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コックリさん(結)

6.


 超常現象研究会のメンバーの三人はその日古来より伝わる日本の降霊術を実践していた。普通ならばそれは小学生のお遊びのような些細なもの。けれど、その日の彼らにとってそれは子供の遊びとは思えないほどに部屋の空気は重く悪魔召喚の儀式が今から始められるといわれても信じてしまうほどだった。


 部屋には一台のビデオカメラが据えられ、鳥居を挟むように書かれた「はい」と「いいえ」。「あ」から「ん」までの五十音に0から9まで書かれたその紙の上に十円玉が一枚。三人の人差し指は硬貨の上に置かれていた。


「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいでください。もしおいでになれましたら『はい』へお進みください」


 先日行ったコックリさんとは違うとこがもう一つ空席の椅子がそこにあること。弘や沙織はどうしてもう一つ椅子を準備したのかといぶかしんでいたが、悟のすることに何か意味があるのだと感じ黙って従っていた。


 紙の上を滑りだす十円玉。加速していく軌道を三人は無言で見つめていた。鳥居の周りをぐるり、ぐるりと回る十円玉を睨みつけながら悟が口を開く。


 「こっくりさん、こっくりさん、コックリさんを今行っている人間は何人ですか? 」


 十円玉はまっすぐ「4」の数字のもとへと糸で引っ張られるように滑り出す。悟以外の二人は唖然と見詰めるばかりである。悟だけが確信じみたものを感じながら次の言葉を口にした。


 「コックリさん、コックリさん、その人は、瞳という名前ですか? 」


 またしても十円玉は糸で引っ張られるかごとく「はい」へと滑り止まる。


 「瞳を返してください。」


 いつも冷静な悟が、額に汗をかきながら、ゆっくりと言葉を形にした。その刹那、三人の視界にノイズが走った。空席だったはずの椅子に人影がうっすらと見える。じわりじわりと顕現するその姿を悟はかたずをのんで見つめていた。ほかの二人はその人影になにも触れることなくひたすらに円を描く十円玉を見つめていた。


 見つめられているその十円玉には四本の人差し指が重ねられている。


 「コックリさん、コックリさん、鳥居の位置まで、お戻りください。」


 悟のその言葉に従うように十円玉は鳥居の位置へと進み動きを止めた。四人はコックリさんへ礼を言い終わると重ねていた指を離した。


 「瞳。」


 考え深げに悟が瞳の名前を呼ぶと、不思議そうな顔で瞳は悟のほうを見返した。


 悟以外の三人にはここ数日の状況はどう映っているのだろうか。瞳がいることに誰も触れようとせずそれはあたかもそこにあった存在のように振る舞う姿に違和感を感じつつも瞳がすぐ隣に座っていることに悟は噴き出す汗と同時に安ど感まで体の外へ流れ出るのを感じるのであった。

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