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22.ひとつの決着と・・・

まずは、1人・・・。

 しかし、一言くらいは言っておかないとまずかろう。


 ということで、放課後の部活動が始まるまでの時間、俺は五色(ごしき)を調理室から連れ出した。


「五色、俺が何を言いたいか、わかるか?」


「ええ。やりすぎるな、ってことでしょう?・・・犯罪になるようなことは一切していませんよ?そんな価値もない」


「・・・さすが魔王様・・・じゃなくてだな!いくら犯罪じゃないって言っても・・・」


 俺が少しばかり説教するような調子になれば、五色ははぁ、とため息を()らして首を横に振った。・・・え、何?その呆れた感じ。


「最首先生、たかが婚約者の(うば)い合い、とか思ってませんか?」


「・・・まぁ」


 たかが、とまでは思ってないけど、婚約者の奪い合いとは思ってるな・・・。相手が宗島家の資産を目的としているから単純な問題ではないとは理解しているけど。


「ダメですよ、話はそんな単純なものではないんです。白遠家っていうのはそれなりに社会的地位もあって影響力もある家なんです。

 そんなところの後継者があんなで、あの病院の将来が安泰(あんたい)だと思えますか?」


 そりゃ・・・安泰じゃないだろう。


「でもなぁ・・・」


「それだけじゃないですよ、千田によれば、他の系列の病院でもあの御曹司に危機感を抱いている人達は多いそうです。

 一つの病院の失態が、他の病院にも迷惑をかけることだってあるんですから。そういう大きなことをしでかす可能性がある以上、見過ごすわけにはいきませんからね」


 つまり、今回の件をネタに、危険な芽を今のうちに()んじゃおうってことか・・・。


「じゃあ、俺はいいネタを提供(ていきょう)したってことか・・・」


「そういうことです。病院関係者は最首先生と宗島先生に感謝しているでしょうね」


 まぁ、表立ってあの病院はおかしなことやってます、なんてことは言えなかったんだろうなぁ・・・。下手すりゃ、握りつぶされて逆に酷い目にあわされそうだし。


 はぁ、逆に五色に説得されてる俺って・・・。まぁ、金持ちの世界なんてよくわからんしなぁ・・・。


「で、白遠のことはどうするつもりなんだ?」


「当然、ストーカー規制法に抵触(ていしょく)するので、(うった)えますよ」


「・・・あ、そこはまともにやるのか・・・」


「もちろん。白遠のやったことは“つきまとい・押しかけ・交際の要求・乱暴な言動”と、立派なストーカー規制法の対象ですし、この場合はこの手が最も有効です」


 五色のヤツ、本気だ・・・。


「えーと・・・もしかしなくても、かなり怒ってるか?」


「――――――ええ、かなり」


 にっこり。


 いや、笑って言う方が怖いから!めちゃくちゃ怖いからぁ!!



***



 余談(よだん)にはなるが、その日の夜。白遠がストーカー規制法によって訴えられたというニュースが全国を駆け(めぐ)った。


 行動早ぇえな!


 でもまぁ、これは利用できるかもしれない。



***



 翌日の学校はどこかうわついた空気につつまれていた。


 たぶん、昨日に続いて朝のニュースでも白遠のことが報じられていたからだろう。


 五色達が心配していた通り、白遠の病院はかなり際どい臨床試験をやって製薬会社に有利に運ぶような論文なんかを書いていた。それで得た報酬で病院を運営していたとか。


 たとえ命の危険に及ぶようなものではなくても、新薬の安全性をテストするものなんだから、そこはきちんとしてほしいものだ。


 きちんとしてほしいものなんだけど・・・そこ、警察にリークしたの、間違いなく暗黒のOBだよなぁ・・・。


 まぁ、白遠本人は知ってはいたけど関わってなかったみたいだし、一緒に公開することで反撃を封じたってとこか・・・味方ならこれほど頼りがいのある存在はないけど、敵には回したくないなー・・・。


「弓弦・・・」


冬芽(とうが)、おはよう」


「あ、おはよう・・・なんか、大事になってるねぇ」


「だよなぁ・・・まぁ、暗黒が動きだしたら誰にも止められないし」


「うん・・・こ、怖いよね・・・」


 あ、冬芽が泣きそうだ。精神的にもろい冬芽には刺激が強すぎたらしい。ここは恋人兼保護者にバトンタッチだ。


「・・・宝香(ほうか)先生!ちょっと、冬芽が泣きそうです!!」


「きゃぁっ!冬芽さんっ!・・・泣かないでくださいよぅ!!」


「うう・・・暗黒怖い・・・」


 あー・・・その暗黒の女帝・・・いや、顧問が宝香先生の姉の琴瀬先生なんだがなぁ・・・大丈夫なのか?―――まぁ、宝香先生に任せておくしかないな。


 今日の授業は3クラスだけだし少しだけ余裕がある。空き時間で奴らへの対策を練っておくことにしよう。


 お義父さんが昨日の夜に、白遠のことを理由にして奴らに婚約が決まったことを伝えたらしいし、放課後になったら乗り込んでくるハズだ。


来なかったら来なかったで、別に問題は何もないんだ。こっちの婚約を認めたってことだし。


 というか、認めるとか認めないとか、そういうのはお義父さんとかお義母さんとかがするもんであって、対抗馬だか当て馬だかの連中が言い出すもんじゃない。


 文句があるなら来ればいい。全部言い負かしてやる。こちとら教師だ。説得力に関しては新瓜や東横院なんかよりも上だって自信がある。


 ていうか、さっさと片付けたいから、早く来てくれないかな・・・。


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