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チート売りの少女/女神は最近の転生者が「普通すぎるチート」に飽きていると嘆き、斬新なアイデアを求めて私のところにやってくる!  作者: 弌黑流人


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【Cheat Ability No.41】第四の壁修復剤・無自覚(ノン・メタ・キャンディ)

「あーあ、どうせ俺、この後のイベントで中ボスの噛ませ犬になる役だし。修行とかマジ無駄じゃない?」


「お前もかよ。俺なんて昨日から『俺たちの戦いはこれからだ!』ってセリフが頭から離れなくて、打ち切りフラグが怖くて宿屋から出られないんだ」


広場のあちこちで、勇者たちが自分の運命を俯瞰して語り合う「メタ発言」が溢れかえっていました。彼らはもはや冒険者ではなく、自分の物語を冷めた目で見つめる観客になってしまったのです。


「フェアカさん、これマズいです! 勇者たちが『どうせ死なないし』とか『ここで負けるのが王道だし』とか言い合って、ちっとも戦いに行きません!」


日和が青ざめて報告すると、フェアカさんは看板に「メタ発言禁止」と大きく書き加えました。


「物語の登場人物が『自分は物語の中にいる』と気づき始めたら、その世界は崩壊するわ。彼らの行動に熱がなくなれば、天界に届く経験値もゼロになる。……日和、ネットスーパーで特効薬を出しなさい」


そこで日和が急いでラインナップに加えたのが、淡い水色の「ノン・メタ・キャンディ」でした。


「はい、皆さん! 自分のメタ的な発言や思考をシャットアウトして、目の前の現実に全力投球できるキャンディです! 今なら一袋、将来の成功報酬の10パーセントで販売します!」


自意識過剰で動けなくなっていた勇者たちは、藁にもすがる思いでその飴を口に含みました。すると、彼らの瞳から濁った光が消え、再び熱い光が宿ります。


「……はっ! 俺は何を弱気になっていたんだ。中ボス? 噛ませ犬? 知るか! 俺は俺の道を突き進むだけだぁー!」


叫びながら戦場へ駆けていく勇者たち。日和はホッと胸をなでおろしましたが、フェアカさんは飴の空き袋を眺めて鼻で笑いました。


「……現実逃避もいいところね。飴の効果が切れた時、自分が無茶な特攻をした事実に気づいて、さらに深い絶望に落ちるだけなのに」


「フェアカさん、それを言っちゃおしまいです! 今はとにかく、世界を回さないと!」


日和は必死に商品を梱包し続けました。たとえそれが、一時的な「無知」を売る商売だとしても。


「チート、チートはぁ、いらんかねぇ……。幸福な無知、書き換えられた自覚、物語の延命、なんでもござれ」


ご拝読ありがとうございます。

いかがだったでしょうか?

メタ発言という現代病に侵された世界を、日和の飴が無理やり繋ぎ止める回になりました。

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