10 青 えがお
至福の食事が終わり、一息ついて
次はこの子を村のみんなに紹介しないとねと、パパを見るとまだドアの修理中だった。
「わたし、この子をみんなに紹介して来る!」
「あー、そうだな、お前に懐いてるみたいだし大丈夫だろ。俺はコレやっとくから、ついでに遊んで来るといい」
パパは何か作業を始めると止まらない。
あと、たぶん簡単に壊されて悔しいんだと思う。
わたしの部屋のドアを変なふうに改造しないように釘を刺してから、女の子を連れて家を出るために玄関のドアを開けて
忘れる所だった、ドアの事を教えないと。
「ドア」「どあ」
うん、とりあえずはオッケー
「ドア」と言いながら開けてみせて、閉めて見せる。
できるかな〜? と、女の子をじーっと見てみる。
「どあ」と言いながら、開けて閉める女の子、壊しませんでしたよ!
「よくできました〜!」頭をなでてあげると
「よくできしたー」と、わたしの頭をなでようと手をあげる女の子。
届かず、背伸びして手をあげる女の子。
あ、あきらめた。
わたしの頭を撫でるのをあきらめた女の子を抱っこしてドアを抜けて、ふと思い付いて
女の子を降ろして手を繋いでみた。
歩き回るんだし、こっちの方が楽よね。
手を握ると、女の子がすごく不思議そうにこちらを見上げてる。
どうしたんだろう?手を開いたり閉じたりしてる。
手が気になるみたいなので、教えてみた。
「手、ゆび」わたしが女の子の手のひらと指を触りながら教えると
「て、ゆび」わたしの手のひらと指を触りながら答えて来る。
賢い子ですよ、うちの子ですよ。
しゃがみ込んで向き直ると、手のひらを合わせて来る女の子、ぷにぷにしてる。
笑った。
とても眩しい笑顔 ……わからないけどなにかが変わった感じがする。
この子はもう大丈夫、なぜか、そんな気がした。
あれ?もう大丈夫?って今までは?
いやいや、今までも大丈夫だったし、これからも大丈夫ですよ。
何を考えてるんだか、わたしは。
女の子と手を繋いで歩く。
さあ、いつまでもこうしては居られない。
この子をみんなに紹介しないとね。