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のほほん英雄譚  作者: ビオレちゃん
鍛冶職人編
59/92

のほほん58

「おはようございます!」


「コン太くんおはようございます。今日もいい挨拶ですね!」


「おはようコン太。準備しておいで」


「はい! あっ、そうだ。兵士さんが店主さんにお手紙を渡してほしいと頼まれました」


「俺に? 珍しいね」


「それじゃあ準備してきます!」


コン太は家の中へ入っていった。

ルナと挨拶している声が聞こえる。


「なんて書いてあるんです?」


「ルーシュか……懐かしいな」


”久しぶりだなぁヴィータ。

俺だぁルーシュだ。用件だけ書いておくぞ。

スラム街に住むコン太の身が狙われている。

今日武装してコン太と一緒に来い。

                   ルーシュ”


「これって本当なんですか?」


「うーん。ルーシュは俺と同期なんだけどね。のらりくらりとしてる人で適当なこと言う人なんだ」


「じゃあ嘘なんじゃないですかね」


「でも、大事なことだけは嘘つかない人だ。手紙に書かれてることは本当だと思う」


「でもコン太くんって……そう言えばどこに住んでいるのか聞いてませんね。確認してみましょうか」


ヴィータとティアは家に入ってコン太に聞きに行った。


「コン太くんコン太くん」


「ティア姉さん何ですか?」


「コン太くんはお母さんとどこに住んでるんですか?」


「えっと……王都の……スラム街って言われてるところです!」


「そうですか……へっぽこ店主」


ティアが確認のためにヴィータを見る。


「コン太。今日帰る時、俺も一緒にいくよ」


「どうしたんですか?」


「このへっぽこ店主はですね。コン太くんを雇ったというのにお母さんに挨拶にも行かない大馬鹿なんですよ。だから私が叱ったんですよ。ちゃんと挨拶に行けって」


「わかりました!」


コン太を怖がらせないようにと咄嗟に起点を利かせたティアはさすがだとヴィータは思う。


「どうかしたの?」


「お師匠様。ん~コン太くんは外で待っててもらっていいですか? 大事な物を忘れてしまいまして」


「はーい!」


ティアの言う通りに家の外へ出ていった。

ヴィータはその間にルナに手紙を見せた。


「ふーん。信用出来るの?」


「大事なことは嘘を言わない人なので本当のことだと思うであります」


「なら私も手伝ってあげる」


「いいのでありますか?」


「大事な弟子が危険な目に遭うかもしれないんだから当然よ」


「さすがお師匠様! コン太くんはどうしましょうか。家にいてもらった方がいいですかね」


「夕方まではいつも通りでいいと思うわ。心配なら私もついていってあげる」


「念のためにお願いします!」


「わかったわ」


………………………………


「もう夕方かー時間経つのはえーなー」


「ルーシュの調子はどーよー」


「もうサイコーよー。今もバッチリ通行人さん達から見られてらーバリバリよー」


「モテる男は羨ましーねー」


「だろー?」


「珍しい人が来るなぁ」


そんな兵士2人の近くにヴィータ達4人が歩いて来ていた。


「今日も元気よーく帰ってきたなー」


「ただいま! 兵士さん!」


「おー珍しくお友達連れてきたんだなー」


「うん! そうなんです!」


「エルフかーべっぴんだなー」


「僕の師匠です!」


「よろしくね、兵士さん」


「よろしくぅ、懐かしい顔だなぁおい。相方さんよぉ懐かしいやつが来たって他の連中に言ってきてくれー」


「あいよー。また後でなヴィータ」


手をフラフラ振って1人は離れていった。


「ルーシュは昔とかなり話し方が違うな。どうしたの?」


「まま、こまけぇこたぁいいんだよ。ちょっと離れて話そうぜー」


ルーシュに連れられて少しだけ入口から離れた。


「さて、いきなり手紙寄こして悪かったなヴィータ」


「気にしてない。それより手紙の内容は本当?」


「あぁ、可愛い狐を狙う腹すかした狼が今もずっと待ち構えてるぜ」


ルーシュの言うことを聞いて少しだけヴィータもスラム街を見てみる。


「全然わからない」


「わからなくて当然だな。来てもらったのは手紙に書いてある通りだ。色々手をまわしてある。後はヴィータ達にやってもらうことを話すだけだが、名前がわからねぇ、自己紹介からだな」


ヴィータ達は互いに軽く自己紹介をした。


「オッケーだ。じゃあまずティアの嬢ちゃんは兵舎に行ってスラム街で問題起きて困ってるって適当に言ってきてくれ」


「了解ですよ」


「ルナ姉さん。あんたはコン太の家でコン太の母さんを守っててくれ。家は時々診察に行ってんだからわかるよな?」


「えぇ、問題ないわ。なら言われた通り家で待たせてもらうわよ」


「頼むぜ。もしヴィータが頼りなかったら、大きな音たてっから」


「えぇ、じゃあ先に行ってるわ」


ルナはそう言ってスラム街へと消えていった。


「お師匠様大丈夫なんでしょうか?」


「俺はルナさんがコン太の家を知っていることに驚きだ」


「ルナ姉さんはつえーぞ。コン太の母ちゃんの近くにいれば人質取られる心配は皆無だ」


「ルナ師匠は僕達が魔獣の討伐に行ってるときに、お母さんの様子を見に行ってくれたりしてるんです!」


「知らなかった」


「私も知りませんでしたよ。では私もそろそろ兵士さんに助けを求めに行きますかね」


「頼むぞー」


ティアもルーシュに言われた通りに兵舎へ向かった。


「僕はどうすればいいんですか?」


「コン太は俺とヴィータの後ろにしっかりついて来ればいいんだ。コン太が怖い目に遭うかもしれない。けど俺とヴィータがしっかり守ってやっからな」


「……はい!」


「偉いぞー」


「俺は……」


「ヴィータは俺と一緒にコン太の護衛だ」


「……出来るかな……」


「心配性だなぁ。お前はその二刀使っていつも通り魔獣を倒すように動けば問題ねーぞ」


「うーん」


「相手は弱い者いじめしか出来ない程度の半端な傭兵だぞ。王国の兵士たちより圧倒的に下だ。それにコン太の身を守るためでもある。出来ないからって逃げるのか?」


「コン太を守るのは当然のことだ。出来なくてもやるよ」


「ヴィータはそれでいいんだよ。一応言っておく、殺すなよ。コン太が見るには早すぎるからな」


「わかった」


ルーシュはヴィータの同期。

なんだかんだでヴィータの扱い方がわかるのかもしれない。

コン太を連れてヴィータとルーシュがスラム街へと入っていく。

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