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たえこママと、人道派弁護士の正体、そして、白山商店街の最高情報責任者(CIO)


(舞台説明)

ここはメタバース空間にある、とあるバー、店を切り盛りするのは、雇われママのたえこママであった。


————————————————————————


ランチ営業中の

『The Wallet』


居抜きババアのサイバーインテリジェンスアクション 〜幕張データセンター炎上編〜


第一章:テレコCIOの暴走


メタバース空間、白山商店街の最果てにある居ぬきバー『The Wallet』の厨房。


酒の勢いで最高情報責任者(CIO)に祭り上げられたTelegramの擬人化アバター、テレコちゃんは、二日酔いの頭に氷嚢ひょうのうを乗せながら、ノートPCのキーボードを親の仇のように叩いていた。


「もうヤケクソよ! 魚屋のガラケーも、八百屋の紙の台帳も、アタシの爆速P2P暗号プロトコルで全部同期させて、商店街全体を一つの『分散型自律組織(DAO)』にしてあげるわ!」


テレコちゃんが放ったDXの文字通り桁違いの暗号化パケットが、メタバース白山の光回線を通じて、現実世界のゲートウェイへと逆流していった。


その接続先は、千葉県・幕張新都心の地下深く。


数千、数万のサーバーラックが整然と並び、世界中の金融データやメタバースのインフラを静かに支え続ける、日本最高峰の『幕張データセンター』だった。



第二章:幕張、高温度クラッシュの危機


「アラート! 幕張データセンター・第4サーバー棟、内部温度が急上昇! 現在78度、なおも上昇中!」


防塵服に身を包んだ幕張のチーフエンジニアが、赤く点滅する中央制御盤の前で絶叫した。


「冷却システムの出力120%! ダメです、追いつきません! メタバースの『白山商店街』というノードから、1秒間に数ペタバイトの『大根の在庫データ』と『オロナミンCサワーのレシピ暗号』が、エンドツーエンドで暗号化されたままミリタリー級の負荷で送りつけられています!」


サーバーラックからはパチパチと静電気の火花が飛び散り、冷却水は沸騰寸前のボコボコという不気味な音を立てている。基盤が焼き切れる寸前のプラスチックの焦げ臭い匂いが、近未来のクリーンルームに満ちていく。


「このままだと3分以内に幕張の全サーバーが熱暴走で物理的にクラッシュ(溶解)します!」



第三章:パウロ君の緊急予言とママのゲキ


その未曾有の熱波は、バー『The Wallet』の水槽の中にいる予言タコ、パウロ君の8本の触手にもダイレクトに伝わっていた。


光海底ケーブルを通じて伝わってきた幕張のサーバーの「悲鳴」に、パウロ君は水槽の中で真っ赤に変色し、狂ったように触手をのたうち回らせた。


パウロ君は吸盤でガラス面に、ものすごい速度で文字を刻んでいく。


【M-A-K-U-H-A-R-I M-E-L-T-D-O-W-N】

(幕張メルトダウン)


「なんだってかい!? 幕張のデータセンターがアタシたちのせいで火を吹いてるって!?」


たえこママは、パウロ君の予言を見るやいなや、割烹着のポケットからオロナミンCのボトルを抜き取った。


「テレコCIO! 商店街のDXも上等だけどさ、現実の幕張を焼き切っちまったら、

あんたのその優秀な暗号化パケットを少し間引きな!」


「無理よママ! Telegramの暗号化は一度走り出したら誰にも止められないの! シカゴのサマンサ(Signal)の鼻を明かすまではデリートしないんだから!」テレコちゃんが叫ぶ。


「だったら、あたしの料理で冷ましてやるよ!」


たえこママは、カウンターの下から白山商店街の氷屋から仕入れてきた純氷の塊と、キンキンに冷えた缶ビールをテレコちゃんのPCの排気口へ力ずくで押し当てた。物理的な冷却である。



第四章:砂に還る熱狂


「――えっ?」


シカゴの超高層オフィスで、赤ワインのグラスを傾けていたサマンサ・ビンガムは、手元のスマートフォンを見て目を見開いた。


彼女の『Signal』の画面に、

5秒間、だけ【白山商店街CIO:テレコ】から、幕張のサーバーの廃熱データが、自己消滅メッセージとして送りつけられてきたのだ。そして、そのデータは読まれると同時にサラサラと砂のように消滅した。


「サマンサ、あなたの冷徹な暗号(Signal)だけが世界を動かしていると思わないことね。白山は、熱気だけで幕張を溶かすんだから」


メッセージが消えた画面を見つめながら、サマンサは生まれて初めて、その完璧なインテリジェンスに「寒気」を覚えた。


現実の幕張データセンターは、たえこママの強引な物理冷却(とテレコちゃんのギリギリのパケット制限)によって、温度89度でなんとかクラッシュを回避し、静かに煙を上げながら再起動を始めた。


「ふぅ……命拾いしたアルね」銀聯姐さんがカウンターでへたり込む。


水槽の中のパウロ君も、元の大人しいタコの色に戻って、ふぃーと一息つくように泡を吹いた。


白山商店街のサイバーインテリジェンス・アクションは、今日も現実世界のインフラを脅かしながら、ハチャメチャに爆走を続けるのだった。

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