9 黒 おんなじ
「ぱん」「パン」
大きく口を開ける青毛の口の中に、最後の丸いおいしい物を入れる。
パンの丸いおいしい物、なくなった。
どうやら青毛は自分よりお腹がすいていたみたいだ。
これからどうしようかな、と考えているとまた青毛に持ち上げられた。
さっきから、寝床があった場所の方で戦利品をいじっている茶色毛の方に何か音を出して、青毛は別の戦利品のでっぱりを『押した』
まわして押してる……押すのもある?
口が開いて通れるようになった、と思ったら、その口を元に戻して、こっちを見ながら「ドア」と音を出す青毛。
「ドア」あける「ドア」しめる
持ち上げていた自分を降ろして、じっと見てる青毛。
「どあ」あける「どあ」しめる
できますよ?さっきもできましたよ?
なにか頭を上下にふりまわしてる青毛は、そのまま
「ヨクデキマシタ〜」と言いながらこちらの頭をいじって来た。
真似をしようとしたけど、手が届かないので音だけ真似する。
青毛は、どあの木のカタマリを開けて、またこちらを持ち上げて外に出た。
どあの口を抜けたらまたこちらを降ろして、こんどは前足をこちらの手にくっつけて来た。
……あれ?なんか、おなじ?
ワタシの手と、青毛の前足、指、5つある。
自分の手と青毛の手を見較べながら、指を開いたり閉じたりしているこちらを、なんか見ている青毛。
「テ、ユビ」「て、ゆび」
こちらの手のひらと指を触りながら、また音を出す青毛。
ワタシと青毛は、て、のカタチが似ているように思う
ゆび、もおなじ。
毛も頭からしか生えてない。
もしかしたら、おなじ種類の生き物なのかな?
ワタシは、ヒトリじゃないのかな?
青毛と、右の手を合わせる……おんなじ
青毛と、左の手を合わせる……おんなじ
見下ろした皮も、……だいたいおんなじ。
そっか、おんなじだから青毛はワタシを、ワタシは青毛を、こわくないんだ。
森に、帰るつもりだった。
青毛には茶色毛が居て、茶色毛には青毛が居るから。
でもおんなじだったら、ワタシも居てもいいのかな?
ここに居たいな、そう思いながら
青毛に手を引かれて、ワタシは朝の陽射しの中を歩いた。




