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WitchDoll〜傀儡人形は夢を見る〜  作者: うつろ
Chapter-6【ロドモンテ編】

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〈6-7〉雷帝の魔術師

『人間じゃ………』

その言葉に大きく動揺し、そしてその身を震わせたリゼット。


次の瞬間、全ての人形をヴェルテクスへと向ける。

「……………………違う……」

悲しそうだった。

涙一つも零していない彼女の表情は、ただ酷く、苦しく、そして悲しみに満ちている。


「全て攻撃に回すとは……」

そういい、ヴェルテクスが光魔法で人形を壊そうとした。


しかし

「…………………やめて」

淡々と呟くと同時に、まるでリゼットの儚い姿からは想像もつかない程の魔法を撃ちまくる。


「は?な、なんですかこれ!!」

対するヴェルテクスも光魔法で応戦。

しかし、彼が放つ光魔法なんぞ彼女の前では塵芥と化していた。


「やめろ!やめろ!!やめろぉおおおお!!!」

それはまさに壮絶だった。


何度も何度も、その一つ一つがセフィラの魔術師に届くレベルの魔法。

それを人形十体が同時に何発も何発も撃ちまくる。


リゼットの指は震えていた。

何かを恐れるかのように、ただ小さく震えていた。

怒りでも、憎悪でもない。

恐怖が、拒否が、そこにあった。


(…………………違う……)

(…………………私は………)


止まらないリゼットの魔法。

あらゆる魔法がヴェルテクスを次々と襲っていく。


もう既にヴェルテクスは力尽きているというのに。


(…………………私は、”つくられた存在”なんかじゃない……)


リゼットが冷静になり攻撃を止めた頃、もう既にヴェルテクスは亡くなっていた。

四肢は離れ、顔はもう原型を留めず、その身体からは大量の血が流れていた。


「………………………………」

リゼットはただ静かに彼の姿を見つめた。

その瞳は悲しく、そして苦しそうだった。


リゼットはそっと瞳を閉じると、ヴェルテクスを背にその場を離れる。

彼女の身体には、一切の傷は無かった。


月光に光る淡い金髪がそっと風に揺られる。

漂う光の粒子が、まるで彼女から流れる小さな涙のように見えた。


リゼット対ヴェルテクスは、リゼットの勝利で幕を閉じた。




────────────────────────




「来たぁぁあああ!!!!」

「静かに。ここからは本気の戦いよ」


別の場所。イザベッタにはトルポルとヴェルムが送られていた。

そこに待つのはシキ、スピカ、ラミアの三人。


「なるほど、俺はこいつらの相手ってことか」

「魔女さんがいるじゃねぇかぁ!」

トルポルとヴェルムも三人を睨みつける。


「ヴェルム!!」

ラミアはヴェルムの姿を見た瞬間、その瞳が憎悪へと溢れ返る。

「シキさん、スピカさん、予定通り私はヴェルムと戦います!」

「うん!!絶対負けないでね!!!!」

「トルポルは私達にまかせてちょうだい」


そう言うと、ラミアは血で翼を作りヴェルムを誘導する。

「こっちです!ヴェルム!!」

「タイマン張るってのか?いい度胸じゃねぇかよ!!」


飛んでいくラミアを追うヴェルム。

そして別々に別れ、戦いが始まった。


「シキ!」

「わかってるよ!!霊魂魔法!!!!」

シキが魔法を展開すると、周囲に幽霊が出現する。

その数は魔法大祭の時よりも多く、強力な魔術士の幽霊達。


シキの霊魂魔法は幽霊を干渉させることの出来る領域系の魔法。

つまり、大都市のような幽霊が大量に眠っている場所はシキにとってのホームグラウンドでもあった。


「さっ!いっけー!ゴーストちゃん!!!」

何十体にもなる幽霊が一斉にトルポルを襲う。


しかし

「ふんっ」

幽霊達はトルポルの雷魔法により一瞬にして散ってしまう。

「あぁぁあああ!!!ゴーストちゃんが!!!!」

「考え無しに動くからよ!ちゃんと考えて動きなさい」

何も考えず幽霊を突撃させたシキに一喝入れるスピカ。

しかし、考えている暇などなかった。


「落ちろ」

トルポルは再び雷魔法で落雷を二人に向けて落とす。

複数落ちる落雷に、スピカは天球魔法を展開し防御をする。


「シキ!!」

「大丈夫!何とかなる!!」

シキは無造作に落ちる雷を全て直感で避けていた。


その瞬間

「っ!?」

シキの元へ、雷の速度でトルポルが接近。

「焼けろ」

トルポルの手のひらから放たれる超高圧の雷魔法がシキを襲う。


しかし

「あっぶない!!!」

シキは幽霊を身代わりにしてその攻撃を防いだ。


「ちっ」

一歩退くトルポル。

その瞬間、スピカがトルポルの周囲に氷を形成する。

氷魔法グラキエース・千剣ノインベル

トルポルへと向けられた無数の氷の刃が一斉に襲いかかる。


「遅い」

だが、それもトルポルの直前で落雷によって打ち砕かれてしまう。


シキとスピカ二人を相手に、その表情を全く崩さないトルポル。

それはまるで、核の違いを見せつけているようだった。


「もぉおお!!ゴーストちゃんの攻撃も全然当たんない!!!」

シキも多方向から幽霊を使った攻撃を試すが、全て撃ち落とされてしまう


スピカは顎に手を当て、考える。

トルポルの雷魔法の突破方法を。

彼の魔法の性質も分からない今、下手に予測して動くことは逆に危険を有する可能性がある。


トルポルの雷魔法はスピカの天球魔法とシキの直感と幽霊によって防ぐことは可能だが、攻撃している隙も無い上にその攻撃は全て撃ち落とされる。


この状況を打破するには、彼の行動そのものを封じる必要があった。


「どうした?来ないならこっちから行くぞ」

トルポルはスピカとシキの上空に巨大な雷を形成する。


雷魔法トニトルス雷帝ノ戦鎚(インペラトルマレウス)


轟音とともに二人を巨大な雷が襲う。


「ゴーストちゃん!!!」

シキは幽霊の身代わりで攻撃を受け止める。

しかし、スピカは落雷を受け止めるのに精一杯で巨大な轟雷を受け止めるのは困難だった。


氷魔法グラキエース!!」

スピカは咄嗟に巨大な氷を形成するが、その轟雷によっていとも容易く打ち砕かれてしまう。


「いやぁぁああああ!!!」


攻撃を受け止めきれなかったスピカに、トルポルの雷が直撃した。

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