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ドッペルゲンガー(結)

8.


 超常現象研究会の部室では悟が一人、机の前に座り何か考え込むように顎に手を当てたまま動かないでいた。


 昨晩、弘から電話がかかってきたのだが、ほとんど無言電話のようなまま最後一言声が聞こえたかと思った途端電話は切ら得てしまってそれから携帯電話の電源は切られてしまっていた。それから弘のアパートへといったが電気も消えており、中には誰もいないようだった。


 弘は今日学校に出てきているだろうか。一応連絡が取れずにいた悟は弘の携帯へ今日部室へ出てきて欲しい折をメールで送っておいた。


 そんな風に物思いに悟が耽っていると部室のドアが開かれた。そこに立っていたのは弘だった。


 「弘、昨日の電話は何だったんだ? 」


 そう尋ねる悟に弘は不思議そうにこちらをみて笑いながら言う。


 「電話?何のことだ。昨日はもう家に帰ってからはぐっすり寝てたけど。お前夏の暑さで頭でもやられたんじゃないのか。」


 とケタケタと笑いながら冗談交じりに言う。


 あたかも昨日の出来事など何もなかったかのような笑いである。


 そんなやり取りをしていると、また部室のドアが開かれ沙織が息を切らしながら部室へと入ってきた。


 「ねえ、聞いて二人とも。」


 息が整うのを待てずに沙織が話を続ける。


 「弘くんのドッペルゲンガーの正体がわかったよ! 」


 沙織はそういうと今日あった話を捲し立てるように話し始めた。沙織の話によると沙織の友達と同じゼミに弘によく似た人がいるらしい。彼の名前は河野貢というそうだ。弘たちとは一つ下の学生でゼミに入ったころから弘に似ていると弘のことを知る人たちでは少し話題になっていたほどらしい。


 沙織は先ほどまでその友人と一緒に河野貢と話をしてきたそうなのだ。


 「ドッペルゲンガーなんていなかったんだよ。びっくりするよね、すっごく似てるんだもん。」


 そういう沙織の話を聞いて弘は笑いながら悟のほうを見る。笑っているはずなのにどこか目の奥は笑っていないようなそんな気がしたのは一瞬でいつもの弘の声が部室に響き渡り。弘と沙織は笑いながらその河野貢の話を始めていたのだった。

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