↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/57

パパ

バーンの案内で緑と凛香は店の裏側へとやってきた。

しかし、そこは特に何もない薄暗い狭い部屋があるだけだった。

バーンはおもむろに木製の本棚から一冊の古びた本を取り出した。

すると何やらガチャという音が鳴り、バーンは本棚を横へとスライドさせた。


本棚を横へと滑らせると、その奥に木製の扉が顔を出した。

バーンは慣れた様子でその扉を軽く二、三度ノックした。


「パパ、入るよ。」


扉を開き、中へと入るとバーンが緑たちに手招きをした。


「今日はお客さんがいるんだ。紹介するよ緑と……えっと。」


「り、凛香です。」


隠し扉の奥の部屋は意外と広かった。

おそらく十二畳くらいはあるだろうか。

シックな作りで部屋の中央に三人掛けのソファーが対面に置いてあり、その間にガラスのテーブルが置いてあるだけのシンプルな部屋だ。


「お帰りバーン。その子たちは友達かい?」


緑はパパを見て驚いた。

色白で小さな顔は、どう見ても二十歳前後にしか見えない。

バーンの方が年上にしか見えない。

緑はバーンの顔とパパの顔を何度も見比べてみた。


「なんだよ、ジロジロと。言いたいことでもあるのか。」


ここで緑は一つの答えに辿りついた。

おそらく『パパ』というのは、あだ名なのだろうと。

そして思い切って聞いてみた。


「あ、あの、パパさんってバーンさんの本当のお父さんっていう訳ではないですよね。」


「ああ!?本当の父親じゃないって?じゃあ何か、俺はパパと血の繋がっていない、種違いの子供だとでも言うのか。」


「い、いえそういう意味では――。」


「おいバーン。彼が困っているじゃないか。」


パパは優しい口調でバーンをなだめた。


「君らがそう思うのも無理はない。だけど私は正真正銘、バーンの実の父親なんだ。」


これには緑は心底驚いたが、世の中には凄く若々しく見える人がいらるものなんだと、感心した。


「申し遅れたね、私はエリオットといって、この店のオーナーをやっているんだ。君たちは、緑君と凛香ちゃんでいいかな。」


緑と凛香はエリオットの大人びたオーラに萎縮してしまい、無言で頷いた。


「突然お邪魔してすみません。外で襲われてしまって勝手に、この店に入りこんでしまいました。」


「いいんだよ。今は誰もが混乱状態にある、いわば非常事態だからね。」


エリオットは綺麗な金色の髪をかきあげながら静かに言った。


「あの……いったい今、何が起きているのでしょうか?貴方ならその答えを知っていると、バーンさんが言っていたのですが。」


エリオットは少しきつい視線をバーンに送った。


「い、いや知っているかもって言っただけだよ。本当だよ、パパ。」


「ふーっ。まあいいでしょう。確かに私には今、この世の中で何が起きているのか、だいたい想像がつきます。ですが、それを君たちに簡単に話すことはできない。」


エリオットはソファーから立ち上がり、何かを考えながら喋っているようだった。


「お願いします。教えてください。」


緑は深々と頭を下げた。

その緑の態度をエリオットはどこか楽しげに見つめていた。


「――教えてもいいが、条件がある。」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。