表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/376

第四十話 朝のお着替え/さようならラミレス家

2023.11.28 軽微な加筆修正を行いました。

「マヤ様、おはようございます。マヤ様……」


「ああ…… パティか…… おはよう…… んん??」


「ローサです、マヤ様。おはようございます。朝食のお時間です」


「うおっ!?」


 目を開くとローサさんの顔が十センチほどの近くにあり、びっくりした。

 もしその衝動で顔を起こしてしまったら、むちゅっとキスをしてしまうところだ。

 何をやってるんだこの人は……

 狙ってるんじゃなかろうか。


 ああ…… そうか。もう朝なのか。

 夕食の時と同じパターンになってしまった。

 布団から出ると私は生理現象で大きくなっていたが、ローサさんは見て見ぬふりをしてくれた。

 あれ? ぱんつがひんやりする。まさか夢で……

 そういえば夢でセシリアさんが出てきて、彼が女の子になってて……


「そちらの洗面台で、お顔を洗って歯磨きも出来ます。

 それからお着替えを手伝いますので」


 まずい。着替えが非常にまずい。

 至れり尽くせりだけれど、何だか監視されているような気分でもある。

 ローサさんはプロ中のプロのメイドさんだから、私の接客経験など足下にも及ばないだろう。

 ホテルでもお客様の粗相は何事も無いように処理するのが鉄則だった。

 だからなるようになれってか。


 顔を洗って歯磨きを終えて、とうとう着替えをすることになる。

 ちなみに分身君は大きいままだ。

 しまった。

 トイレへ先に行っておけば良かったと思ったときには、パジャマの上着が脱がされていた。


「ああああの…… すみません。生理現象で……」


「コホン、承知しています。若い男性ですから仕方ないですものね」


 ニオイでわかっちゃうのかなあ。

 ローサさんはパジャマのズボンを脱がし、アレに引っ掛かっているうえに汚れたぱんつを丁寧に脱がしてくれて、大事なところを濡れタオルで綺麗に拭いてくれた。

 まるで老人になって介護されている気分である。


「あの…… 

 裸にさせてしまった後で恐縮に存じますが、おトイレに行かれた方が良さそうですね」


「あ、はい。すみません……」


 部屋の中にあるトイレで済ませると分身君の(いきどお)りは収まり、ローサさんは温かい濡れタオルで寝汗を拭いてくれた。

 特にしゃがんで腰や足回りを拭いてくれているときは彼女の目線がそうなので、こちらもかなり恥ずかしくなる。

 ローサさんの顔が赤くなっている。

 私はそれを楽しむ変態ではないぞ。


 替えの下着を用意してくれ、上着は夕食の時と同じブラウスとズボンの姿になった。

 それから髪を綺麗に()かしてセット。

 鏡に映った自身の姿を見て、自分で言うのも何だが俺はこんなにイケているのかとびっくりしてしまった。

 プロにやってもらうと随分変わるものだと、感心してしまった。


「あのぅ、アナベルさんにも伺ったのですが、いつもお仕事はこうなんでしょうか?」


「恐らく同じ答えだと思いますが、普段は女性のお客様だけでそれもどなたでもやっているわけではありません。

 男性のお客様には旦那様が信用しお認めになった極一部の方だけのサービスです。

 貴族は横柄な方も多いので、旦那様はむやみにこういったお仕事のお願いをされません。

 実は何年か前にガルシア侯爵夫妻がいらっしゃった時もお世話させて頂きましたよ。

 私たちにもお優しくて、とても素晴らしい方たちでした。

 それにしても、マヤ様のような若い男性は初めてでしたから、その……

 緊張してしまいました。

 あいや、失礼しました。

 この発言はどうかお忘れになって下さいまし」


「ありがとうございます。

 とても献身的で、ローサさんが素晴らしい大人の女性だというのがわかります」


「とんでもございません。

 そうおっしゃって頂けると私もやり甲斐があります。

 マヤ様が昨日お召しになっていた物は洗濯して乾いておりますので、後で部屋へお持ちしておきます。

 それでは朝食会場へ参りましょう」


 こんなに至れり尽くせりお世話になったのは日本にいた前世も含めて初めてだ。

 さっきローサさんが言っていた横柄な貴族も、自分の屋敷ではこんなことをさせているのだろうか。

 そういう意味では嫌な世界だ。


---


 朝食会場は皆が揃っており、横にはロドリゴさんとテオドラさんが控えていた。


「おはようございます。遅くなりまして申し訳ございません」


「よく眠れたかね?」


「ええ、セシリア様が入れて下さったハーブティーのおかげもあって、ぐっすり眠ることが出来ました」


「それは良かった。セシリアから話は聞いたよ。君は娘の恩人だ。

 厚くお礼を言おう。どうもありがとう」


 ラミレス家の三人が揃って頭を下げた。

 そんな大それたことをしたとは思っていないので恐縮する。


「閣下、奥様、セシリア様、頭をお上げ下さい。

 私はセシリア様のお人柄がとても素敵だと思ったことですから」


「うむ。またその話は後でしよう。

 一日でマカレーナへ着くとはいえ、大変な距離だから体力がいるだろう。

 朝食をしっかり食べなさい」


「ありがとうございます」


 朝食をご馳走になった後、応接室で侯爵閣下と話をすることになっている。


「あの…… お父様。お話に私もご一緒させて頂いてよろしいですか?」


「うむ、かまわないぞ。おまえも来なさい」


 そういうことで、セシリアさんも会談に加わることになった。

 私に自分の大事な秘密を打ち明けてくれ、もう親友だと思っている。

 そしてこの世界に来て初めての男友達でもある。

 ずっと大事にしていきたい。


---


 応接室にラミレス侯爵とセシリアさん、エリカさんと私が集まり、横にロドリゴさんが控えている。


「まずエリカ殿とマヤ殿には国からの報奨金だ。

 これは国庫から預かっているお金の予備費から出している。

 二人には白金貨二枚ずつ。

 それから私の領地としての報奨金も白金貨二枚ずつ。

 マヤ殿にはさらに苦労をかけたから、私から白金貨一枚。

 受け取ってくれたまえ」


「「はい、ありがとうございます」」


「それから、私の領地であるメリーダ区で融通が利く、ラミレス家の()(しょう)を二人に差し上げよう。

 君たちはすでにガルシア侯爵家の()(しょう)も持っているようだから、使いどころはわかっているね」


「「はい」」


 ロドリゴさんが、報奨金と()(しょう)を持って来て渡してくれた。

 白金貨五枚は、五百万円か。

 普段の生活ではこんなに使えないけれど、いつか屋敷を建てたり、空飛ぶ馬車構想もあるから、お金がかかりそうなので貯金しかないよね。


「デモンズゲートの調査はまだ領地内で続けている。

 もしまた見つかったらお願いするから、屋敷は自分の家だと思って遠慮なく泊まってくれたまえ。

 ああ、勿論遊びに来てもらっても歓迎するぞ。セシリアも喜ぶだろう」


 セシリアさんは顔を赤くして照れている。

 それにまた、アナベルさんとロレンサさんにサービスをしてもらえるのかな。うひひ


「叙爵については私からも国王様へ強く推薦すると親書を送ることにした。

 だから次に会うときは、もう男爵になってるのかな。ハッハッハ」


 いろいろあって忘れていたけれど、近いうちに王都へ行かなくてはならないことになるのかな。

 そうすると王都へ行くにも方向的にセレスの街に寄れるかも知れない。


「閣下、王都へ行くときにでもまたこちらへ寄らせてもらうかもしれません。

 その時はもう二、三人増えるかも知れませんが……」


「勿論いいとも。

 そうだな、マカレーナから王都へ行くにもここへ寄ってもらった方が良さそうだ。

 あいわかった。

 良かったな、セシリア。

 またマヤ殿と近いうちに会えるぞ!」


「とても嬉しいです、マヤ様。楽しみにしております。

 マヤ様、この手紙をお帰りになったときに読んで下さいまし」


「ありがとうございます。閣下、セシリア様」


 私はセシリアさんから手紙を受け取った。

 ラブレターだったらどうしよう。


「もうそろそろ帰らないといけない時間だな。

 他に何か聞くことはないかな?」


「はい、今のところは大丈夫です」


「準備が終わったら、皆で見送るからな」


「「ありがとうございます!」」


 扉の外にはローサさんと、エリカさんには脱衣所で見たお姉さんメイドが待機していた。

 部屋でまた着替えを手伝ってもらって、荷物も整理して出発の準備が整った。

 途中での軽食に、チュロスをたくさん持たせてくれた。

 これも美味しいんだよな。


「何から何まで大変お世話になりました。ローサさんは本当に素敵ですね」


「惚れたらダメですよ。私には旦那がいますから。うふふ」


「わかってますよ。ふふ」


 冗談が通じる人で良かったよ。

 玄関先で皆がお見送りをしてくれる。

 アナベルさん、ロレンサさんもいた。


「マヤ様! あの……」


「私たち、お手紙を書いたんです。

 マカレーナへお帰りになったら読んで下さい!」


「え? ありがとうございます!」


「あらマヤ君いいわねえ。

 三人の女の子からラブレターを貰っちゃうなんて」


 エリカさんの口がまたεになって不満そうに言う。

 前世にも無かったモテ期がこの世界に来て到来した。

 私の表情は緩みっぱなしである。


「じゃあ、皆さんお元気で! また近いうちにお邪魔しますね!」


 私はエリカさんの手を繋ぎ、グラヴィティでゆっくり飛び上がった。

 ラミレス家の人たちの姿がみるみる小さくなる。


「気をつけるんだぞ!」


「マヤ様! お元気で!」


「マヤさまぁ!!」


 ラミレス家の皆がいつまでも手を振ってくれていた。

 別れの時間はいつでもしんみりする気分になる。

 屋敷はあっという間に見えなくなり、エリカさんを背負う体制にしてスピードを上げた。

 しばらくは背中に当たってるおっぱいの感触を楽しめる。


「ねえマヤ君、セシリアさんってどういう人なの?」


「彼女はいろいろ悩みがあって…、実は男の子なんだ」


「えーウッソだぁ。

 えっ!? ホントなの!? あんなに綺麗なのに?」


「本当だよ。ちゃんと見たから」


「え? 何を見たの? ねえねえ!」


「秘密」


「ぶーε」


 何を見たってナニを見てしまったのだけれど、エリカさんがからかうのは目に見えているから黙っておく。

 楽しいおもてなしを思い出にし、私たちはセレスを後にした。


(セシリア視点)


 行ってしまった…。

 でも二ヶ月後にはお会いできそうだから、それまで楽しみだわ。

 お手紙にはお礼と私の気持ちを書いたのですが、ちゃんと読んで下さるかしら。

 ううん、マヤ様ならきっと……



(ローサ視点)


 お部屋の片付けをしなくては。

 これはマヤ様が履いていたぱんつ……

 スゥーハァー…… 若い男の子がほとばしった香り…。

 スゥーハァー…… 癖になりますね。

 こんなのを誰かに見られたら、私死んじゃいます。



(アナベル視点)


 裸でご奉仕していたとはいえ、私の大事なところを完全に見られてしまいました。

 恥ずかしすぎて顔から火が出そうでした。

 でもマヤ様の落ち着きっぷりは尊敬します。

 しかも私のことを綺麗だと言って下さいました。

 給仕長の前では良く言って下さいましたし、ボーナスがもらえることになりました。

 とても嬉しいです。またマヤ様のお相手が出来たら……

 え? 私ったら不純ですわ。



(ロレンサ視点)


 マヤ様がお帰りになってしまいました。

 と、殿方の大事なところを初めて見て、思わず見つめてしまいました。

 それで粗相をしてしまい、マヤ様には大変失礼なことだったのですが、何事も無かったようになさってくれて、とても寛大な方なのですね。

 ボーナスも頂けることになりましたし、感謝しかありません。

 今度は失敗が無いようにしたいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ