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第九話「叶えたい願」

 歴代の人が築きあげたものを崩すわけにはいかない。でも今の僕には知識が足りないので勉強しなければならないが、勉強すれば今度は人付き合いが出来なくなることに気が付いた。

 僕に勉強と付き合いの両立なんてできるのか。

 だが実際にお父さんはその両立をさせている。それどころか、家族との交流を忘れずにそれまでも実行しているのだから、感心を超えて尊敬してしまう。

 いったいどうしたらいいのかと考えながら頭を前後左右に振る。

 すると、首筋に何か柔らかくモフモフしたものが当たる感触がして視線を上に向けると、いつのまにかリルが頭の上で寝ていたのだ。

 膝に乗せていたはずのリルは一度起きてまた僕の頭に上がり、落ちないように器用に寝ていた。まあ、余程暴れない限りリルは落ちないのだが。

 そんな時、僕はあることに気が付いた。

 さっき読んだ本の最後の方に書かれていた一文。


 霊核剥離から溢れ出る特殊な力を浴び続ければ、霊は魂だけの存在ではなく肉体を持って新たな命を得ると言う事。


 もしこれが本当なら・・・出来るかもしれない。

「ねえ、ユエラ」

「何?」

 ユエラの目を真っ直ぐに見る。

 僕の目が真剣だということに気付いたのか、ユエラのも真剣な顔をする。

「僕と、ずっと一緒にいて!」

「・・・え、えええぇぇ!?」

 ユエラが顔を真っ赤にして声を上げて驚く。

 あれ、僕なにか変なこと・・・、


『僕と、ずっと一緒にいて!』


 ・・・あ、言ったな。

 ん? 僕はいったい何を言っているんだ?!

 自分が言った言葉に自分で驚きつつ、急いで訂正を加える。

「あ、違う。そっちの意味じゃなくて(本当はそっちの意味もあるけど)、ユエラにしてやりたいことがあるんだよ」

「・・・私に?」

 顔を真っ赤にしていたユエラは、なんとか平常を保つため深呼吸をした。

「うん、そう」

「なに?」

「えっとね、これは僕が勝手に思ってることだから嫌なら嫌って言ってね。さっきの本に霊核剥離と長いこと一緒に霊がいると、肉体を持って、新しく命を持って生まれてくることが出来るって書いてたじゃない?」

「・・・確かに、そう書いてあったね」

 本棚に戻した本を見る。

 黎明力により、霊の肉体が再構成されると書かれてあったのを思い出す。

「それでね、僕・・・ユエラに、もう一度新しい命をあげたいんだ。僕ができる・・・ううん、僕にしかできないこの霊核剥離の力で」

「・・・桜華」

 僕は無意識のうちにユエラの手を取り、力を込める。

 勝手なことだけど、心から本気で僕はそう思っている。

 庭でユエラが生きていた時の記憶がないといった時のユエラの顔は見るに堪えなかった。

 あんな顔はもう二度と見たくない。

 そして、できるならもう一度、ユエラに人間として生きて欲しい。僕も、ユエラと一緒に生きたい。そう思ったから僕は決心したのだ。

「桜華」

「何?」

 僕は返事が来るのを期待したが、ユエラの口からは別の言葉が出てきた。

「痛い」

「え・・・わわ、ごめん」

 いつの間にかユエラの手を力強く握っていたのに気づいて手を離す。

 余程強く握っていたのか、ユエラは手を後ろに隠してしまった。

「・・・別の方かと思ってビックリしたじゃない」

 俯きながらユエラは何か呟く。

 だが、声が小さすぎて何を言っているのか聞き取れなかった。

「え? 何か言った」

「別に、なんでもない」

「それならいいけど。それで、さっきのこといいかな?」

「・・・明日まで、考えさせて」

「わかった」

 嫌と言われなかったのだけでも良かったと思いつつ、僕たちは書斎をあとにした。


来週はテスト前なのでお休みさせていただきます。

次回の投稿は六月の二、三日のどちらかに投稿します。


話のストックがあまりないのが辛いです。

感想や良し悪し、誤字脱字、などがあれば教えてください。

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