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仮想次元探偵  作者: 時雨
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一日目  夢のゲーム『アクイム』

『やあやあ皆さんようこそアクイムの世界へ!

 僕の名前は"クリム"。

 ここは何でもできちゃう夢の世界!

 みんな大好きバトルロイヤルだってあるよ!音楽好きにはたまらない、音ゲー

 だってある。それだけじゃない。みんなが好きに絵や漫画を描いて、公開する 

 ことだってできるんだ。さらに、ゲームを配信する、配信者にだってなれる。

 その他いろいろ!

 みんながそれぞれ好きなことを好きな時間にできるんだ!』


ふーん。友達に進められて始めたが、なかなかいいかもしれない。


『それじゃあ、まずは自分のユーザーネームを決めよう』  


..............


『君のユーザーネームは、"時雨"でいい?』


▶Yes or Not


『わかった!じゃあ、君は今日から時雨だね。

 次は、君のアバターを決めよう!

 アバターは、自分好みに着せ替えできるよ!』


アバターかあ。時雨っていうのは、もともと好きなキャラの名前だけど.......アバターまでそれに似せちゃったら、さすがにまずいかな?

こんなすごいゲームだもん。なんか著作権とかありそう。


『君のアバターは、これでいい?』


▶Yes or Not


『これが君のアバターだね!じゃあ、改めて、今日からよろしく、時雨』



*            *           *



「で、どうだった?できた?」

眠すぎて腕の中に顔を埋めている自分の目の前に、濃い黒髪の少女が寄ってきた。

「どうって?」

私はあくびをしながら彼女の凛とした瞳を見る。

「だから、アクイムのことだよ。昨日入れたんでしょ?」

そして、ニッと笑って私の彭を掴む。

「しーぐれ」

知らない振りをしてやろうと思ったのに、結局バレてしまったか。

そう。昨日の夜遅く、学校で友達の渡部加奈に誘われて、アクイムを入れたのだった。

ユーザーネームは、"時雨"

本名は新島こはるだ。

そして、この目の前にいる少女こそ、アクイムに誘ってきた張本人、渡部加奈だった。

「なーんで私のユーザーネーム知ってんの?」

こはるは呆れた目で加奈を見る。加奈は横髪を人差し指に巻き付けながら答えた。

「ウチだけが知ってるのがあるんだよね。なんかさ、最近アクイムに登録した人が見れるの。その中につい昨日、時雨って人が入ってたからさ」

加奈は得意気に胸を反らす。

こえええ.....とこはるは内心思った。

だが少ししてこはるは、ん?と思った。

「ねえ、今『ウチだけが知ってる』って言った?」

加奈は瞳だけこちらに向けると、「それがどうした?」と首をかしげた。

「........いや、やっぱなんでもない」

考え過ぎかもしれない。

「ところでさあ、」

こはるはハッとなる。

「本業は何にしたの?」

こはるは首をかしげる。

「本業?」

加奈は一瞬驚いたような表情を見せる。

「まさか、アバター作るところまでしか終わってないの!?」

こはるは少し考えた。確かに、昨日はもう遅かったため、アバターを作り終わってからは、そのまま寝てしまった。

「ああ.....そういう設定は多分やってないと思う」

呆然と告げるこはるに、加奈は呆れた目で説明する。

「アクイムはさ、ほら、いろんなゲームだとかアプリが一緒になってるようなものじゃん?」

へえ、とこはるは思う。

「そりゃ、もちろんそこでいろんな事をやるのはいいんだけどさ、どれを一番多くやるのかとかさ、どれが好きなのかとか、そういうのを決めないといけないの。それが本業」

加奈は疲れたようにため息をつく。そして、こはるに向き直る。

「で、時雨さんは一体何が本業なわけ?」

こはるは天井を見上げた。真上についている蛍光灯が眩しい。

「加奈ちゃんは、本業何にしたの?」

加奈は急に質問されて戸惑う。

「ウチ?」

こはるは、顔を加奈の方に向けて頷く。

「ウチは、バトルロイヤル。戦闘系だよ」

「じゃあ、私もバトルロイヤルにしよっかな」

加奈は「え?」と目を見開く。

「それでいいの?」

「うん。だって加奈ちゃんと同じじゃないと、よくわからないんだもん。いろいろ教えてもらわないと」

加奈はしばらく呆然としていたが、ゆっくりと頷いて、「わかった」と言った。

「ではさっそく」

加奈は人差し指をこはるに向けて言い放った。

「今日の放課後、アクイムで」

その時、チャイムが鳴った。

加奈も席に戻ろうとしたが、「あっ」と何かを思い出したようにまたこはるのところに戻ってきて言った。

「ウチのユーザーネームは、"レモン"だよ」



*              *               *



時雨「ここはどこ?」

レモン「ここはプレイング広場。主にみんなここからやりたいゲームへ入ってい

    くんだよ。ここはユーザーが一番集まるところ」


今日、時雨はレモンにゲーム内の設定や方法について教えてもらっていた。最初に連れてこられたのは、このプレイング広場だった。

大きな円形の広場で、真ん中には大きな噴水があった。壁の側面にはたくさんの扉があり、それぞれがゲームや配信部屋に繋がっていた。


時雨「面白い場所だね。ゲームといっても結構リアルなんだね」

レモン「ところで時雨。本業設定はした?」

時雨「うん。レモンが来る前に少しやったよ。ちゃんとバトルロイヤルにしとい

   た」

レモン「なら良かった。ていうか、時雨のその衣装とこはるのイメージがあんま  

    り合ってないような気がするよ」

時雨「そう?」

レモン「うん。和装に角って、すごくかっこよくていいけど、こはるとはまた違 

    う......」

時雨「まあ別にいいじゃない。現実と仮想では違うんだから」

レモン「それもそっか」


その後も、一通りレモンに説明をしてもらい、今日はもうやめることにした。

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