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のほほん英雄譚  作者: ビオレちゃん
鍛冶職人編
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のほほん75

僕は、お母さんを助けたい。

お母さんの病気を治してあげたい。


小さかった頃、お母さんが咳をするようになった。

だんだんと、だんだんとお母さんの咳が酷くなっていった。

それだけじゃなかった。僕がいないところで苦しそうにしていた。

でも僕の前ではお母さんは笑顔だった。

僕に心配させないように、僕のことを一番に考えてくれていた。

僕もお母さんのことが大切だった。

何とかしてあげたかった。


「あなたの病気は治せません。王都には……いえ、王国にはあなたの病気を治せるポーションを作れる薬師がいないのです」


「そう……ですか……」


「おいしゃさん!」


「なんだい?」


「ぼくがくすしさんになれば、おかあさんをなおしてあげられますか?」


「難しい……いや、きっと治してあげられるよ」


「なら、ぼくがくすしさんになって、おかあさんをなおす!」


それから僕は王都中を歩き回って、薬師を見つけてはお願いして回った。


何度も

何度も

何度も


そうしてようやく僕を受け入れてくれた薬師さんも、病気ですぐにいなくなってしまった。


せっかく、お母さんを助けてあげられるようになれたかもしれないのに、

ダメだった、また振出しに戻ってしまった。

そんな時に店主さんとティア姉さんと出会った。


それから毎日、本を見て、薬師さんに教えてもらった通りの方法でポーションを作り続けてみた。


けど全然上手くいかなかった。

悔しくて悔しくて泣いたりもした。


それでもお母さんを助けてあげたくて、何度も何度もポーションを作り続けていた。


そんな僕に師匠が出来た。


いいポーションを作るには必要な水と薬草と魔力の分量を自分自身で探さなければいけない。そう教えてもらってから、必死に探して、見つけて、白紙の本に書き続けてみた。


成果は少しずつ出てくれていた。

でもお母さんの病気は一向に良くなってくれなかった。


ポーションを作るだけじゃ足りなかった。

お母さんの病気のことを知らなければならなかった。

だからルナ師匠に頼んで、勉強をした。


毒の種類

病気の症状

怪我の対処法


ルナ師匠はたくさんのことを教えてくれた。

そのおかげで将軍さんの毒と怪我を治すことが出来た。


そして僕は知った。


お母さんの病気のこと

現在のお母さんの病気の進行具合

その治療に必要な物のこと


「ルナ師匠」


「どうしたの? コン太くん」


「どうしてお母さんは、ルナ師匠に病気を治してもらわなかったんですか?」


「コン太くんのお母さんは、あなたに病気を治してほしい。そう言っていたわ」


「ずっと、ずっと、今も苦しいはずなのにですか」


「そうよ」


「僕には作れるとは思いません。エリクサーなんて……」


「それは、あなた次第よコン太くん」


「…………」


「それとも、諦めるのかしら? 今の気持ちを言ってみなさい」


「僕は、僕はお母さんを助けたい。諦めたくないです」


「なら、作るしかないじゃない。エリクサーに必要な材料は?」


「ルナ師匠の住んでた神秘の森、そこからしか手に入らない神秘の水。世界樹の葉、そして精霊の涙です」


「正解! 神秘の水は私が用意してあげれるわ。世界樹の葉はティアちゃんにお願いすれば用意してもらえるはずよ。もしかしたらコン太くんが頼めばもう渡してくれるかもしれないわね」


「……でも、精霊の涙なんてどこにあるのかわかりません」


「精霊の涙は精霊にお願いすればもらえるわ。コン太くんのお母さんを助けたい。その気持ちをちゃんと伝えればいいのよ」


「僕は精霊を見たことも会ったことも無いです……」


「精霊はね、長い長い年月を経た樹木を好むのよ。丁度いいことに、この家の隣にある大樹に精霊は住み着いているわよ」


「本当……ですか?」


「本当よ。その精霊はヴィータくんが家にやってきたことも、ティアちゃんが住むようになったことも、コン太くんがお母さんを助けたくて薬師になったことも全部見て知っているわ。後はコン太くん、あなた次第。精霊の涙を手に入れることも、エリクサーを作ることも、お母さんを助けてあげることも全部ね」


「僕、精霊さんにお願いしてきます!」


「いってらっしゃい」


僕はルナ師匠に教えてもらった通り、外に出て、家の隣にある大樹にいる精霊さんにお願いした。


お母さんの苦しむ姿をもう見たくない。

お母さんの病気を治してあげたい。

お母さんとこれからもずっと一緒に笑っていたい。

だから!


そう強く大樹に精霊に願った。

その嘘偽りのない気持ちを感じ取ったのだろうか。


コン太の目の前が光り輝き、一粒の綺麗な水色に透き通った石が、コン太の手のひらに現れていた。


「それが精霊の涙よ。良かったわねコン太くん。精霊は邪な気持ちには応えてくれないの。ティアちゃんだったらきっとダメね」


「精霊さん! ありがとう!」


それから僕は、ルナ師匠に用意してもらった神秘の水とティア姉さんが待ってましたよと言ってすぐに渡してくれた世界樹の葉、そして精霊さんにもらった精霊の涙。


この3つを使ってエリクサーを作る準備を始めた。


「チャンスは一度きり。頑張りなさい」


「はい!」


「コン太くん、頑張ってくださいね!」


「はい!」


ルナ師匠とティア姉さんに見守られながら

神秘の水に煎じた世界樹の葉を混ぜ合わせる。

そして精霊の涙を神秘の水に入れる。


願う。

何度も何度も願う。

お母さんを助けたいその一心で。


魔力を掛け合わせ、混ぜ合わせ、光輝いた。


「おめでとうコン太くん」


「これが……エリクサーなんですね」


「そうよ」


「わぁ! やりますねコン太くん!」


調合場のテーブルの上に、コン太が作り出した万病に効くエリクサーがあった。


「さぁ、お母さんに飲ませてあげなさい」


「今日はパーティーですよ!」


「行ってきます!」


僕は2階で一休みしていたお母さんの元へ


「お母さん!」


「あら、どうしたのコン太?」


「あのねお母さん! 僕お母さんの病気を治せるんだよ!」


「本当に?」


「うん! これエリクサーって言うんだよ!」


「これは……そう、あなたが作ってくれたのね」


「エリクサーのこと知ってるの?」


「えぇ、以前見たことがあるの。飲んでいいのかしら?」


「もちろんだよ! 僕はお母さんのために作ったんだから!」


「ありがとう、コン太」


お母さんはエリクサーを飲んでくれた。

本当にギリギリだったのかもしれない。

お母さんの顔色はみるみるうちに良くなっていった。


お母さんは泣いていた。

嬉しくて泣いたんだって言ってた。

優しく抱きしめてくれて、何度も頭を撫でてくれた。


お母さんはいつも僕を信じてくれていた。

初めて作ったポーションも疑うこともしないで飲んでくれた。

苦しかったはずなのに、いつも自分のことよりも僕を心配してくれた。

病気は治ったけど、これからも僕はお母さんを助けていきたいそう思った。

そして、何も出来なかった僕に手を差し伸べてくれた店主さんとティア姉さん、ルナ師匠が困っていれば助けてあげたい。これからずっと。

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