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第3話 社畜だった男は必要なスキルを要求した


「ちなみに俺が行きたいのは、ずばり天国だ、キッパリ。」

「なにぃ、無間地獄に行きたいじゃとう。

なんて奇特な奴じゃ、ほとんどの奴は地獄だけは行きたくないと願うのじゃがなぁ。

まぁ、貴様に最もふさわしい行き先といえばそうじゃな。

今回はその謙虚さに免じて大焦熱地獄にワンランク恩赦を与えてやろうではないかのぉ。」

「無間地獄に行きたいなんて言ってねぇ。

俺は天国に行きたいって言ったの。」


もうじじぃは余計なことは考えんでいいってぇの。

'天国に行きたいんですね。

わかりました、要望通りに天国に送りまぁす'

と素直に言ってくれれば、次に

'では出発に当たってほしいスキルは何かありますか'

と尋ねられたら、

"特にありません、このまま送ってください"

とスムーズに話が進むのにな。


「なにぃ、大焦熱地獄じゃ甘いから無間地獄が良いと、それに特に必要なものはないって言ったのかのぉ。」

「だからそんなことは言ってねぇぞ。糞じじぃ。

なんで、特に必要なものはないというところだけ正確に聞き取っていやがるんだ。」

「誰が糞じじぃじゃぁぁぁぁ。」

「だからぁ、なんでそういうとこだけはしっかりと聞こえているんだよぉ。」


糞じじぃの部分だけしっかり聞こえたようでプンスカし出す、糞じじぃ、もとい、かみだじじぃ。


「いずれにせよ、天国は無理じゃな。」

「なんでなんだ。」

「聞きたいか、どうしても聞きたいか、聞いても後悔しないか。

本当に聞きたいんかぁぁぁぁぁ、あん。」


真顔になり、どんどん近づいて来る、かみだじじぃ。


「あっ、いや、特に聞かなくてもいいや。」


理由が大焦熱地獄行きがふさわしいなんてものだったら目も当てらんないからな。


「それで結局、俺はどこに送られるんだ。」

「社畜の跋扈する世界?

大焦熱地獄? 」


小首を傾げる、かみだじじぃ。

糞じじぃがそんな仕草をしてもちっともかわいくねぇぞ。


「やっぱり無間地獄じゃな。」


何でじじぃの悪口だけはしっかりと聞こえるんだぁ、それに口に出して言ってねぇぞ。


「まぁ、神じゃからな。」


なにその自慢げな態度。


「もぅ、社畜と地獄以外のところで頼むよ。」

「貴様に一番似おうとると思うたがのぉ。

まぁ、いいじゃろ。」


なんだ、その上から目線は。


「神じゃからな。

まぁ、せっかく別の世界に行くのじゃ。

今と似たような世界ではつまらんじゃろ。

似たような世界に行ったとしても、貴様の性としてはどうせ直ぐに社畜に逆戻りじゃわい。」


やれやれと言わんばかりのかみだじじぃ。


あぁ、確かに元の世界に似たところなんて行ったら、また社畜に逆戻りになっちまうかもな。


「そうじゃなぁ、たとえば・・・・」

「例えば?」

「魔法と剣の世界はどうじゃ、ファンタジーの王道の。」


糞じじぃの口にファンタジーなんて糞似合わないんだけど。

でもまぁ、それぐらい変わった世界もいいかもな。


「どこの世界にいても貴様は社畜に収まりそうじゃがのぉ。

厄介な性じゃのぉ。」


ほっとけ。


「そんなことはない。

俺は立派な冒険者になって、異世界を堪能するんだ。」

「あぁ、手遅れじゃったか。

すでに冒険者ギルドの社畜に成り下がる宣言をしとるぞ、貴様は。」

「そんなことはないぞ。

ちゃんとライフ・ワークバランスを取って、優雅に生きるんだぁ。」

「ワーク、ワークバランスじゃとぉ。

ダブルワークでずっと働きっぱなしじゃな。

やはり貴様は根っからの社畜じゃのぉ。

もう、その輪廻を断ち切るために、いっそのこと無間地獄に行ったらどうじゃ。」


やれやれと言う顔をして、俺を地獄に導こうとすんじゃねぇ。


「ということで、行き先は魔法と剣の世界で頼んます。」

「うむ、心得た。

それであれば儂の方は問題ない。

超特急無間地獄行きのグリーン席券を左手で握りしめておきながら、右手を頭上に振り上げて天国に行きたいなどと神に挑戦するかのようなふざけたことを申すものじゃから、何を考えておるのじゃと思ったぞ。」

「あぁ、やっぱ天国で。」

「なにぃ、やっぱり社畜の跋扈する世界か大焦熱地獄が良いってかぁ。

剣と魔法の世界よりもそっちを選ぶとは、修羅じゃな。」


糞じじぃ、人の話を聞けよぉ。


「無間地獄で良いかのぉ。」

「良くねぇわぁぁぁぁ。

あぁぁぁぁもぉぉぉ、話が進まないから剣と魔法の世界でお願いしますって。」

「最初から素直にそう言えばいいものを。

社畜根性が染みついておって、困ったものじゃ。」


あんたの耳の方が困ったもんだぞ。


「それでは、行き先は魔法と剣のファンタジー世界に決定として、後は間違って死なせて別の世界に行く羽目になった哀れな社畜に手向けとして必要な能力を授けるとしようかのぉ。」


おぉぉぉぉ、キタ――(゜∀゜)――!!

異世界転生の定番。

神様からの神スキルの授与だな。

まずは定番の・・・・・


「24時間働ける黄色いラベルのポーション(意訳: リ〇イ●)を作れる能力がほしいと。

どこまで社畜根性が染みついた奴じゃ。

だから無間地獄に行って、その腐った根性をたたっ切れと言っておるのに、まったく。」


心底あきれ顔の糞じじぃ。


「だれもそんな黄色いポーションを作れる能力がほしいなんて言ってねぇだろうがぁぁぁぁ。

俺がほしいのはあれだよ、あれ。

定番のあれだよ。」

「おぉ、あれかぁ、定番ののぉ。

そうじゃった、そうじゃった。

そっちの方だったかぁ。」


そっちのほう?


妙に納得顔のかみだじじぃに俺は疑惑の視線を向けた。


「黄色い方じゃなく、鷲のマークのファイト△発の方じゃったな。

それでDか、DXか、それともDプレミアムか。

なんなら全部作れる方がいいかのぉ。」

「がぁぁぁぁぁ、そっから離れろよ、糞じじぃ。

俺がほしいのは社畜御用達のポーションをいつでもどこでも簡単に作れる能力じゃねぇつってんだろうがぁ。

俺がほしいのはどこでも・・・・・・」

「あっ、なるほど、これは悪かった。

寝袋とアイマスクじゃったかぁ。

社畜にとって定時は丑三つ時。

終電に乗るなんて盆暮れ正月ぐらいじゃからな。

会社の床がベッド替わりにどこでも寝られるアイテムがほしいという訳じゃな。」


うんうん頷く、糞じじぃ。


「なんで剣と魔法のファンタジー世界に行くのに寝袋とアイマスクが必要なん・・・

まぁ、必要だな。

冒険者になって依頼で野宿する場合もあるだろうからな。

あっ、アイマスクはいらねぇから、簡単に設営できるテントと小さくたためるエアマットをくれ。」

「うむ、わかったのじゃ。

必要なものはそれくらいじゃな。

では時間もないことだしそろそろ異世界に行ってもらおうか・・・・・」

「ちょっとまったぁ。

テントと寝袋よりももっと必要な定番スキルがあんだろうよ。」

「必要なスキルじゃとぉ・・・・・・」


かみだじじぃは不思議そうに小首を傾げた。



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