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魔道具と娯楽品の作成に勤しむ転生令嬢は、囲われていることに気がつかない  作者: 成瀬川 透


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43/71

43_空はつながっていなかった

エリックは私を部屋まで連れていってくれた。ソファーに並んで座り私の背中を擦ってくれた。

「マリ、大丈夫か?不快な思いをさせてすまなかった」


「ううん、大丈夫。それにエリックのせいじゃないし。守ってくれてありがとう。ジェットさんにも後でお礼を言わないと」

私は精一杯に笑ってみせた。そんな私をみたエリックは顔を歪め「笑いたくないときは、無理に笑う必要はない」と私の膝に置かれた手を握ってくれた。私は笑顔を保てなくて下を向いた。


「夕飯までは1人で休んでもいいかな?」

エリックはそんな私の言葉に「側にいる」と言ってくれた。


「……ありがとう」

私とエリックは特に何をするでも話すでもなく一緒に過ごした。沈黙が心地好い相手なんか、なかなかに出会えない。私は本当にエリックと出会えたことに感謝した。


夕飯を食べ終え、お風呂も済ませ、私たちは約束通り夜の散歩にでかけた。ランタンはエリックが持ってくれ、トム爺さんが手入れしてくれている花壇脇を2人で歩く。


私は立ち止まり夜空を見上げた。


「マリは夜空を見るのが好きなんだな」


「どうなんだろ。……好きというか1度目の人生の時は、空を見上げる気力なんてなかったな。

2度目の人生ではさ、『空はつながっている』って言葉があるの。どんなに離れた距離にいても、同じ空を見上げれば人との繋がりを確認できるって意味があるんだけどさ……」


ここで私が話すのを一旦やめたが、エリックは口を挟まず続きを待ってくれた。私は右腕を夜空に伸ばし、人差し指を星と星を指で線を繋げるように動かす。


「星と星を繋いで人や動物、道具に見立てた星座ってのがあって。季節毎に見れる星座は違うんだけどさ」


私は夜空に伸ばしていた右腕を下げた。


「━━━━夜空を見上げても知っている星座がないんだよなぁ……。


あぁ、本当に2度目とは世界自体が違うんだなぁって。お父さんとお母さん、飼い犬のポチ、それにオタク仲間に最期の挨拶も出来ないで死んじゃったからさぁ……。


今こうして私が生きていることを向こうの人たちは知らないから、いきなり居なくなってゴメンとも謝れないし、私はエリックに出会えて幸せだよとも伝えたいんだけど、空が繋がってないから無理だよなぁ……」


「マリ!私がいる!!」

エリックはランタンから手をはなし私を力強く抱き締めてくれた。ガシャン!とガラスが割れる音がしたから、おそらくランタンが割れた音なのだろう。私の両腕はエリックを抱き返すこともなく地面に向かって下がったままだ。


私の吐露は終わらない。


「私、怖いんだよね。3度目があるってことは、また死んだら記憶を持ったまま4度目が始まるの?って。

次はどの世界なの?私が知っている世界なの?って



━━━━……なんで私なのかなぁ」


私の意思とは関係なしに、涙が勝手に出てきて頬を伝う。


「マリ感情を押し殺すな。泣きたい時は泣けばいい。声をあげればいい。

もし次があってこの世界に産まれ落ちたのなら、私の家を頼ればいい。子孫代々に伝え遺す。マリが今後も安心できる世界を私がつくるからっ!!」

エリックは更に力を入れて私を抱き締めてくれた。私は恐る恐るエリックの背中に両腕を回す。


「……本当に次があったら頼ってもいいの?」


「あぁ、ここがマリの居場所だ」


涙が溢れてとまらない。私はエリックの背中に回した両腕に力を入れて抱き返した。


「ごめん、今は泣く。泣かせて。明日には元気な私に戻るから」


私は子供のように声を出して泣いた。エリックはその間ずっと抱き締めてくれ、時には頭を優しく撫でてくれた。



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