11錬金目、ポーションのランク+付
「低級以外にも作れるのですかな?」
「えぇ、それも+と味付きで」
逆に+なしを作る方が疲れる。作れるには作れるが、効率は相当悪くなる。同じ時間で作るとすれば、+ありの方が多く作れる。
「それは魅力的ですが、中級以上は止めて置きましょう。薬師ギルドに目をつけられかねないのでね」
世間では、中級以上のポーションは職業:薬師の専売特許とされている。
そこにぽっと出のカイトが中級以上のポーションを作り冒険者ギルドに卸し始めれば、揉め事の原因になりかねない。
「それは分かってます」
カイトも薬師の人達の仕事を奪おうとしてる訳ではない。もしも、奪ってしまったら勇者パーティーと同じだと罪悪感を募らせてしまう。
「面倒臭いと思うが、こちらも冒険者ギルドで卸させてくれないか?」
中級以上は仕方ないが、目の前にある《低級マナポーション+ブドウ味》も冒険者ギルドで売り始めたら相当な金額が動くに違いない。
「えぇ良いですよ。そのために見せたのだから」
「ありがたい」
《低級マナポーション+ブドウ味》の契約書類も作成し、カイトがサインをする。ちょうどサインしたところで扉が開く音がする。
「失礼します。カイト様のギルドカードをお持ちしました」
「テーブルに置いてくれ」
「はい、失礼致しました」
テーブルに置かれたギルドカードはカイトの物だ。カイトの名前と大きくCと書かれている。
実物を見てもCランクへ上がった事に実感がわかない。それでも当分の間は、錬金術師ギルドでクエストをこなす積もりだ。
「たまにで良いのだが、冒険者ギルドでもクエストをやってくれると助かる。文献によれば〝黄昏〟はソロでも相当腕が立つというしな」
「いえいえ、僕はそこまでじゃないですよ」
冒険者のランクEは採取系や街中のお手伝いまでだが、ランクDからそれ相応の魔物討伐が主なクエスト内容となってくる。
つまりはその分危険があり、死と隣り合わせと言っても過言ではない。
「まぁ無理とは言わんが、まぁいい。これで俺の用事は終わりだ。これから良好な関係を気付けたら良いと思う」
「はい、こちらも宜しくお願いします」
ガッチリと握手を交わし、カイトは部屋を出て行く。カイトが出て行った扉をドランが数秒見詰め、自らの手の平を見詰める。
カイトの握手を交わした途端にドランは確信した。カイトは、明らかに勇者よりも強いという事実に。
だが、それを誰かに言う積もりは毛頭ない。他人のステータスを探るのは冒険者として禁句なのだ。
「まぁこれからの活躍に期待だな」
☆★☆★☆★
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい。カイトさん」
カイトは錬金術師ギルドへ戻って来た。その際に出迎えてくれたのはルーシィだ。
ルーシィの笑顔は、暗い錬金術師ギルドにとって太陽のようだ。見てるだけでも癒される。
「冒険者ギルドのギルドマスターはどうでした?」
「はい、良い方でしたよ?」
「正直に言った方が良いですよ。顔とか怖かったでしょ?」
うん、確かに顔は怖かった。外見も歴戦の勇者と言われても納得出来る筋骨隆々だった。
ただし、接して見れば人格者的な性格であった。あの人であれば、ポーションの販売を任せても良いと思えた。
「うふふふふふ、これで錬金術師ギルドに定期的にお金が入って来ますし万々歳です」
何かしら商売をするには、何処かのギルドに加入しなければらない。
無断の商売は、法律で厳密に禁止され、破った者は最悪死刑になる程厳しい。
そして、錬金術師ギルドの錬金術師が作製した商品を売って儲けたお金は、ギルドに2割、錬金術師8割の内訳で入る。
「ルーシィさん、昔から冒険者ギルドのギルドマスター━━━ドランさんを知ってるんですか?」
「えぇ、ワタクシは昔ドランと一緒のパーティーでしたから」
「それは冒険者?」
「えぇ、そうですけど」
意外だ。可憐で美しいルーシィが、冒険者として戦っていたなんて!それもドランさんと!
「昔は暴れましたね。ワタクシ〝氷の女帝〟ルーシィと〝豪腕の剣聖〟ドランのコンビは無敵でした」
今、聞き間違いかな?今、不穏な名前が聞こえた気がする。両方ともSSランクとして超有名で伝説的な冒険者の二つ名だ。
カイトが子供の頃には既に引退していたが、幼い子供でさえ名前は聞いた事があり、良く真似てごっこ遊びをしたものだ。




