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第六十九話 セルギウスの強大な古代魔法

2022.10.12 軽微な修正を行いました。

「ふわぁ~あ。マヤ君おはよぉ~」


 私がシャワーを浴びた後、裸のエリカさんが起きた。

 二日酔いではなさそうだ。


「エリカさん。ゆうべ俺に何かしたでしょ。」


「え? あぁ… 帰ってきたらムラムラしてきて…

 なんか美味しそうだったからつい…むっふっふ」


 私はテーブルの上に置いてあるおやつなのか?。

 怒る気にもなれないので、それで終わりにする。


 エリカさんは裸のまま、シャワーを浴びに行った。

 彼女がシャワー室へ向かう後ろ姿を見ていると、黙っていればすごく綺麗なんだがなあ。

 まるで都会のシティホテルで迎えた、大人の朝のような気分になる。

 そんなのってドラマか映画でしか見たことがないけれどね。


---


 宿で皆と朝食。

 生ハムパンとコーヒー。パティだけチュロス。

 生ハムがとても美味くて、帰りもここで泊まってみようかなと思った。


 高いチップをあげた馬車係の監視の甲斐あって馬車は何事も無く、私はセルギウスを召喚した。


『おいっす~!』


「おーいす!」


 この挨拶は、昔の有名コメディアンがやっていたので懐かしく思った。

 ほんの時々であるが、日本を思い出せることがあると何だか嬉しくなる。


「とりあえず、人参食ってく?」


『おお、もらおうか。』


 人参と一緒に、切っておいたかぼちゃもあげた。


『このかぼちゃってやつも美味えな!

 なんで人間ばかりこんな美味いもん食ってるんだ。』


「アスモディアで育てれば食えると思うが、しないのか?」


『だいたい農作物はオークが作ってることが多いんだが、あいつら向上心ってものがあまり無いんだよ。

 でもあいつらがいないと俺らは草を食うしかないから、文句を言えないんだよな。』


「大変だな。まあ召喚すればいつでも食べられるよ。」


「うむ、よろしくな。」


 エルミラさんを呼んで、セルギウスを再びハーネスで馬車に繋いだ。

 よし、出発だ。


---


 セルギウスが軽快に走らせ、わずか十数分でカルサという小さな街を抜けたところで、何かすごく嫌な感じがした。


「エリカさん、この嫌な感じわかる?」


「ああ。もうジンジン来てるよ。」


「マヤ様、私も感じます。もしかして魔物ですか?」


「だろうね。しかも大群だ。」


「みんなわかるんだ。すごいなあ。私にはさっぱりだ。」


「エルミラさん、臨戦態勢だよ。セルギウスを停めて槍の準備を!」


「わかった!」


『それには及ばん。』


 セルギウスはそう言って、馬車を停めた。

 外へ出てみると、少し先の道外れで魔物の大群がいそうな場所がある。

 その上空が、いつの間にか気持ち悪いくらいの真っ黒な雲がかかっていた。

 セルギウスはブツブツ何かを言っているが、全く聞き取れない言葉だ。


「あれは魔神語よ!

 人間の口では発することが出来ない、魔族の古代語だよ!

 セルギウスは何かやるつもりだから、気をつけて!」


 エリカさんはそう言うが、どう気をつければいいんだ。

 あの雲の雰囲気的に、雷雲っぽいが。

 馬に発音出来て人間には出来ないというのも不思議だなあ。

 そしてセルギウスが口を止めた瞬間…


 パカンッ パカンッ パカンッ パカンッ パカンッ パカンッ…


「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


 常識外れの稲妻の連続が、魔物がいると思われる場所に落ちている。

 女の子たちは耳を塞いでうずくまっているけれど、やっぱり雷は怖いよね。

 エリカさんが二十六歳でも、おっさんの私から見たら女の子だよ。


 ひとまず終わったようだが、雷鳴のこだまがまだ響いている。

 地面に落雷する瞬間の映像を見たことがあるが、あれは今の私でも逃げられない。


「あれはきっと【コンティヌイ フルガル】だよ。

 私も見るのは初めてだけれど、闇属性の古代魔法だよ。

 まさかセルギウスがあんな魔法を使うなんて思いもしなかった…。」


 エリカさんが地面にへたりながらそう言う。

 ああっ グレーのぱんつ見えてるよ。

 セルギウスを呼ぶ召喚魔法の消費魔力が大きいから、前のエリカさんではなかなか呼べないので見る機会が無かったのだろう。


「それより残った魔物の掃討と、恐らくデモンズゲートが近くにあるはずだ。

 エリカさん行くよ。

 パティとエルミラさんはここで馬車を護っていてね。」


「わかりました。マヤ様気をつけて下さいね。」


『嬢ちゃんたちには俺がいるから、気兼ねなく行ってこいよ。』


 そうして私とエリカさんは該当域へグラヴィティで飛んでいった。


---


 現地へ着くと、背丈三メートル以上の巨人が三十体ほど倒れていた。

 一つ目の巨人…、これはサイクロプスか!?

 某RPGでは終盤に近い強いモンスターでデザインも可愛らしかったが、これは本当に一つ目の巨人でややグロテスクだ。


 遭遇する度、だんだん強そうな魔物になってきている…。

 この先はもっと強い魔物が出てくる可能性がある。

 周りを見渡しても掃討する必要も無く、サイクロプスは全滅していた。

 セルギウスの魔法はなんという威力なんだ…。

 魔素探査を掛けてみたら、すぐ近くの林に強く感じるものがあったので、二人で行ってみた。


 デモンズゲートがすぐ見つかった…。

 三メートル以上あるサイクロプスが出てきただけあって、でかい。

 こんな時に、ジュリアさんのあの時のおまたパックリを思い出してしまった。

 確かに似ているが、とても失礼なので考えるのをやめよう。


 私はクローデポルタムを掛けた。


『我、彼方より来たる魔を討つ者也。美しき世界を我は望む。地獄の不浄なる門を清め給え。再び開くこと無かれ。クローデ ポルタム!!』


 でかいデモンズゲートはシュッと消えて無くなった。

 次はサイクロプスの死体を片付けなければいけない。

 エリカさんと手分けして、グラヴィティを使ってサイクロプスの死体を一カ所に集めた。


 いったんセルギウスの所へ戻り、火属性の魔法が使えるパティを抱えて連れてきた。

 彼女は最近覚えたという火属性の超上級魔法【ヘルファイア】を放ち、地獄の業火とも言うべく強力な火力で、ゴォォォ…という音とともに死体を焼き尽くして処理をした。

 あんな大火炎は前世でも見たことがない。じりじりと熱が私たちに伝わってくる。


 類人猿や人型の魔物の焼却処分はとても見ていられないし、ニオイも酷い。

 荒野で周りに燃え移る心配が無いので、早めにこの場を離れた。


 馬車まで僅かな距離だが、またパティを抱えて飛んでいく。


「あ、あの… マヤ様…。いえ、何でもありません。

 仕方ないですからね…。モジモジ」


 黙っていたけれど、パティのお腹のあたりを抱えて飛んでいて、彼女の胸が大きいから下乳がどうしても腕に当たる。

 わからないふりをして彼女の成長っぷりを感じ、セルギウスの元へ帰ってきた。


「セルギウス、エリカさんが言っていたけれど、あの魔法はコンティヌイフルガルって魔法なのかな?」


『当たりだ。察したとおり魔族にしか使えない魔法だな。

 雲を動かす天変地異の魔法だから、魔力量も一万くらい使う。

 燃費は悪いが、楽でいいだろ。はっはっは』


 あんな大魔法を使ってケロッとしているセルギウスは、実はかなり上位の魔族なのか、それとも魔族の基本仕様の桁が違うだけなのか。

 あれだけの力があれば人間の国を支配出来るだろう。

 だが、前にも聞いたとおりずっと昔は魔族が人間を襲っていたらしいが、今はそういうことが無くて、人間の文化が上がりお互いの精神的進化もあって利害一致関係があるとのことだ。

 未だ戦争一つやめられない地球の人間はどうしたものか。


 コンティヌイフルガル、クローデポルタムとも、ラテン語を使ってます。


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