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××××の内務省ビルからは遠い盆地全てを見下ろすことができた。
それに大統領をたたえる歌をスピーカーで流す飛行船も部屋よりも下方を飛んでいた。
内務総監は札束をひとつテーブルに置いたので、殺し屋はそれを手に取った。
「数えるかね?」
「信用します。足りなかったら、また取りに来ますから」
殺し屋が立ち去る。
内務総監は双子と知らずジョン・クィンクティリウス・スミスを連れて、エレベータで尋問広間へと向かう。
「きみの今回の働きは大統領閣下のお耳に達している」
「はい」
「これからもわたしに仕えたまえ。悪いようにはしない」
「はい」
尋問広間には円柱型の水槽がいくつも並んでいて、そのなかに人間の脳がぷかぷか浮いていた。
「皮を剥ぐだと?」内務総監は軽蔑を織り交ぜてつぶやいた。「まったく野蛮な」
三十六人の中学生の脳が浮いている。これまでに電極を通して、頭脳から引き抜いた情報が紙テープになって操作盤から流れ落ちていた。
「学割定期券の廃止反対のデモの予定?」内務総監がうんざりして言った。「もっとマシな情報を持っているかと思っていたが、無駄骨を折ったな」
ジョンはホールの端にある、小さな窓のそばに寄った。
小さな窓でガラスのあいだに防弾素材が挟んである。
留め金を外すと、窓ガラスは少しだけ動いた。
殺し屋は数センチの隙間で構わないと言っていた。
無音の銃弾が飛び込み、内務総監の脳みそを吹っ飛ばす。
ジョン・クィンクティリウス・スミスは一キロ離れた位置に立つ、破産した高層廃墟を見て、つぶやく。
「これで貸し借りはなしだ」
〈了〉




