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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.44】庇護欲煽り型・薄幸の支配者(パセティック・オーバーロード)

ルミナリエ様が勾玉(不運爆弾)を抱えて魔王軍に特攻した結果、魔王城は壊滅……しませんでした。


あまりの不運が魔王に直撃した結果、屈強だった魔王は「何をしてもうまくいかない、常に涙目で膝を抱える超薄幸な美青年」に変貌してしまったのです。


「魔王を討ち取るぞ!」と意気込んで城に乗り込んだ勇者たちは、階段で転んで鼻血を出し、寂しそうに雨漏りを見つめる魔王の姿を見て、一瞬で武器を下ろしました。


「……あ、あの。僕、魔王なんですけど……。今朝、大事なプリンを落としちゃって……。皆さんも、僕を叩いてすっきりしてください……」


「そんなことできるわけないだろ! 幸せになれよ、魔王!」


広場のモニターでその光景を見ていた日和は、呆然と呟きました。


「フェアカさん、勇者たちが魔王軍に炊き出しを始めました。戦意喪失っていうか、介護状態です」


「厄日特有の因果のねじれね。不運も極まれば、最強の防衛本能になる。……でも、本当の厄災はこっちよ」


その瞬間、激しい余震がワゴンを襲いました。ガタガタと震えるカウンターの下、隠し細工が施されていた引き出しがバチンと音を立てて弾け飛んだのです。


「あ、フェアカさん。何か紙がいっぱい飛んで……」


風に乗って広場に舞い散ったのは、古びた、けれど丁寧に綴られた日記のページでした。日和がふと一枚手に取ると、そこには現在のフェアカさんからは想像もつかないような、熱い言葉が並んでいました。


『今日の空は、彼女の瞳と同じ色。世界を救ったその先に、二人で花を植える未来を夢見て……。あぁ、私の剣は彼女を守るためだけに、光を放つの——』


「……。…………。」


広場が、一瞬で静まり返りました。

勇者たちも、ルミナリエ様も、ベルゼ様までもが、地面に落ちた「若き日のフェアカのポエム日記」を拾い読み、あまりの「ピュアな青臭さ」に震えています。


「……フェアカ、貴女、昔はこんなに……エモかったのね……っ」


ルミナリエ様が感動のあまり号泣し、ベルゼ様は「これぞ私の憧れた宿敵の真髄!」と床を叩いて悶絶しています。


フェアカさんは、真っ白な顔で空を見つめていました。その瞳には、今度こそこの世界を消滅させようかという、静かな、けれど底知れない怒りの炎が宿っています。


「日和、今すぐネットスーパーで『記憶消去爆弾』を全在庫注文しなさい。……今すぐ。一秒でも早く」


「フェアカさん! 顔が、顔が怖いです!」


「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。他人の黒歴史、強制的な同情、消し去りたい過去、なんでもござれ」


結局、日和の迅速な手配により、広場の人々の記憶は一時的に消し飛びましたが、フェアカさんのペンダントだけは、主人の激しい羞恥心という名のエネルギーを吸い取って、かつてないほど激しく脈動するのでした。


ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

魔王の介護と店主の黒歴史。13日の厄日は、肉体的にも精神的にも甚大な被害を残していきました。

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