不審船
新潟城。
玉木屋大隈「これはこれは藤田様。」
若狭屋常安「本日はどのような御用件で?」
藤田信吉「皆様とは昔からの縁であり、此度の新潟攻略にも多大な貢献をしていただきました。心より御礼申し上げます。引き続き新潟、沼垂の代官を務めていただきたいと主君景勝並びに直江も言っています。」
玉木屋大隈「ありがとうございます。」
若狭屋常安「変わらず務める所存であります。」
藤田信吉「今日ここを訪ねたのには理由がありまして。」
玉木屋大隈「どのような件で?」
藤田信吉「心配なさらず。皆様を疑っていると言う事ではありません。」
若狭屋常安「その前置きがある事が心配の種なのでありますが?」
藤田信吉「そうでありました。しかしこれは事実であります。ただ直江が懸念している事がありまして。それは……。」
最近、不審な船を見掛ける機会が増えている。
藤田信吉「新潟と沼垂の責任者は直江でありますが、基本玉木屋様と若狭屋様に全てを委ねています。今後もその方針との事。なのでありますが。」
玉木屋大隈「その不審船の目的地がわからない?」
若狭屋常安「玉木屋殿の新潟や私の沼垂に立ち寄っているのではないか?」
藤田信吉「疑うような真似をしてしまい申し訳ございません。」
玉木屋大隈「いえ、とんでもございません。出入りしている船と積載物に付きましては全て直江様に報告。抜け荷はありません。」
若狭屋常安「加えて我らは……。」
新発田重家の親族を倒し、上杉に帰順しています。
若狭屋常安「重家が我らを許す事はあり得ません。」
玉木屋大隈「それでも疑われる。所払いをお考えなのでありましたら……。」
藤田信吉「それを聞いて安心しました。その船を直近で見掛けたのは3日前で、その帰りの船を見たのが昨日との事でありました故。」
若狭屋常安「近場でありますね……。」
玉木屋大隈「立ち寄れるような場所となりますと、それこそここか。」
若狭屋常安「揚北地域に付きましては?」
藤田信吉「そこまでは行き来していないとの事。」
玉木屋大隈「疑われても仕方ありませんが……。」
若狭屋常安「ここではありません。としか言い様がありません。」
藤田信吉「他に可能性があるとしますと、どちらになりますでしょうか?」
玉木屋大隈「可能性があるとするならば……。」
春日山城。
上杉景勝「佐渡か?」
直江兼続「はい。恐らく小木を行き来しているではないか?との事であります。」
上杉景勝「佐渡島に……?」
直江兼続「不思議でなりません。しかもその船の旗印が……。」
織田でありますので。




