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第1話 「無価値の刻印」

「お前のスキルは“外れ”だ」


その一言で、レインの立場は終わった。


石造りの広間。


勇者候補の選定会議。


魔法陣の光が、冷たく床を照らしている。


「交換」


それが、レインに与えられた唯一のスキルだった。


だが評価は最悪だった。


「戦闘に使えない」


「支援にもならない」


「意味が不明だ」


リーダーが吐き捨てる。


「無価値だな」


その瞬間、空気が確定する。


【追放決定】


レインは何も言わない。


ただ、胸の奥だけが少し重くなる。


(またか)


外へ出される。


門が閉じる音が、やけに響いた。


風が冷たい。


人の気配がない。


完全に“外側”だ。


そのときだった。


森の奥から魔物が現れる。


ゴブリン。


単体。


弱い。


だが今のレインには関係ない。


(試すしかない)


レインは初めて意識的に能力を使う。


「交換」


その瞬間、視界に“意味”が浮かぶ。


【交換対象】


・ゴブリンの「攻撃性」


・レインの「恐怖」


空気が一瞬だけ止まる。


次の瞬間。


恐怖が消える。


代わりにゴブリンの動きが乱れる。


レインは理解する。


(これは……力の入れ替えじゃない)


(“価値”の入れ替えだ)


ゴブリンが飛びかかる。


だが遅い。


レインは一歩横にずれる。


「交換」


今度は“足場の安定”と“敵の踏み込み”。


ズレる。


ゴブリンが転倒する。


その瞬間。


レインは確信する。


(使える)


一撃。


終わる。


【討伐成功】


静寂。


レインは自分の手を見る。


「ゴミじゃない」


そのとき、遠くで声がする。


「お兄ちゃん!」


一瞬だけ、胸が跳ねる。


だが何かが掴めない。


(誰だ)


違和感だけが残る。


レインは拳を握る。


「なら」


「使い方次第だ」


森の奥へ歩き出す。


その能力がまだ“世界の禁則”に触れていることも知らずに。


(第2話へ)

なろう系の作品を書いてみたくて挑戦しました。

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