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ぐーぱんカタパルト  作者: 焼きモンブラン
二章 タビにでる
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46 黒 ドレスコード

「パパどう? このドレス、サクヤにとっても似合うと思うんだけど〜」

「動きにくそ……サクヤがすごい不満そうだぞ?」

「……て……」

 青い服。本でお姫さまが着てた服に似てるけど、手にぴっちり布がひっついてて動きにくい。


「このゴシックな感じのドレスはどうかな? このフリルのリボンがすっごい可愛い〜」

「……サクヤが何か悟りを開いたような顔してるんだが……」

「……あし……」

 黒い服。本で吸血鬼の人? が着てた服に似てるけど、手と足がひも……リボンいっぱい歩きにくい。絡まって転びそう。

 試着室のせまい部屋の中、お姉ちゃんに着せられる服はどれも動きにくいし戦うのに邪魔になりそうで……


「いや!」

 お姉ちゃんが次に着せようとしてる服を取って、閉ざしていたチカラを開いて窓の外に全力で投げたら、ビックリ顔で固まるお姉ちゃん。

 流れ込んで来るビックリの感情と、周り中の色んな感情。痛くなる頭に、慌ててチカラを閉ざした。

「パパぁ! ゴージャスな感じのドレス着せようとしたらサクヤが『プイっ』て! 『プイっ』て! 反抗期になっちゃった!」

「……買い取りだな……。着たい服をサクヤに自分で選ばせてやれば良いんじゃないのか?」

 いつものように頭を押さえながら、お姉ちゃんに話すパパだけど、お姉ちゃんは考える様子もなく首を横に振る。

「だって今着てる服で良いって言って選んでくれないんだもん……」

「いや」

「今着てるのが良いんならそれで「ダメっ!」……そうか」

 パパまけた。

「いや」

「……ほら、嫌がってるのは確かなんだし、サクヤに嫌われたくは無いだろう?」

「……う……それはそうだけど……」


 それでもまだ少しブツブツ言っていたお姉ちゃんだったけど、ようやく諦めたみたいで、今度はお店の人に相談を始めたみたい。パパの所に逃げて来たワタシを指差しながら、何かを袋から出してお店の人に見せている。あ、あれワタシの布。


「この布で何か可愛いドレスを作って貰えますか? あの子もこの布だったらきっと……」

「……コノハ……。流石にオーダーメイドしてる時間は無い。ほら、自分の服を選ばないんならもう帰るぞ?」

「……はっ! 自分の服! 私が着て見せれば真似してくれるかも」

「いや」

「サクヤぁ〜……」

 色々騒いでたお姉ちゃんは、結局ちょっとだけヒラヒラが多い服を選んだみたい。……これなら良いかなぁ。同じ服を選んでお姉ちゃんに渡すと、また試着室に入って着せてくれた。


「良かったぁ、やっとサクヤも納得してくれたよ〜」

「稀に見る暴走だったな。服を選ぶなんて経験あまり無かったからな……。たまにはこういう時間も必要、か」

 お姉ちゃんとおんなじヒラヒラ服……濃い青の服に薄い青のエプロンが付いたえぷろんどれすを着てパパに見せると、頷いてサイフの袋を出して……パパの所へ走って行って手を出したワタシに銀貨を渡してくれた。お店の人に渡すとニッコリ笑って受け取ってくれるお店の人。お買い物、できた!



「……お買い上げありがとうございました。……所で、先程の布、仕立てる当てが無いようでしたら此方で買い取りましょうか?」

 お店の人の言葉を聞いて、こっちを見るパパ。買い取りをして貰うかワタシに決めさせたい、のかな?

 あの白い布について考えてみる。……つながり……? なんだろう、この布で何かと繋がっている、みたい? 何となく頭の奥から聞こえてくるような、そんな思い。

 ……繋がり。ワタシの手とお姉ちゃんの手に視線を送った後、パパの方を見て首を横に振って答える。売らない。物を売るのはお店の人の仕事だからワタシがやっちゃいけないと思うし。


「いや、それ程邪魔になる物でもないから問題ないさ、ありがとう」

 答えたパパに、残念そうな顔で頷いたお店の人に、手を振るお姉ちゃんの横で手を振りながらお店を出る。

「バイバーイ」

「ばいばーい」


 手を振るワタシ達に、お店の入り口まで付いてきて見送ってくれたお店の人は、暫くの間、手を振り続けていた。

どうやら、物を売るのはお店の人。的に考えている模様です。

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