【03-01】春の幕開けは旅立ちの季節
雪解けの春を迎え、私達は4ヶ月ほどお世話になったあの森の奥地を旅立つ。
ちなみに、頑張ってゲームをやったおかげ?で、この世界の半分の土地(実際は町や村だが)に転移可能だけど、それでは旅の(異世界テンプレ的な)醍醐味がなくなるという身勝手な理由で、歩いて移動する事になっている。ついでに今私たちがいるこの森の中って、いろいろな貴重な資源がたっぷりと眠っているので、そのあたりもすべて一通り回収していきたいとの思惑もあるが・・・・・。
まあ、こっちについてはついでにやる事なので、別にあろうがなかろうが問題はない。
そうやって私たち5人とナオト君は、現実世界で暇なのをいい事にゲームにどっぷりとはまり、気が付いた時には世界最強クラスの実力を手に入れていたらしい。
ついでに言えば、ゲーム世界内では、冒険者ランクがいつの間にかBランクまで上がり、莫大な大金を手に入れているが、・・・・・これもまあどうでもいい話だ。
そんな感じで、雪が解けて地面が見える森の中を、ピクニック気分で歩き出した私達6人。
・・・・・そう、6人である。
メンバーは次の6人で、この6人で今後パーティを組んで、この世界を方々に動き回る予定である。
1人目は、前衛の物理攻撃職であり、刀剣武器を扱わせたら右に出る者はいなというほどの腕前に成長したユウト君。
この世界にあるすべての剣術を極めようと日夜頑張っており、現在は地球で身につけた剣術と、この世界で身につけた剣術を融合させて、全く新しい剣術を開発してしまった。
専用武器は、『斬鉄刀:常世の春』という名の斬鉄剣。
この世界にあるあらゆる固形物体(有機物・無機物問わず)を切断できる神剣。切断できる物体の硬度は、切断する際に注ぎ込む魔力量に比例するが、固形物体を取らない有機物・無機物に関しては切断する事ができない。
普段人前で使用する普段使いようの武器は、ゲーム世界内で手に入れた『聖剣:クリティカル』という名のロングソードだ。
この聖剣は、その名の通り、どんなモノにも存在する(魔力を込めた状態で)急所を突く事により、一撃で粉砕できるという剣である。なお、一撃とは言っているが、実際は「使用者の実力以下ならば」という枕詞が入る感じだ。つまり、実力以上の敵とガチバトルする場合は、それなりに急所攻撃をしかけないといけない事になる。
2人目は、前衛で移動型楯職と務め、あらゆる徒手空拳を極め、鈍器から長尺武器、刀剣、そしてタワーシールドと、どんな武器も使いこなせるナツキ君。
その容姿からは想像もつかないほどの力持ちだが、そのギャップがまたいいというのが皆の萌えポイントでもある。
専用武器は、『神龍の鱗甲』という左右一対の篭手装備。
神剣・聖剣・魔剣以外のあらゆる武器を破壊でき、あらゆる攻撃(物理・魔法・精神)が起こす現象や事象を殴る事ができる。また、イメージした通りの形状に変化(明らかに質量保存の法則を無視した大きさも可能)するため、どんな物理武器にも変化できる性能も併せ持つ。もちろん威力は込める魔力量に比例する。
普段人前で使用する普段使いようの武器は、ゲーム世界内で手に入れた魔導具『変幻自在』という篭手装備型の魔導具。
これは、初期装備として持っていた者をそのまま強化してきたモノで、周囲にある者を利用して、あらゆる武器や防具を作り出す魔導具である。なお作り出した武器や防具の強度は、その素材となったモノの強度に比例する。
3人目は、前衛の盗賊職であり、後衛の魔法攻撃職でもある移動砲台アリサちゃん。つまり、私の事である。そして、私のポディションは、変幻自在に戦場を駆け巡る(短剣専門の)魔法剣士といったところ。
短距離選手だったすばしっこさを生かし、敵を攪乱しながら薄く広い攻撃を仕掛け、ユウト君たちの攻撃をサポートしていくポディションとなる。また、シーフとして罠の設置・解除・探知能力も持っている。
専用武器は、『魔法双剣:〇華・〇華』という双剣。
有機物・無機物・霊体など、あらゆる生命体に対し切断力を有するが、属性によっては切断できないモノも存在する。なお切断力は、切断時に注ぎ込む魔力に比例する。
当初は、火属性が付与された『炎華』と、氷属性は付与された『氷華』からなる魔法双剣だけだったが、実はこの世界に存在する魔法16属性(空・時・重・光・闇・風・火・水・地・癒・壊・雷・氷・焔・樹・無)のどれかを付与された短剣2組からなる双子の双剣なので、現在手元にあるモノは頑張って増やし、現在は光属性の『光華』・風属性の『風華』・火属性の『炎華』・水属性の『水華』・地属性の『地華』・雷属性の『雷華』・氷属性の『氷華』・無属性の『無華』の8種類になっている。しかし、召喚される探検は2組ずつでランダムなため、実際ダブっているモノもあるため、手元にあるモノは20本以上を超えてしまっている。なお、全属性を揃えるコンプリートするまで頑張らないといけない。
普段人前で使用する普段使いようの武器は、っ初期装備としてゲーム世界内で手に入れた『鋼鉄の双剣の見た目のミスリルの双剣』長ったらしいので、私は『偽能の双剣』と呼んでいる。
ミスリル装備は、この世界では下のランクの武器に偽装できる能力があるらしい。また、実際の能力も折り紙付きであり、対手のモノは込める魔力次第でどうとでも斬り裂く事ができる。
4人目は、私と同じ前衛の盗賊職シーフだが、弓矢を得意とした中衛よりの攻撃専門職であるヒナタちゃん。
ヒナタちゃんは、魔法にも精通するオールラウンダーで、元々長距離の選手だったため、シーフとしての索敵能力に長けている。
専用武器は、『魔弓:蒼穹和弓』という、和弓型の長弓である。
魔力を矢の形状にして放つ事ができる和弓。属性を込めれば、その属性の魔法矢に、込めなければ普通の矢として放ち、込める魔力量によって着弾時の威力が決まる、弓を使う者たちにとっての、最大の弱点である矢の補給をしなくても済み、また、威力や射程も思いのままという弓である。
普段人前で使用する普段使いようの武器は、ゲーム世界内で手に入れた『魔弓:精霊魔砲』という名の長弓だ。
素材自体はミスリルでできているため、普段はただの竹でできた長弓に視えているが、その実態は、普通の矢を契約した精霊の属性矢に替えて放つというモノ。矢自体は市販品を使用するため大量に用意しないといけないが、契約精霊が多ければその分属性も多くなるわけで、日俣ちゃんは、(精霊契約に関しては、ゲームはゲーム、現実は現実だったため)ゲームの中でも現実でも、精霊契約を積極的に行っていた。
5人目は、後衛専属で、回復・支援職ヒーラーであるレイナさん。
ステータスにあるスキル的にも、本人の資質的にも、何処かの誰かさんから『お前は回復・支援職ヒーラーをやりなさい。それがお前の天職だ。』と言われているようなレイナさん。称号欄には『治癒神の聖女』が何故かあるほど、治癒神様に溺愛されている。
なお、この『治癒神の聖女』は、この世界で唯一1人だけが持つ事に許されている称号である。そのため、紙のご神託により『治癒神の聖女』が現れた事は、すでに世界中に知れ渡っており、神殿や教会関係者が現在必死になって世界中を捜索している事を、大きな町に到着してから知った。
専用武器は、『神杖:破邪福音の錫杖』という何処かの宗教の教皇様が持っているような錫杖である。
治癒の女神『マリアスクナ』様が加護を与えた神杖で、『治癒神の聖女』様の専用装備でもある。・・・・・と、つい最近判明した。
治癒や回復魔法の効果を増大し、呪詛や威嚇などの状態異常を、込めた魔力に比例した範囲内においてすべて無力化する。また、この杖を起点に、安全休息区域を構築する事によって、魔力消費なしに結界を構築する事が可能。その範囲も、込められる魔力量に応じて広がっていく。
普段人前で使用する普段使いようの武器は、ゲーム世界内で手に入れた『祈りの錫杖レプリカ』というモノで、神器『祈りの錫杖』のレプリカ品である。
こちらは、ただ祈るだけで、祈りを捧げた者の願いをかなえるという神器であるが、本物は祈りを捧げた者の魔力量次第で、何処まででも広範囲に願いを叶えてしまうのだが、レプリカ品は祈った者が所属しているパーティにのみその効果を発揮する。実は、本物の方もレイナさんは持っている(5人全員が持っている【神武装備】というスキルによって)のだが、レプリカ品の方が(目隠しで使うのなら)使い勝手がいいとの事で、レプリカ品を普段使いようの武器にしている。
で、最後の6人目は、ついこないだまで無人島で全裸生活を満喫していたナオト君。
地球では、古松直人君といい、元鏑木学園高等学校の生徒(ゲームにおいての初期装備が元鏑木学園高等学校のセーラー服だった)なんだが、2学年だったため私とは面識がない。
まあ、それはいいとして。
彼の戦闘スキルは、弓と投擲がカンストしており、魔法系統はそこそこの腕前である。そして、それに合わせたステータス構成である。たぶん、部活がテニス部だった事が関係しているんだと推測。
なお、ナオト君のパーティ内でのポディションは、固定型の楯職であり、それ専用ともいえる装備とスキルを取得済みである。
ゲーム内で転移スキルを鍛えたおかげで、見事始まりの町・リンドバーグに、現実世界でも転移が可能になった。もちろん私たちも転移できるようになっていたので、先日リンドバーグで落ち合う事に成功。そのまま私たちがいるあの森へと転移で連れてくる。
その結果、私達と共に暮らす事になり、空き部屋だった部屋の1つを私室としている。
そんなナオト君だが、現在はゲーム内の装備であるセーラー服(何故か下着付)しかないので、チート装備な私達と同じセーラー服と体操服・ブルマを差し上げる。私たちもそうだが、普段・・・・というか、人様の前での戦闘服は、ゲーム装備のセーラー服を着用し、ガチな戦闘の時は、チート装備のセーラー服にする事になる。
普段着は、先ほどリンドバーグで購入した女性モノの服装であるのは言うまでもない。
だって、男の娘は、女装しているだけで、神様・・・・・、それも創造神様の加護を手に入れる事ができるんですよ。女装に抵抗がないのなら、女装して暮らすべきであります。なお、我らのパーティにいる男の娘3人娘?は、女装に抵抗がないどころか、ガチで女装する事に喜んでいる人種です。ナオト君は、つい先日までは女装に抵抗があたのだが、今ではすっかり女装に填まってしまった男の娘です。
さて問題は、ナオト君の専用武器と、普段人前で使用する普段使いようの武器である。
普段使いようの武器の方は、ゲームで使っていた『魔槍:千鳥十文字槍』と『魔弓:タマユミのミコト』でいいとして、問題はの専用武器のほうである。なぜ、ナオト君が槍を持っているのかというと、弓と投擲だけでは、近づかれた際の対処ができないとの理由で、槍術を取得していたからだ。そしてついでに槍をやるのならという事で、楯術も取得していた。
ナオト君のステータスには、【神武装備】というスキルがないため、チートな武器を呼び出す事ができない。というか、ゆい先日・・・・本当に数日前まではなかったが、無事に特殊所有技能6点セット(神武装備〔E〕・五感超越〔E〕・パーティリンク〔E〕・世界樹の知識〔E〕・転移〔E〕・魔眼〔E〕の6つのスキル)を創造神の寵愛とともに取得できている。どうもこの6点セットは、創造神の寵愛があるモノにのみ取得できるスキルらしい。まあ、転移だけは自力で取得をしているが、・・・・・・結果オーライです。
では早速、【神武装備〔E〕】を使って武器を呼び出してみよう。
その結果・・・・・。
『セーラー服の姫騎士セット』
所属するパーティの神装装備であるアンダーウエア:体操服・ブルマ(元私立鏑木学園高等学校女子運動着)と、バトルスーツ:セーラー服(元私立鏑木学園高等学校女子制服)を創造神・ウブタマトコタチ神の趣味を全開にした改造により誕生した世界で唯一の姫騎士セット。
髪形から足元まですべて創造神の趣味を全開にしたコーディネイトであり、この装備を装着した瞬間にその姿に瞬時に変更される。
武具自体はセーラー服一択になるが、武器自体はこの装備専用のタワーシールドと、仕込み弓付き千鳥十文字槍となる。タワーシールドは専用の矢筒としての機能があり、仕込み弓付き千鳥十文字槍で使用する専用矢(自動補充付)を格納しておく事もできる。仕込み弓付き千鳥十文字槍の方は、瞬時に槍モードと弓モードに変更可能である。
この装備を着用する際は、『セットアップ』という合言葉を唱えれば、どんな服装からでも即座にこの装備へと変更され、『セットオフ』の合言葉で、直前の装備に即座に戻る。なお、この合言葉は、パーティに所属し、創造神の寵愛を持っている、アリサ・ヒナタ・レイナ・ユウト・ナツキ・ナオトの6人全員に対しても当てはまるよう、先ほど創造神が、それぞれの装備に付け加えた。なお、それぞれの装備品(専用武器・専用バトルスーツ・専用アンダーウエアーは、各自の専用異空間倉庫に入れておけば、別段外に持ち歩かなくてもよい。
なんか、私達に対しても瞬間装備ができるようなモノを取得してしまったが、これこれで良しとしておこうか。いちいち着替える必要がなくなるからね。それにしても、またとんでもない装備を、創造神様は作り出したモノだ。
いったい私たちを、何処に向かわせる気なんだろうか?
この世界には、勇者様がいるというのにね・・・・・・・・・。