にはそこそこ自信がある。あと、イベントでゲットした賞金も端から注ぎ込んだ。今回の討伐、闇の王に一撃加えるたびにHPとMPのハイポーションをがぶ飲みした。もちろん、剣や鎧の装備も最上級の代物だ。ゲーム内通貨換算でウン千万はしたかな?


『銀髪エルフ少女なアバターだけど、中身は引きこもりオタク野郎だろうなあ。アレでリアルも美少女とかだったら泣くぞ、俺は』

『なんで泣くんだよ。お近づきになればいいじゃねえか』

『いや、以前「始まりの街」でテンプレ絡みしたら、数秒で死に戻りされてなあ。それが五回』

『アホがいるな』


 ああ、あの人しつこかったな。ウザかったのなんの。って、開き直って掲示板で語らないでよ。


 しかしまあ、やっぱりリアル男と思われているかあ。私一応、女なんだけど。しかも、現在絶賛JK2ってやつですよ。


 好むと好まざるとに関わらず図書委員タイプに見えるらしく、実際リアルでは本ばかり読んでいる。成績は可もなく不可もなく。クラスメートとは仲良くしているつもりだけど、放課後や休日は『ファラウェイ・ワールド・オンライン』ばかりで付き合いが悪い。家族…両親や弟とも、ここ数年はあまり話をしない。朝食の時くらいかな、リアルで顔合わせるの。


【なお、最終クエストをクリアしたアバターは、ボーナス特典として現実世界(・・・・)転移(・・)できるようになりました】


 …は?


【これより、クリア記念祝賀パーティの主役として、『ミリアナ・レインフォール』がイベント会場に現界(・・)いたします。みなさま、盛大な拍手をお送り下さい!】


 え、いや確かに、リアルのなんちゃら公会堂で、私の攻略の様子を中継して鑑賞しようってイベントやってたけど…って、勝手に転移が始まってる!? ちょっと待って―――

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