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やんごとなき方が、うち(田舎子爵家)に輿入れすることになりました。二人。  作者: 紙吹雪あーこ


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1/5

婚約破棄、巻き込まれました。

 初代王が女神アルディオーネから加護を受け建国に至ったグランディーナ王国。王都グランツには貴族たちの学舎アルディオ王立学園がある。

 日が差し掛かり、春の陽射しを受けて生き生きとしていた花壇の花々も今日の終わりを惜しむように身を俯かせていた。その脇をハッハッと息をしながら急いた様子で2人の生徒が駆け抜けていく。


「ヴィル!少しは急いでよ〜!ハンナ達が待ってるわ!」

「リズ、急いでもパーティーなら始まってるよ。ほら、ファーストダンスが始まってる。この曲懐かしいね。」

「もう!」


 どうやら急いでいるのは1人だ。

 リズと呼ばれたのはリズベット・バード。王都グランツから遠く北の領地を守るバード子爵家の令嬢だ。同い歳の令嬢より頭ひとつは身長が高く、三つ編みを瞳と同じ深緑のリボンでまとめたダークブラウンの髪が背の中心ほどで走りに合わせ揺れている。

 ヴィルと呼ばれたのは同じくバード子爵家の嫡子、リズベットの双子の弟イーヴィル。身長はリズベットの顳顬《こめかみ》くらいで『少し』低い(本人談)。まだ微かに残る夕日で淡く光る柔らかな金髪をふわふわと揺らし、新緑を思わせる瞳をニコリと細めた。


 「食事ならパーティーでいくらでも食べれるのに、どうして急に家で食べて行きたいと言うのよ!」

 「出てくる食事想像つくし、リズの手料理の方が好き。あ、眠い」

 「ちょっと、眠ろうとしないでよ〜!お願いだから急いで!」


 リズベットは頭の中で、(この贅沢者!・・・いや質素なの?)と弟の事を考えながら、兎も角早く一緒に目的地に着かなくては!と繋いだ手を引っ張りながら走った。


 今日、リズベット達はアルディオ王立学園の第四学年に進んだ。昼間には入学式があり、今夜開かれているのは新入生への歓迎パーティーだ。聞こえてくるのは軽やかで優美さも感じる歓迎パーティーにのみ使われる曲。ファーストダンスを踊るペアは上級生の高位貴族から選ばれ、学生として、貴族としてに身につけるべき教養を新入生に示すのだ。

 リズベット達が入学した際にファーストダンスを披露したのはグランディーナ王国の第一王子とその婚約者だった。リズベットはその時のことを今でも思い出しては感動し、いつか自分も誰かとあんな風に踊りたいとダンスの講義を頑張っている。リズベットは毎年このダンスを楽しみにしていたし、今年ペアを組むのは第三王子とその婚約者、シエラ・ルイ・ノクトール侯爵令嬢。リズベットは入学式以来、シエラにずっと憧れてきたので、何としても2人が踊るファーストダンスが見たかった。もちろん友人を待たせている事も気がかりだ。


 (曲の中盤に入ったわね。最後だけでも見られそう!)


 会場の大講堂が見えた。階段を上がればすぐにホールが広がっている。焦がれた景色はすぐそこだ。


「リズ」


 イーヴィルが小声で呼び、くっと手を引いた。階段の上のことばかり気になっていてつんのめりそうになったが、どうしたのか?と振り返る。イーヴィルはゆっくりと階段の下側を右・左とみてリズベットと目線を交わす。

何かあるのだと分かり、陽が落ちて薄暗がりにも慣れてきた眼で同じように右・左と見て、ばっと右側に身を向けた。


 大講堂の入り口に続く階段の少し手前その右脇に立っていたのは、今そこに居るべきじゃない、リズベットが憧れ続けた人ーーーー。


 シエラ・ルイ・ノクトール侯爵令嬢。

 

 その本人だった。

 

 




 初めまして。初作品・初投稿となります。

 双子があたふたしたり、ほのぼのしたり、えいやー!とやったりする物語です。

 なにぶん作者、学生だったのが遠い昔なので学生を書き切ることが出来るか!?と早くも不安ですが、まずは頑張ります。

 よろしくお願いいたします。まずは3話。目指せ週一連載。

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