合コンに理想の男はいるのか
華の金曜日、午後6時55分。今から私の人生を賭けた戦いが始まる。
「今日こそ、今日こそお金持ちがいますように!」
「まあ期待しないほうがいいと思うよ〜」
幹事である同期の友達にそう言われながらも『運命の出会い』に少しは期待をして今日も今日とて私は理想の男を求めて合コンに参加する。
が、そううまくいかないのが人生ってやつだ。
またいい男がいなかった…
2次会の誘いを断り、ため息をつきながら終電前の割と空いている電車に乗って家に帰ってくると玄関の電気は付いていた。見慣れた男物の靴が置いてある。どうやらまた奴が来てるらしい。
合コン用のトリーバーチの靴を脱いで、キッチンを通り抜け、1Kの部屋のドアを開けるとベット前のソファでテレビを見ている見慣れた男の姿。
「おかえりー」
「ただいま。今日来てたんだ」
「おう。合コンって聞いてたからな。慰めてやろうかと」
「あたしが誰かを持ち帰ってくるとは思わなかったわけ」
「俺がいること想像ついてたくせに、リリはそういうこと聞くんだ?」
私、広末りりこをリリと呼ぶこの男、高坂諒太はイヤらしい笑みを浮かべながら聞き返す。
「…そんなのわかんないじゃん」
いるだろうな、と思いながら帰ってきたし、いることを予想したからこそ2次会を断った私の語気は弱くなる一方だった。
そんな私に諒太は自分が座っているソファーの隣に座れ、と手招きしてくる。
気合を入れて着ていったリリーブラウンの紺のワンピースの上に羽織ったカーディガンを脱いでソファーの背もたれにかけ、諒太の右隣に素直に座る。
諒太はいつものスウェット姿になっているから、勝手にクローゼットから自分の着替えを出したのだろう。スウェット姿でもイケメンなのがムカつく。
はっきりとした目鼻立ちに小さい顔、アイドル系の可愛い顔をしているのに178センチもある諒太は万人受けするタイプのイケメンだ。
化粧をしなきゃ地味な顔立ちの私とはまるで違う。羨ましい。
そんなことを考えているうちに右側から手が伸びてきて諒太は私の肩を抱いて引き寄せる。
「もう諦めたら?」
「いや。私はお金持ちと結婚するの!仕事やめて専業主婦やるの!」
「お金持ちではないけど、別にリリ一人くらい養えるって言ってるじゃん」
「だーかーらー、そんなんじゃだめなんだって。貯蓄2000万くらいになってから言って」
「年収1000万以外はリリの結婚相手の条件全て満たしてると思うんだけどな〜。そんな最適な彼氏いるのに合コンとはな〜」
「だから彼氏にしたつもりはないって」
諒太は自称、私の彼氏だ。まあこういう言い方をするとストーカーみたいに思われるけどストーカーではない。
諒太は私のことが好きだというし、私だって気持ちがなかったわけじゃない。
でも、彼氏ではない、はず。
「ハイハイ。まあ別にいいけどね」
言いながら諒太は私の首筋にキスを落とす。
そう、彼氏ではない、はずなのだ。




