65錬金目、ワイバーンバーガー
さてと何を作ろう。折角、ワイバーンの肉を大量に手に入れたんだ。こう、ガツンと来るものを作ってみたい。
「よし、決めた」
ワイバーンのむね肉をミートミンサーで大量に挽肉へしていく。この世界には態々挽肉にする機械なんてない。そもそも挽肉にする文化そのものが存在しない。
肉料理なんて、そのまま焼くステーキか細かく切って煮込むシチューかの二択だ。
だから、俺が作った。上手く作動しワイバーンのむね肉が細切れになっていく。1回やってみたかったのもある。
前世の記憶では、肉の種類は違えど挽肉はスーパーで買った事しかない。家でやる機会なんてそうそうない。
ただ蕎麦のように家で一から作ってしまう拘る輩は少なくともいる。
「結構、挽いたな」
ボール5個ほどワイバーンの挽き肉が出来た。だが、これでも一匹は使い切ってない。
この挽き肉に塩・胡椒に各種スパイスを入れ、繋ぎとして卵を投入し混ぜ合わせる。
粘り気が出るまで混ぜ合わせたら、円盤状に成形する。これを油を引いた鉄板の上に引き詰め蓋を閉めたら蒸し焼きにする。
「これだけでも美味しそうだ」
バディが焼き上がり香ばしい香りが、そこら中に充満する。香りから明らかに牛や豚とも違うが、絶対に美味だと訴えかけて来る。
「バンズを横半分に切って、先程焼いた肉汁で断面を数秒焼く」
下半分のバンズの焼いた断面にワイバーンのバディを乗せ、照り焼きソースを回し掛け、マヨネーズをバディの真ん中にちょこんと乗せてから薄くスライスした玉ねぎを乗せ、上のバンズで挟み込んだら出来上がりだ。
「ワイバーンバーガーの出来上がりだ」
付け合せとしてフライドポテトを横に並べる。形は三日月形に切ったウェッジカットと1番細く切ったシューストリングカット、長方形に切ったストレートカットなどがある。
俺が好きな形はウェッジカットだ。塩を上から振り掛け、軽く振るように塩を馴染ませる。
うん、やはりハンバーガーの付け合せと言ったらフライドポテトしか思い付かない。
「これが今回の褒美だ。金よりこっちの方が良いだろ?」
「クンクン、これは何とも香しい香りですな」
「パンの間に肉を挟んでるの?不思議ぃ」
「これは、どう食べれば良いんですの?」
「こう持って、ガブッとかぶりつけば」
4人で一斉にワイバーンバーガーにかぶりつく。肉汁と照り焼きソースが混ざり会って何ともいえない美味しさが口の中で踊り狂う。
そして、肉の執拗い油がマヨネーズで中和されているのも大きい。胃凭れせずに食える。
「これは!ただ肉を焼いただけでは、こうも美味くはなるまい。作り方を見ていたが、あの細かくする作業が必須だと見抜きました」
「モグモグ、このタレも美味しい」
「ふむ、このパンもフワフワで肉と相性抜群です。人間が作るパンは、どれも硬いと記憶してますが」
「このパンも俺が独自に焼いたものです」
この世界のパンは硬い黒パンで、千切ってスープに浸して食べるのが主流だ。貴族や王族でもパンは黒パンで、フワフワで柔らかいパンは夢のまた夢。
カイトはいうと、イースト菌を錬金術によって培養に成功している。これによりモチモチでフワフワなパンが焼けるようになった。
「肉もそうだが、パンも素晴らしい。人間というのは利権も金に変えると聞きましたが、このレシピを売れば莫大な金が懐に入って来るのでは?」
「それは無理ですね。俺にしか作れない材料がありますし、真似して作ろうとしても失敗する未来しか見えません」
目に見えない菌の働きで、フワフワにさせてると言っても誰が信じるだろうか?信じるとしたら、同じ日本から来た中華大衆食堂「悠」の店主である悠真くらいだろう。
「このワイバーンバーガーとやらも美味しいが、一緒にある揚げた芋も美味ですなぁ。交互に食べると、なお美味しく感じる」
「味付けは塩のみのようですね。それだけなのに手が止まらない」
「モグモグ、美味しいのよ」
シンプルな味付けだからこそ、素材自体の美味しさが際立つというもの。それに塩気には食欲増進効果もある。
ポテトチップスののり塩や〇ッパえびせんが長年愛される訳がそこにある。
「お代りはあるか。これだけでは足りん」
「アースもぉ」
「すみません。私もよろしいですか?」
今は人間形態だが、それでも活動するには燃費が悪いのだ。ハンバーガー1個だけでは足りないだろう。
「はいよ。それじゃぁ、これも試してくれ。コーラという飲み物だ」
ハンバーガーにポテトならコーラという組み合わせは外せない。




