表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

第23話 勇者の帰還



 「きゃあああ」


 「ちょっと待ってくれ、これには訳が有るんだ」


 「何なんですかあなたは、早く出て行ってください!」


 「分かった分かった出て行くよ、何で俺はこんな所に来てしまったんだろう?」


  ここは王都の公衆浴場。京矢は魔王の召喚の儀式によりどうやら王都に召喚さ

 れてしまったようだ。それも女湯の方にだ。そこに連絡を受けた警備兵がやって

 来た。


 「そこのお前止まれ!」


 「やばい警備兵か。ここは何とか逃げないと・・・殺してしまうとまずいし転移

 魔法は詠唱に時間がかかるし・・・」


  京矢は警備兵をケガさせまいと魔法を考えていた。魔法は覚えたがそれをどの

 様にどのタイミングで使うかには、まだ経験が足りなかったのだ。警備兵がその

 隙に京矢に飛びかかる。


 「一斉に飛びかかって取り押さえろ」


 「だああああああ」


     ◇       ◇       ◇  


 「それでお主は何をやっていたんじゃ?」


 「メントスの砦で俺は殺されて、女神に会ったら王国の女湯に召喚されちまった

 んだよ」


 「殺されたじゃと?現にお主は生きておるではないか」


 「だから殺されて一度あの世に行ったんだよ。そしたら・・・」


  京矢は女神に会った時の事をシフォナに事細かに説明をした。


 「全くお前と言う奴は。それでどうじゃ勇者になる条件は分かったのか?」


 「ああ分かったよ、俺の勇者になる条件は『感謝されて頭にキスをしてもらう

  事』なんだと」


 「頭にキス・・・それだけか?それじゃあ簡単じゃないのか?」」


 「簡単じゃねえよ。それを千人やらなきゃならねえんだ」


  京矢はシフォナに不満をぶつけるように言った。


 「千人か・・・随分と気が遠くなる話じゃの」


 「ああ参ったよ、すぐにでも勇者にならなきゃならねえってのに」


  京矢は落ち着きを取り戻してソファーに腰を下ろした。シフォナは改めて紅茶

 を部下に持って来させ京矢に出し直した。


 「それはそうとゲオルグとやらはかなり強そうじゃの」


 「かなりの使い手みたいだな。俺が殺された時に何をしたのかすらも覚えていな

 かったからな」


 「お主が殺された時の事を覚えていないという事は速すぎたのか、もしくは時間

 を止められていたのかじゃな。まさか奴は転生者だとでも?」


 「そうかもしれねえな。全く厄介な相手がいたもんだぜ」


  その時ガーウィッシュが荒々しく入ってきた。


 「キョーヤが戻ったって本当か?おお、キョーヤ無事だったか」


 「ガーウィッシュすまねえ。俺が何も出来なかったばかりに・・・」


 「気にすんなよ。お前らしくないぜキョーヤ」


 「だ、だって・・・」


 「親睦を深めるのはそこまでじゃ。ところでガーウィッシュよ砦の方は大丈夫な

 のか?」


 「ああ、あんたがアルフォードを寄越してくれたからな。奴に任して戻ってきた

 よ」


 「なら良いが京矢の話によると連邦も本腰を入れ始めているみたいじゃな」


 「ああ、それにあいつゲオルグと言ったかあれも相当ヤバイぜ。奴も転生者なの

 か?」


 「十中八九そうじゃろ。転生者がいるとなるとこの老体も出張らなきゃならんだ

 ろうな」


 「そうならないように俺達だけで片付けたいもんだが、俺達に気づかれずキョー

 ヤを倒したからくりを解明しない事には勝負にならないぜ。それで婆さん、軍の

 再編成はどこまで進んだんだ?」


  ガーウィッシュは入れてもらったお茶を一口飲みタバコを吸った。

 

 「お前さん達のお蔭で何とか形にはなったよ。後はマドラ達が戻ればどうにかな

 るじゃろ」


 「そうか、それなら最低限守り切る事だけは出来そうだな。あとは勇者がどちら

 に誕生するかがカギとなりそうだ」


 「ゲオルグとそしてアイヴァンもまだ勇者になる可能性が有るんだよな?」


 「そうだと思うが奴の条件が未だに不明な上、どこまで達成しているのかが解ら

 んから時間は有るようで無さそうじゃ」


 「俺の条件は一朝一夕に達成は出来ない。だとすると俺は勇者に対しこのままの

 状態で戦わなきゃならないんだな」


 「それで婆さんはこれからどう連邦と戦って行くつもりなんだ?」


  シフォナは冷めた紅茶をつぎ足して一口飲んだ。それから京矢達に向き直り話

 し始めた。


 「ここからは総力戦で行こうと思っておる。今メントスには連邦の将軍ボリスと

 ゲオルグがいて、兵数が約千だとすると連邦の約3分の1の戦力が集結している

 訳じゃ。これの意味するところは多分中央の陽動がが失敗したのでしびれを切ら

 して力押しに切り替えたというところじゃろ」


 「確かにその可能性は大きいな」


 「それであるならばここは決戦と捉えて、メントス砦で連邦の先陣を倒しそのま

 まの勢いで連邦国内まで進軍しようかと思っておる」


 「ほう。あんたにしてはかなり大胆な作戦だな。だけどいくつか問題点がある

 な。ただ守るだけなら何とでもなるが将軍のボリスやゲオルグにはどう対処す

 るつもりだ?」

 

 「良い質問じゃな。まずボリス、あ奴にははお主を当てようと思っておる。ゲオ

 ルグは京矢を中心に魔導士中心で足止めして殺すまでやらなくても良い、捉える

 事が出来れば御の字じゃて」


 「簡単に行ってくれるなよ。あいつは鋼魔法の上位種の金剛魔法でやたら固くな

 るから俺一人じゃムリだって。ゲオルグに対しては俺も同意見だ。あいつは多分

 殺せない」


 「ならばエルフの強化魔法でも使うかの」


  その時京矢の頭にスレインの顔が浮かんだ。(そうかエルフの歌か)京矢はス

 レインの事を話した。


 「それならスレインが良いんじゃないか?あいつの歌は身体強化出来るからかな

 り助かると思うぜ」


 「歌か・・・それは良いな。じゃあボリスには俺とスレインで当たるよ」


 「これで決まりじゃな。ではお主達はメントスの砦に戻って準備してくれ。スレ

 インについては我が話を付けておくで本隊が付くまでは砦を維持して欲しい。頼

 んだぞ」


 「出来るだけ早く来てくれよな。今の戦力で奴らに攻められたら多分1日持たん

 ぞ」


  そう言って京矢とガーウィッシュは一緒に転移魔法で消えて行った。



  京矢達が砦に着くと攻撃を受けたらしく騒然としていた。2人は取り合えず

 見張り台の一つに移動した。


 「どうなってんだこれは。もう奴らが来たのか?」


 「どうやらその様だな。守備隊は30人程しかいないからもう落とされたんじゃ

 ないか」


 「じゃあどうする?」


 「取り合えず残っている兵を探してみるか」


 「じゃあ別々に探しに行こう」


 「くれぐれも無理はするなよ。ゲオルグに見つかると厄介だ」


  そう言うと2人は別々の方向に歩き出した。

  少し歩くと王国兵が倒れているのが見えた。すぐさま近寄り息が有るかを確

 かめるとかすかだが息をしており、京矢は回復魔法をかけた。すると王国兵は

 回復したらしく目を覚ました。


 「おい大丈夫か?みんなはどうした?」


 「多分殆どはもういないと思います」


 「お前はどうして残っていたんだ?」


 「私はアルフォード様の侍従でしてアルフォード様が最後に残り皆を逃がすため

 の時間を作ると仰ったので、直属の兵が一緒に残ったのです」


 「そうだったのか。それでほかの奴らの居所は解るか?」

 

  兵は少し暗い表情になって話した。


 「アルフォード様は奴らの指揮官の若い奴に勝負を挑んで長い戦いの末に壮絶に

 戦死なされました。残った兵はちりじりになって時間稼ぎをしながら戦っていた

 ので分りません」


 「そうか。じゃあまず安全な所に移動するか」


 京矢はその後ガーウィッシュと合流し残った王国兵を助け王都に帰還した。


    


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ