第8話 行こうぜ!!
淡々とした授業を聞いている暇もない。異世界について考えるとしよう。
「先駆者、そう。異世界のスペシャリストは異世界アニメの作者だ!! 異世界アニメの作者はみんな絶対に異世界系経験者……!」
俺は人中あたりに鉛筆を置き、椅子を上下にカタカタさせた。
「とはいえ俺が見た異世界アニメのほとんどは死んでいる。俺はそれでもいいんだが、あいつらを巻き込むわけにはいかねぇ……異世界転移のやつなんかあったっけ?」
行き詰っていると、ふと周りの人たちの会話が聞こえてきた。
「俺、最近変な夢見てさ! なんか足だけゴキブリになってたんだよなー」
「なにそれ~変なの~」
夢……そうか!! 俺は二年位前にみた異世界系アニメを思い出した。だが、題名だけは思い出せない。
「あの主人公は眠った時の夢の世界にそのまま転移してたな……そう考える夢の世界は実際に存在する異世界なのかもしれないな」
「天翔くん!!! にやけてないで②番の問題の答えを言いなさい!!」
②番、②番ね。ん……? 待て待て、なんで授業なんだ? ガイダンスどうしたよ!!
「先生!! ガイダンスは!?」
「高校二年生ですよ? 一年生の時と変わらないからありません! いいから早く問題!」
黒板を見ると、傍線部のケンの気持ちに最も近いのを答えろと書いてある。
「ケン!? そうだ、あのアニメの主人公もケンだった!! 先生、すみません早退します!!」
俺はそう言い残し、素早く教室の外へと足を運んだ。
「おーい!! 天翔くん!?」
後ろからなんか聞こえてきた気がするが関係ない。
「思い出したぜ!! アニメの題名は、ケンの夢転だ!! 」
廊下を走っていると、後ろからドタバタと足音が聞こえた。振り返る必要もなく、
「天翔、私も行くにきまってんでしょ!!」
「そうですよ、まったく!! 昨日なんて明日も異世界研究だ! とか言ってたのに置いてけぼりですか!」
左右には、琴音とエルメリアンがいる。
「行こうぜ!! 出版社へ!! 異世界の手がかりを掴みに!!」
俺たちは学校を出て、近い駅まで直行した。出版社があるのはその駅から七個目の駅。一時停止を含めて四十分くらいだろう。十分なまでの異世会議時間だ。
電車が来るまであと約十分。こんな時間でも俺は無駄にする気はなかった。
「琴音、エルメリアン。死ぬことなく異世界にいくことができたアニメを知ってるか?」
「僕はアニメを見たことないです」
そういえばそうだった。そりゃ異世界にアニメはねぇよな。
「言ってんじゃん! 私ラブコメ専門なの!!」
ああ……そうだった。
「まあいい。そのアニメの作者は絶対に体験したことを基に物語を構成してる。だから、その作品にかかわった出版社に行けば情報が手に入るんじゃねえかってことよ」
タイミングよく、言い終えた直後に電車が到着した。
「続きは電車の中でな」




