原因3
中3になり、進路を決める時期になってきた。
徹は、暇な時間を勉強に当ててることもあって、そこそこ成績も良く進路指導ではランクの高い私立の学校を進められた。それに気を良くしたのか、母親もすっかり徹がそこへ行くものだと思っていた。
当の徹自身は、高校など行かず就職したいと考えていた。
そう思った根底には2年前に持ち上がったいつかの母親の再婚話があった。いつの間にか立ち消えになり、それから一度も母親はそのことに触れなかったが、毎週金曜日に帰りが遅いのは相変わらずで、その男と別れたわけではない様子だった。
恋人がいること自体はあんまり気にはならなかった。母親も女なんだと徹が理解したから。再婚だなんだといって、今の俺の生活を変えるのでさえなければかまわない、とまで思っていた。
それよりも徹が一番気に入らないのは、母親の出勤する日が減ったにもかかわらず、前の生活水準を保つどころかそれ以上の経済状態だった。
私立の学校なんて、入学金など公立の高校に比べて大金が要るのにもかかわらず母親がそれを勧めるということは、恋人である徹のまったく知らない男からの経済援助があるからに違いなかった。
そんな男の出した金で高校へと進むつもりはひとかけらもなかった。
そうして、徹は勉強するのをやめた。
勉強に対する意欲が失われて、徹はいつも時間をもてあましてた。
暇なあまり街中をいつまでもぶらついていると、いつも決まって派手な化粧をした女たちから声をかけられた。
美人の母親と、徹自身は覚えてないがハンサムだった父親の血を確実にひいてる徹の外見は、女の目を引いた。
一度好奇心でついていって、その時はじめて「女」というものを知った。
こういうことをする為に女は、化粧をし、派手な服を着るのだと徹は愕然となった。
そして徹が垣間見た、母親と男のあの行為など、ほんのかわいらしいものだったことに驚いた。
知らなかったのは自分だけで、毎週金曜の夜母親が派手な格好をしてあの男に抱かれに行ってるんだと思ったら、 目の前が真っ暗になった。
罪悪感が、胸をさいなむ。
僕は、父さんの言いつけを守れなかったんだ。
あの男から………僕は母さんを守れなかった。
ぼんやりと教室ですることもなく、手持ち無沙汰にクラスの女子たちを見ていると、いらいらとした。
媚びたように笑い、カン高い声で話しかけ、鏡を片手に飽きずに自分の顔を見ている予備軍の女たち。
将来男に抱かれるために、身体の成長過程にいるやつら。
これから化粧を覚え、駆け引きを覚え、街で俺に声をかけた女のようになるやつら。
徹の外見に惹かれて、近寄ってくる級友を含めた女たちを、徹は常に冷めた目で見ていた。
堕落した女たちめ、と。




