第10話 国王謁見
「第24代国王バロネス・デル・ピエトロ・カシージャス様の御成り」
「長い名前だな」
「しっ」
スレインは恭しくエルフ式の挨拶をし、今回の件について王に報告をした。
「連邦が・・・低俗な奴らなら考えそうな事だな。なあシフォナよ」
「全くじゃ。誰のお蔭で国を維持出来たのかすっかり忘れておる」
「此度の件についてはシフォナと相談してやるが良い。ところでスレインよ久し
いな」
「陛下に置かれましては何とも・・・」
「色々取り繕ってごまかして居るが、お主の事はすぐ解るぞ。以前にも増して美
しくなったのではないか?」
「陛下そのようなお戯れを・・・」
「まあ良い。以前にも言うたが我はお主を好いておる。何なら結婚していいとさ
え思っている。だが周りがな許してくれんのでな」
「陛下それまでにして下さい」
宰相のオルモスが割って入る。
「昔の恩がある故、お主には最高の助っ人を用意してやる安心せよ」
国王は名残惜しそうに謁見の間から出て行った。
「どういう事なんだ。スレイン」
「だから嫌だったのよ。バロネス様とは子供の頃にちょっとあって、それから
あの調子なんだ」
「そうだったのか。では宿に戻るか。カタリナとも合流しないと行けないしな」
「キョーヤお腹すいた」
「そうだな、先に飯でも食いに行くか」
◇ ◇ ◇
王都ギーレルはゴンドア大陸有数の都市である。王宮を出るとすぐ目の前に多
くの商業施設が立ち並ぶバザールが有る。ここには商品を売買する商店や食べ物
を提供する露店などが軒を並べていた。
「色々有るなあ。ほんとに凄いねここは」
「大陸随一の街だからな。エルフの必要物資もここから買っているのもあるん
だ」
「そう言えば、カタリナは結局戻って来なかったけどどこ行ったんだ?」
「そうよねえ。何処に行ったんだか」
「キョーヤご飯、ご飯」
「お、そうだな。スレインお勧めは有るか?」
「そうねえ。ああそこが良いかしら」
スレインのお勧お食堂に入って三人が食事をしているとカタリナがやって
来た。
「あー居た居た。やっぱりここに居たわね」
「お前何やってたんだよ。もう王様の謁見は終わっちまったぞ」
「そうよ。大変だったんだからね」
「ごめんごめん。ちょっと昔馴染みのトコ行ってて、今までかかっちゃったわ」
「王宮ではな、スレインがとっても大変だったんだぞ」
京矢がスレインの出来事を暴露しようとする。それを必死に止めるスレイン。
「待てキョーヤ。お前それ以上言うと、コラ!」
「おお、お主達ここにおったか、ん?お主はカテリナ?」
京矢達が話しをしている所に騎士団長のシフォンがやって来た。カタリナは
顔を隠したが見つかってしまった。
「え?あ、その、どうも」
カタリナはシフォナを見てドギマギしながら答えた。
「お主は帰って来たというのに我の元に顔も見せずにどこに行っておったんじ
ゃ?」
「ひぃ」
シフォナはカタリナを怒鳴りつけた。
「まったく。その様子だとマドラの所にも行っておらぬのではないのか?」
「まあ、そんなところです。えへへ」
「いったいどうしたんだ。お前ら知り合いだったのか」
「知り合いも何も、カタリナの父は我のPTメンバーだったんじゃ」
「ええ、そうだったんか」
「そうなのです」
カタリナは俯きながら答えた。
結局シフォナも同じテーブルに着き、ご飯を食べながら、カタリナの昔話を語
り始めた。
「カタリナの父親はなクラウス・ベンドリンガーと言って王国貴族出身の優秀な
魔導士じゃった。我はクラウスの家庭教師であり、成長してから一緒にPTを組
んで多くのダンジョンに行ったものじゃった」
「へえ、カタリナの親父さんは貴族だったのか凄いな。お前見てると貴族って感
じはしないんだけどな」
「キョーヤ何言ってんのよ。恥ずかしいわ」
「クラウスは小さい頃から植物がとても好きでな、植物学者でもあった。PTを
組んでた頃は魔物狩りより植物の探索の方が多かったな。しかし、そのうち王国
魔導騎士団に入れとの通達が来ての、結局クラウスは魔導騎士団に入ったんじゃ
が殆ど王国におらず、植物探索に明け暮れとった」
「その頃かしらラーディッシュの森に入り浸ってたのは。私も見かけたことが有
ったわ。とても優しい人でね私も薬草の事教えて貰ったわ」
「そうじゃな。その頃の奴はラーディッシュの森の薬草に夢中で、そこでカタリ
ナの母、エリナと出会ったんじゃ」
「おお、運命の出会いってやつか?」
「私とキョーヤみたいね」
「だからお前は何でそんな恥ずかしい事言えるんだよ」
京矢はスレインの頭をぐりぐりしながら呆れながら言った。
「カタリナが生まれた時はクラウスはそれはもう大変な喜びようじゃった。我も
孫が生まれたような気がしての。PTメンバーや魔導騎士達もクラウスの家に良
く集まったものじゃった」
「あれ、その頃はカタリナはここに住んでいたのか?」
「カタリナが5歳まではな。しかしクラウスの家は貴族じゃ、方やエリナはエル
フの中でも身分が低かったから、親戚中から婚姻自体を許さないという意見が出
てな、カタリナが5歳になるまでなら王都に住んで良いという事になったのじ
ゃ」
「お前相変わらず大変な人生歩んでいるのな」
「そうかしら?」
カタリナは恥ずかしくなり顔を赤らめた。
「それに5歳までは我が乳母替わりしとったんじゃぞ。それを何じゃ挨拶にも来
ずに」
「ごめんなさい」
「お前の両親については確かに我らにも責任が有ったのは認めるが、それを差し
引いても顔ぐらい出せんかったのか?」
「すみません。後で必ず顔を出すつもりだったんですが、先に行く所が有りまし
て・・・」
シフォナは思い出したようにつぶやいた。
「ガーウィッシュか」
カタリナは黙って頷いた。
「あ奴は居たのか?どうせ何時もの所に行ってたんだろうが」
またもやカタリナは黙って頷いた。
「全くあの鬼畜生は、いったい何歳になったら治るんじゃろか」
「なあカタリナよ、お前一体何処に行ってたんだ?」
「キョーヤさあ、強力な助っ人が欲しいって言ってたでしょ。私あれからずっと
考えていて、ある人を思い出したの」
「助っ人の件で動いてくれたんだ。ありがとよ。」
京矢はカタリナの方にそっと手を掛けた。
「それでね。今日その人の所に行ってたんだけど・・・」
「まあ良い。これからあ奴の所に行くぞ。我が行けば首を縦に振らざるを得ない
んじゃろ、カタリナ案内せい」
そう言ってシフォナは食堂の支払いをし、助っ人の所に案内するようカタリナ
に言った。バザールを出て宿屋街に京矢達は歩いて行った。そこにちょと洒落た
宿屋が見えてきた。
「私とピッポは先に宿屋に行っているわ」
「分かった。終わったらここに来ればいいんだな」
「そうよ、助っ人勧誘頼んだわよ」
「任せろ!」
スレインとピッポは宿屋に入って行った。
「そう言えば、ガーウィッシュってどんな人なんだ?」
「ガーウィッシュ・ウェイン。クラウスの親友であり、元魔導騎士団員だった男
じゃ。ある事を除けば、当時魔導騎士団長に一番近い男と言われた程の腕の持ち
主じゃ」
「ある事って何?」
「まあ、あ奴が今いる所に行けば解る」
「キョーヤ、あのね師匠に会っても気にしないでね」
「え、師匠?気にするなってどういう意味?」
ギーレルの町に夕闇が迫りつつあった。京矢達はガーウィッシュを仲間にする
事が出来るだろうか。




