第78話:王女の玉座、最後通牒の晩餐会
煌びやかなシャンデリアが、宮殿の一室を冷ややかに照らしております。
長きにわたりアリア総帥の前に立ちはだかっていた「四神女」という物理的防壁は、今や全て解体され、アリアの配下としてその足元に傅いております。
本日は、その全ての源流――ミランダ王女との直接会談の模様を、記録として描写させていただきます。
静寂に包まれた謁見の間にて、ミランダ王女はただ一人、玉座に腰を下ろしておりました。
その背後には、かつて彼女を守護していた四人の側近たち――ファラ、エレオノーラ、ベラ、セレスティアの姿が、今やアリアの背後に控え、冷徹なまでの忠誠心をもって王女を見下ろしております。
「……私の側近たちを、随分と美味しく染め上げてくださったのですね、アリア公爵令嬢」
ミランダの声は震えることなく、しかし深い絶望と怒りを孕んで響きました。
アリアは優雅に歩みを進め、王女の眼前に立つと、氷のように美しい笑みを浮かべました。
「お褒めにあずかり光栄ですわ、ミランダ殿下。彼女たちは非常に優秀な人材でした。適正なメンテナンスとインセンティブにより、最高のパフォーマンスを発揮してくれています」
「メンテナンス……貴女が彼女たちに施したのは、破壊と、汚らわしい快楽の刷り込みでしょう!」
ミランダは立ち上がり、秘めた魔力を全開にしようと試みます。しかし、周囲にはアリアが展開した《エテルネラ・ハーモニー》が満ち溢れており、王女の魔力回路は既に微細な快楽の波に干渉され、正常な出力を阻害されておりました。
アリアはミランダの頬に指を添え、耳元で甘く囁きました。
「殿下、もう終わりです。貴女の盾は砕け、貴女の理屈は崩壊しました。今、貴女が結ぶべきは『継承』の契約ではなく、私への『絶対服従』の契約です」
「……この私に、何を求めているのですか」
「決まっていますわ。貴女の身体も、心も、そしてこの国という資産のすべて。私のアカウントでログイン(管理)させていただきます」
ミランダは瞳を潤ませながらも、最後の矜持をかけてアリアを突き飛ばそうといたしました。
アリアはその手を空中で掴み取り、優しく、しかし有無を言わせぬ力で背後から抱き寄せます。
「明日の朝まで、存分に話し合いましょう。私たちの『経営統合』について。……次は、言葉ではなく、肉体で行う商談の場を設けておりますから」
アリアの視線の先には、準備が整った決闘場ありました。
ミランダの呼吸が荒くなり、白い肌が桜色に染まり始めております。王女としての仮面が剥がれ落ち、一人の無防備な少女へと堕ちるその時が、着実に迫っておりました。




