表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にくきゅう薬局  作者: 渋谷 春
19/46

第17話 学校薬剤師その2

美夜先生は最初の教室は説明しながら丁寧に行っていたが、あとは私と2人がかりで行い、2時間で全18クラスを回ることができた。

続いて、私たちはプールの水質検査に向かった。プールはすでに掃除してあり、はた目にはきれいな水だった。

「水質検査って塩素濃度を測るんでしたっけ?」

「そうそう、ちなみに遊離残留塩素と結合残留塩素はそれぞれいくつくらいならOKだったか覚えてる?」

そう、プールの水どころか飲料用の水道水もこの2つが基準になる。簡単に言ってしまうと、塩素濃度が基準値以上ならいいのだ。ちなみに遊離残留塩素とはアンモニアなどの異物と結合していない状態の塩素で、結合残留塩素は異物と結合しているものだ。ちなみに両方基準値を満たす必要はなく、どちらか片方が基準値を満たしていればOKだ。

「えっと、遊離残留塩素が0.1mg/L以上で、結合残留塩素が0.4mg/L以上です!」

少し自信満々に答えたが、なぜか美夜先生は少し笑っている。

「う~ん、残念ね。確かに水道水はそれであってるわ。だけど、今回はプールよ。プールだと遊離残留塩素0.4mg/L以上から1.0mg/L以下にしないといけないのよ。」

「え、でも先生さっき結合残留塩素の濃度も聞きましたけど…」

「あれはフェイントよ。まあ、しっかり勉強してね。」

「フェイントって…」

なんか納得いかなかったが、しぶしぶ水質検査の作業を行うことにした。美夜先生によると、水質検査は専門の機器がある大阪府衛生(仮)研究所で行わないと無理だそうなので水を採取するだけなのだそうだ。プールの端の4か所から専用の蓋つきの試験管4本にそれぞれ水を回収した。ちなみに水質の検査項目は塩素濃度だけでなく、pHや大腸菌など全部で8項目存在する。これを1か月に1回行うことになっていた。

「この検査を毎月1回って結構面倒ですね。」

「でもこの検査省く方法があるわよ。」

「え、どうするんですか?」

「1週間に1回はプールの水を全て取り換えるのよ。まあコストがかかりすぎるから私はやってる学校は見たことないけどね。」

そう言いながら美夜先生は最後の一本の試験管に水を回収していた。


➋❾〇


水を回収し終えると、美夜先生は氷が詰め込まれた発泡スチロールのケースに試験管をなおしていた。水質検査では回収後に時間がたつと、菌が繁殖し、正確な検査を行えない可能性があるため、低温でサンプルを持ち運ぶ必要があるからだ。

続いて、プール施設の衛生状況調査だ。といってもこちらは専門業者がすでにやった後のため、軽く見るだけみたいだ。

「そういえば、葵ちゃんって水着って何着てるの?」

「き、急にどうしたんですか?」

「いや、もしかしていまだに高校生の頃のスクール水着来てるのかなっと… まあマニアには受けそうね。」

「持ってませんし、頼まれてもきません! それに… 私泳げないんで水着自体持ってないです…」

「えっ… それはそれはかわいいわね~」

「美夜先生、ちょっとバカにしてます?」

「いや、かわいい子が泳ぎ下手なところ想像するとちょっと… やっぱり何でもないわ」

美夜先生は口を手で隠しながら、私とは反対の方を向いた。わずかだが、肩が震えている。そんなにおかしいのかな…

「ところで更衣室についたわね。早く中を調べて帰ろっか。」

話題をそらそうとしてるのかは分からないが、すでに美夜先生の中でブームは終わったのか、表情は元に戻っている。

「更衣室って見る意味あるんですか?」

「あるわよ! ビデオカメラ仕掛ける不届きものが多いからね。」

「小学校ですけど… いますかね?そんな人。」

「いるわよ、私の中学校の頃の担任もトイレに仕掛けていたからね。」

「そんな人そうそういませんよ。」

そう言いながら、更衣室のドアを開けると、ロッカーが並んだ薄暗い部屋が見えた。ぱっと見ではごみも落ちておらず、整理されていた。

「特に何もありませんね… 帰りましょうか?」

「待って! あのポスター…ちょっと変じゃない?」

見ると、壁の奥には『熱中症に気を付けよう!』のポスターが貼ってあった。にゃるみーキャットがコップを突き出している絵で、小学校でも人気のようだ。

「別に…おかしいところなんてないと思いますけど…」

「甘いわね。にゃるみーの左目を見て。右目と違って黒いでしょう?」

確かによく見ると、左目だけにゃるみーキャット特有の緑色ではない。と思ったら美夜先生はポスターを破らないよう丁寧にはがした。

「え! これって…」

ポスターの裏にはビデオカメラが設置してあった。

「うーん、無線式のビデオカメラね。データは…何にも入ってないか…」

美夜先生は冷静に分析していくが、私にとっては衝撃的で頭が追い付かない。

先生がビデオカメラを調べ終えて、私の顔を覗き込むまで頭が真っ白になっていた。

「大丈夫?」

「あ、はい! というか美夜先生冷静すぎでしょう…」

「そう? さっきも言ったように別に珍しいことじゃないわよ。とりあえず、校長先生に報告しに行きましょうか。」

そう言いながらさっさと歩いていく美夜を葵は必死に追いかけて行った。

まじめ→おふざけを繰り返します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ