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エリオットの条件

緑は突然のエリオットの提案に驚きを隠せなかった。

しかし、この異常事態の真相は何としても聞き出したかった。


「あの、条件って?」


「うーん、そうだな……どうしようかな。」


その言葉に緑は更に驚いたが、こんな風なやり取りをついさっきしたことを思い出した。

思わせ振りな態度は、バーンそっくりだった。


「ちょっとパパ、そんなこと言ったら緑が可哀想じゃないか。」


いや、お前が言うなと緑は思ったが口には出せなかった。

その緑の隣でクスクスと笑っていたのは凛香だった。


「り、凛香ちゃん。」


「ごめん、なんか皆のやり取りが面白くって。」


家にいる時からここまで、ずっと緊張していたはずだ。

その彼女が緊張から一瞬でも解き放たれてリラックスしてくれたことで緑も少し冷静さを取り戻した。


「エリオットさん。条件教えてもらえませんか。」


「そうだね、こうしよう。私たちと共に戦ってくれ。そうすれば事の真相を話そう。」


漠然とした提案に『はい』とはすぐには応じられなかった。


「戦うって、何とです?」


「そこはまだ今は言えない。」


緑はやはりエリオットやバーンを信用できなかった。

肝心なことには何一つ触れようとはせず、一緒に戦えなんて意味が分からなかった。


「じゃあ別の質問をさせてください。異変者に、異変者になってしまった人はどうしたら元に戻せるんでしょうか?」


緑は、この質問をするのを躊躇っていた。

エリオットがだす答えが、だいたい想像がついたからだ。

この質問にバーンは『戻せない』と答えた。

だとすればエリオットの答えも同じだろうと。


「結論から言えば、分からないだ。」


エリオットの答えに緑はどう反応してよいのか迷った。

バーンとは違ったものではあったが、結果的にみれば喜んでいいものでもなかった。


「ああなってしまった人間は元に戻らないというのが私たちの考えだ。だが、方法がないとは言い切れない。それをこれから共に見つけてくれないか。」


エリオットの言っていることは理解出来た。

確かに、こうなってしまった原因が分かれば、もしかしたら打開策が見つかるかもしれない。

そしてそれをエリオットから聞き出す為には協力を承諾する以外ない。

そう判断した緑はエリオットの申し出を受けることにした。


「そうか、ありがとう。助かるよ。」


「それでいったい何をすればいいのでしょうか。」


「そうだね、今はまだ何もしなくていい。まずは身の安全を確保することから始めよう。君たちは少しの間、ここにいればいい。ここは安全だからね。」


「だけど、家には父さんがいるんです。一度家に帰ってもいいですか。」


「私も家に帰ってみてもいいかな。誰か帰ってきているかもしれないし。」


緑と凛香の願いにエリオットは悩んでいる様子を見せた。


「確かに二人の気持ちは分かる。だが、外は君らが考えている以上に危険なんだ。」


危険は承知の上だった。

緑は譲る気はない。

それを察知したのか、突然バーンが声を上げた。


「しょうがねえな、俺も一緒に行ってやるよ。」



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