【00-02】とある神の葛藤
技能と能力を司るウワハル神は、少しばかり悩んでいた。
「またあの世界のやつらが、同じ過ちをやらかしやがった。」
数多ある世界の1つ、『エンド=レキナス』において、1000年ほど前に禁呪として封印した召喚魔法を復活させてしまったのだ。
理由は単純。
魔王に率いられて攻め込んできた魔族たちを倒す戦力を、異世界から召喚するという自己主義的な他力本願な目的のためである。つまるところ、勇者召喚である。
まあ、今回も前回も、同じ理由だったのだが・・・・・。
「そんな理由のために、いったいどれだけの生命が失われていくと思っているんだ?本当にあいつらは!!」
前回の召喚では、召喚側『エンド=レキナス』において、当時の世界人口(全世界に存在する生命体の総数)の約3割が、召喚魔法の影響を受けた世界においては、当時の世界人口(全世界に存在する生命体の総数)の約1割が失われていった。
そして、全く無関係の者たちを100万人ほど『エンド=レキナス』に巻き込んで召喚してしまったのだ。この巻き込まれてこの世界に来てしまった者たちについては、当時無人地帯で魔族との戦争に関係のなかったとある当初列島に転移したうえで、そこの島に国を創らせるという方法で保護したわけだ。なおわざわざ、大量召喚されてしまった国の守護神に協力を仰ぎ、神託という形をとって国を創らせている。
なお、この国家が1000年後の現在も存続しており、世界最古の国家として繁栄している。
しかし、だ。
今回は、召喚術式に割り込んだのが、魔法の発動後という事で、巻き込まれてこの世界に来てしまった者たち(今回の召喚では5万人ほど巻き込まれている)を、その国へと転移させる事が一部の者以外できなかった。それ以外の者たちは、この世界の何処かに分散させる事しかできず、中には危険地帯に放り込んでしまった者たちもいるほど。
さて・・・・・どうしようか。安全な場所にいる者たちはともかく、危険地帯に放り込んでしまった者たちにはすぐに死ぬ環境だけは作りたくない。
そう思いながら、危険地帯に放り込んでしまった者たちを観察するウワハル神。
なお、世界を渡る際に、すべての世界を統括する創造神であり、宇宙の始源を根源と司る女神、ウブタマトコタチ神の干渉によって、この危険地帯に落ちてしまった者たちの内、男物の服を着用している者たちのみ全裸にされてしまっていた。
「しかしなあ~~~~~。」
未だ目を覚まさない(すでにこの世界に来て、1時間ほど経過している)その者たちを見ながら、少し感傷に浸るウワハル神。
「ウブタマちゃんの趣味嗜好のせいで、数人の男性以外、大変な事になっているなあ。あれじゃあもって、あと数時間が関の山か。特に、雪山地帯に放り込まれた者たちは、魔物に食い殺される前に・・・・凍死かあ・・・・・。」
なお、女の子たちと、一部女装している男の娘には、そういった心配は一切していない。なぜならば、ウブタマトコタチ神の趣味嗜好である、大の女の子好きと、女装している男の娘好きによって、『創造神の寵愛』という最上級の加護があるからだ。
この『創造神の寵愛』を持っていると、自然環境に起因するあらゆる病気や怪我、心的・精神的外傷を完全無効するからだ。また、ウブタマちゃんの優しさか、全裸になってしまっている男性に関しては、今後1日以内に女装さえすれば、同じ寵愛を受ける事が可能になる。そして、上奏している時間が連続5日以上あると、体つきが中性化していき、その服装に違和感を覚える事は無くなっていくのだ。
何とも、迷惑極まりない寵愛の効果だが、ウブタマちゃんの趣味嗜好の前には、何を言っても無駄である。
「それよりも・・・・だ。」
『自然環境に起因する』という前提は付くが、この世界特有の病気すらも無効化するのでこの森・・・・というかぶっちゃけ魔境の落とされた者たちは、戦闘以外では死ぬ事はなくなるだろう。
「そうなると戦闘関連で、何か特別なモノを与えておかないといけないか。」
一応、この世界に巻き込まれて転移してきた者たちは全員、その者たちの生活習慣や趣味嗜好から、ランダムに選んだ能力や知識をスキル化して、それぞれ1つずつ与えている。さらに言えば、この世界において、スキルの習得を速める『必要経験値増加』というスキルを付与している。
元々勇者たち4人(今回は4人が勇者パーティとして召喚された)については、何もしないのが神々の見解となっている。理由としては、そもそも勇者パーティとして召喚される者たちには、『勇者』という称号を得る事によって、そういったスキルが自動で付与されるからだ。
なので、改めて神々が、そういった事をする必要がないからだ。そういった事をするのは、巻き込まれてしまった者たちのみとなる。
「まずは特例として、魔境に落とされた者たち全員には、全員戦闘スキルを付与しておこう。付与する内容は、これまでの生活環境を考慮して・・・・。そして、魔法を簡単に使えるようにして・・・・と。あらま、数人について、この世界にない魔法属性が付与してしまったわ。・・・・まあいいか。この人たちなら、どんなモノでも使いこなせれるだろう。
あとは・・・・・・・。
ウブタマちゃんの趣味嗜好に便乗する事になるけれど、あの服装に特殊な付与をしておこう。」
こうして、この世界の最も便利な戦闘服が誕生したのだった。




