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9話、冒険者ギルドマスター

 俺は、どうしてここにいるのだろうか?ルーシィに懇願され、俺は今来たくなかった冒険者ハンターギルドにいる。

 冒険者ハンターを三年やっていれば、冒険者ハンターギルド内に知り合いが複数いても不思議ではない。

 そんな訳で冒険者ハンターギルドの扉を潜るのは憂鬱だ。きっと勇者パーティーを追放された事は既に知られているだろう。


「よし、行くか」


 入る決心を心に刻み、冒険者ハンターギルドの扉を開けた。酒場が隣接しており、昼間から酒を飲んでる輩の声が響き渡る。


「少ししか経ってないのに久し振りに思えてくるな」


 早速、ルーシィの頼みである冒険者ハンターギルドのギルドマスターに会うため受付へと足を運んだ。

 ただし、そう直ぐに済まないのが冒険者ハンターギルド。気性が荒く好戦的な輩が多い冒険者ハンター、だから絡まれる事も日常茶飯事だ。


「よぉ、そこにいるのは万年Eランクのカイトじゃねぇか」

「グラさん、酒臭いですよ」


 俺に絡んで来たのはCランク冒険者ハンターであるグラディウス、通称:グラさん。

 そこそこ腕は立ち、新人の面倒見が良く評判が良い冒険者ハンターとして珍しい人格者の一人だ。

 ただ、酒好きでクエストを終えると酒場に直行する。酔っぱらうのはギルド内だけで、外だと頼りになる兄貴分的な人物だ。


「仕事終わりの一杯が美味しんだ」

「はいはい、分かりました」


 俺はグラディウスを酒場にある椅子に座らせると颯爽と受付へ退散した。とうのグラディウスは、椅子に座った途端にテーブルに突っ伏してしまう。

 出会ったのがグラさんで良かった。勇者シャインに会ったら、どんな顔をすれば良いのか分からないところであった。


「すみません。これを」


 ルーシィから手渡せられた手紙を受付嬢へと渡す。それを見た受付嬢が驚いた様子で、カウンター奥へ消え去り数秒しない内に焦った様子で戻って来た。


「お待たせ致しました。こちらへどうぞ」

「お邪魔します」


 冒険者ハンターをしていた時(まだ辞めてないが)には、カウンターより奥へは縁がなかった。

 冒険者ハンターギルドのギルドマスターは基本的に冒険者ハンターの前には姿を現れない。

 緊急なレイドクエストが発生した時等、指揮をする時に現れる位だ。それと高ランク冒険者ハンターに指名クエストを言い渡すくらいか。

 勇者シャインもAランクだが、ギルドマスターに呼ばれた時なんか俺だけ蚊帳の外で入ってない。


 コンコン

「カイト様がお目見え致しました」

『入ってくれ』

「失礼します」


 扉を開けると、黙々と書類を片付けてる筋骨粒々な大男がいた。外見から歴戦を生き抜いて来た戦士のように見える。

 それが机に突っ伏し書類を整理してる姿は似合わないと心の奥底でカイトは思ってしまった。


「おぉ来たか。そこに座って待っててくれ。これだけでも片付けてしまうから」


 ものの数分しない内に息を整えたカイトの目の前に座るギルドマスター。


「先ずは自己紹介をしよう。俺は冒険者ハンターギルドのギルドマスターをやってるドランだ」

「俺は錬金術師ギルドに所属してますカイトです」


 改めてギルドマスターを目の前にすると緊張してくる。こう今にでも食べられそうな猛獣を目の前にした緊張感を覚える。


「これを作ったのが君だと聞いたのでね。一回会って話してみたかったのだよ」


 テーブルの上に置かれたのは、一個の小瓶。カイトは、それを手に取ると【鑑定】をした。

《低級ポーション+イチゴ味》と表記され、確かに自分が作った物だと確信する。


「どうしてこれが、ここに?」

「ルーにサンプルとして貰ったのだよ」

「ルー?」

「ルーシィの事だ」


 そういえば、ドランに会うように頼んで来たのはルーシィだ。納得するカイト。


「ルーとは、昔馴染みでね。長い付き合いだ」

「初耳です」

「そりゃぁ、冒険者ハンターギルドと錬金術師ギルドは立場上仲良しには出来ないが、裏では仲良くしてもらってるよ。あそこのギルドマスターは元気かな?」


 錬金術師ギルドのギルドマスターは、何歳かは想像出来ないが、まだ長く生きそうな気がする。


「えぇ元気です。最初は驚きましたけど」

「そうかそうか、あの婆さんまだ生きてるのか。年で死ぬようなタマじゃないだろうな。何せ俺がガキの頃には既に婆さんだったしな」


 ホワッツ?!えっ、明らかに100歳は越えてそうな容姿だった。錬金術で延命でもしてるのだろうか?

 因みにカイトの職業:黄昏による知識によれば、一応延命というより不老不死になる薬剤のレシピがある。

 ただし、必要になる素材がどれも貴重過ぎて手に入るのに時間が掛かる。


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