十話
ー宙賊側 戦闘ー
時は遡り、宙賊の旗艦が次元潜航艦と会敵する少し前。
「キャプテン!前方に敵編隊っす!飽きないっすね〜。そろそろ引き上げてくれると楽でいいんっすけど。」
「あちらさん相当疲弊してきた頃だろ。そろそろ叩き潰してオラクルベリーごと掻っ攫いに行くぞ。」
「今回の作戦成功すりゃ!星が手に入るっすね!」
「そうだ。その時が待ち遠しいな。遊撃部隊に伝えろ。前進だ。敵を正面突破しろ。」
「了解です。キャプテン!しかし、ちょっと変ですね。これくらいの辺境なら簡単に譲ると思ったのに。」
「前辺境伯が打たれて、必死こいてんじゃねぇか?案外、やるもんだな。だが、これ以上粘られて、本国から王国軍が派遣されたらしゃれにならねぇ!」
「それはそうっすね!前方に火力集中っすね」
賊は、すぐ近くに亜空間に潜る戦艦にはまるで気がつく様子はなかった。
「キャプテン!レーダーに感あり!」
「何!敵艦か?」
「いえ、デブリのような小さいものっす!さっきまではレーダーに映ってなかったんで。」
「なんだよ。どうせ計器の故障か、ゴミが飛んできたかのどっちかだろ。」
「たしかに。そっすよね!!敵の船をぶち壊した跡かもですね!」
「ハッハッハ。だろうな。今回は楽させてもらうぜ」
「待ってくだせぇ!キャプテン!!魚雷4、直撃コースっす!!!」
「何!!テメェ冗談だろ?」
「ちがいやす!!どこからともなく魚雷出現、本艦に向けて急速接近中!!」
「クッソ、全速前進!回避しろ!!」
「ダメです!魚雷きます!!」
「ふざけるなーー!こんなところで終われねぇー!!」
キャプテン達の乗る戦艦は次元潜航艦からの攻撃によって、呆気なく破壊されてしまうのであった。
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ーアベルト側 事後処理ー
それにしても異次元を潜って相手を攻撃するっていうチートっぷりが凄かった。その次元潜航艦の中で、エレン、クライン、俺の三人で領内の今後について話し合っているところだ。
「ご主人様、今回の宙賊から回収した艦艇はいかがなさいますか?」
「そうだな。とりあえず使えそうなものは残して、後のやつは売ってしまえ」
「そうしますとまとまった資金が手に入りますね。」
「それを使って次元潜航艦の増産をするんですね!」
クラインはこの船をかなり気に入ったみたいだ。そうなることも頷けるような性能であるが。
「いや一度、ここは領内の開発に投資したいと思う。」
そろそろ領の経済をまともに動かしていかないとやばい。両親が死んだ戦争の以前から、たび重なる戦闘で、領内の経済は疲弊していた。そこに今回の戦闘と次元潜航艦の新造だ。出費が重なりすぎた。
「重工業から軽工業の生産力は、王国の平均よりかなり下回っている状況です。」
「そう言われますと、たしかに経済への投資には賛成ですね。」
クラインもなんだかんだ言って賛同している。
「あとは部分的な減税を盛り込んで、領民に消費を促すんだ。減税と投資の二点から攻めろ。」
エレンは、「かしこまりました」と綺麗なお辞儀をして、各所と連絡を取りに向かった。
「だが次元潜航艦の生産をストップさせるのも惜しいな。」
クラインもうんうんと頷いている。
「クライン、領内の資金繰りの無駄を探して、次元潜航艦の生産費用に充てろ。」
「承知致しました。首都生に戻りましたら、早速取り掛かりたいと思います。」
クラインは潜航艦のこととあってかなりやる気だ。俺はそんな中、大学時代に教養の科目で経済とっておいてよかったなーっと昔を懐かしんでいた。




